アホな話。その2
昨晩投稿させていただいた『アホな話。』の続きです。
「へぇ……」
いやいやいやいや。
なに感心した声で「へえ~」とか言ってんだ俺。トリビアか?
おかしいだろ。これ、誰だよ。
「それを見ても、自分には妹はいない、ってシラを切るつもりかい?」
厳しーい口調で顔に呆れを表す背広のおにいさん。
この俳優、演技で俺をだましてオスカー像でも狙う気だろうか。
俺は、あらためて渡された紙を凝視する。
メイ、って、名前がもう安直っつうか。
「……まさか親父に隠し子がいたとは」
「はあ!?お前とぼけるのも大概にしとけよ!!」
だん、と目の前の机が揺れる。
あーあ。背広のおにいさんはテンパって口調がすさみはじめている。怒鳴りたい気持ちは俺にもわかる気がするようなしないような。
いやでもこれ、ちょっと待てよ。
おかしくね?
現在、俺は妹殺しの異常な兄貴として取調べを受けている。
しかし、俺にはその記憶がまったくない。というより、一人っ子の俺には妹が殺せない。
なのに、俺には妹がいるのだという。
どゆこと?
「いいか。君がやったことは犯罪なんだ。兄妹を殺すなんて、大問題なんだぞ?」
ううむ、ううむ。
うん、さっぱりだ。俺にはわからん。
俺はおそるおそる、渡された紙の記入された方の紙面をオモテにして示した。
「ひょとして偽装とかじゃ」
「だから!!まだ言うのか君は!!」
だん、と目の前の机が揺れる。
第一印象が切れ者に見えたんだが、どうやら短気な方のキレ者のようだ。
それにしてもこの激昂ぶり……演技じゃないと見て間違いないのか?
冤罪決定だろこれ。
俺、ヤバくね?
「……あの、親にも聞いたんですか?」
「なにを」
すげーケンカ腰なのは俺の気のせいじゃないだろ。
……ありゃ?
「俺とか、その、妹とか」
「あのな、そんなこと聞かなくてもわかるだろ。ご両親は2人とも泣き崩れてたぞ」
はあ?
ちょっと気になったことがある。
さっきからドアの隣に立ってるミスター・スキン刑事。
俺のことをずっと見てるんだけど、なんかこう、
……めっちゃ笑い堪えてるんですけど?
背広のおにいさんのベタな説教は続いている。
「君はご両親の気持ちも考えて、きちんと僕らに話すべきだ。それがご両親と妹さんに対する、償いってやつだと思わないかい?」
「いや……」
ええ?
ここにきて、まさかのドッキリ?
冗談きつくね?
そんなアホな。
続けようとすれば書けるのではないかと思います。
もし続きを書くなら、ドッキリでした、では続けられないような気がしますが。
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