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地に堕ちる  作者: 晴香
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2度目の初対面

実習を迎える前日、私はまなみちゃんと出かけていた。カフェでお茶をして、シティをぶらぶらと歩く。写真を撮りあってはしゃいで、まるで私たちはオーストラリアに来る前から仲良しだったかのように盛り上がっていた。唐突に彼女が切り出した。「私ね、Twitterにいつも聖香さんとの写真載せてて、載せる度に友だちからコメントがくるんですよ。それも、一緒に映ってる人可愛いとか、美人だとか、全部聖香さんについてのコメント。」私は、「そうなんだ。嬉しいけど照れるね。またTwitter見てみよう。」と当たり障りなく答える。正直言うと、どこにいっても可愛いとは言われる方だ。相手の一目惚れから始まる恋も多いし、私に寄ってくる男の大半は可愛い子を連れて歩きたい、という私自身ではなく私の顔だけを目的としている。まなみちゃんは続けて話しはじめる。「中河賢人なんてね、『俺の方が先に目つけてたのに!』とかコメントしてくるんですよ。もうね、聖香さんの取り合い。そんなこと言われても仲良いの私だもん、て言って。そういえば、聖香さんと中河賢人が知り合いって知らなかったです。何で知り合ったんですか?」私は苦笑しながら、賢人くんのことを思い出す。そういえば授業が一緒だった。しかし、彼が私を覚えていたことが驚きだった。「後期の授業が一緒だったけど、話したかどうかすら覚えてないんだよね。可愛いとか言ってくれてるとは思わなかったよ。」彼の話題はそこで終わった。明日から実習ということもあり、早々に切り上げて解散した私たちは各自のホームステイ先へと帰った。ホストファミリーとは干渉し過ぎない程度の、本当にただの居候みたいなものだった。平日の夜は夕食を食べながら一日の出来事を話し、リビングで課題をしてからはパパとママとテレビを見て寝ていたが、特にどこへ出かけるわけでもなかったし、その程度の関係が私は楽だった。

実習は学校の4週間よりも早く終わってしまった。2週間だけだったこともあるが、それ以上に毎日が学ぶことだらけの刺激に溢れたものだった。最後の週末もホストファミリーと過ごすことはなく、現地のツアーに一人で参加し、無人島へ行っていた。帰国してからはまなみちゃんとも距離が空いた。もともと仲良しだったわけではないのだから当然のことなのだろうけど、6週間ものあいだ、ほとんど毎日やりとりをしていたために少し寂しくもなった。

4月になり、学校が始まる。履修ガイダンスの日、私はガイダンスより遅い時間に行き、まなみちゃんと会った。学校では会ったことがなかったので、なにか新鮮だった。彼女は駆け寄ってきて「中河賢人たちと一緒に居るので、聖香さんも来てくれませんか?中河賢人、きっと喜びますよ。」もともと人見知りでもない私は言われるがまま、彼女について行き、彼女の友人たちと合流した。中河賢人もそこにいた。

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