表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/35

第七話 追い詰められるセドック

 ある日、セドック行きつけの大衆酒場にいちごみるくの連中が集結していた。


「ギルド経由でクランから、連絡が来た! 明日、クランに行く!」


 前日、ギルドに報酬を受け取ってきたセドックが口を開く。


 「依頼されたワイルドボアを片付けたからですかい?」


「そうだ!」


 クラン所属ではない下請けのセドック達はギルドを介して報酬を受取る。当然手数料もかかり、手取りは減る。


 レックスの報酬はというとクラン所属が確定していない為、セドックのいちごみるくに支払われていた。


「俺達は何処(どこ)のクランにも所属していない、冒険者のつまはじき者だった!! それももうすぐ終わる! 俺達はクランの一員になるのだ!!」


「うおおおぉ~っ!!」


一同、興奮していた。


「今まで、他の冒険者に見下されていたけど、それも終わるんでゲスね」


 寡黙(かもく)なサミーが(つぶや)いた。


「豪華な生活が出来るのね!!」


「ヒヘッ、またギャンブルに金をつぎ込めるな!」


 皆、和気あいあいだ。


「今まで、お前らには苦労かけたな」


 しんみりとセドックが語った後、


「皆んな!! 今日は俺の奢りだ!! じゃんじゃん飲め!!」


 そう陽気に声を上げたが、それは、追放されたレックスの報酬だった。








 翌日、セドックはクランを訪れた。ドアをノックして 執務室の中に入った。


 執務室の中の様子を見て、 セドックの顔に思わず笑みがこぼれた。


「セドックさん 本日は ようこそおいでいただきました」


 セドックは期待に満ちあふれた表情になった。


「セドックさん 申し訳ありませんが 本日を持って 当クランとの請負契約は 終了させていただきます」


 セドックはその一言で、絶望したかのような表情になり、 嫌な汗があふれ出した。


「 え!! どういうことですか?」


「 どういうこともなにも自分たちの行 い を振り返ってみてください」


「行い?」


「あなた達はレックス 君をこき使い楽器を壊したあげく 勝手にクビにしたらしいではないですか」


「 新入りが言ったのですか? 」


「ええ、挙げ句の果てに報酬も支払ってないみたいですね」


「 あの野郎!  余計なことを言いやがって」 と 吐き捨て、続ける


「あいつは楽器をただひいてただけで何の役にも立ってないんです!!」


「そうですか 、我々はレックス君をクランで雇用しようと考え 、研修の一環としてセドックさんのところに預けていたわけです」 


 代表はさらに続けた。


「 それにあなたたちも 当クランへの加入を希望してましたので、当然の事ですが、当クランから貴方達の現場に、監視員を派遣しています。」


 セドックの顔色が変わった。


 代表は机の上の報告書を手に取ってセドックに告げた。


「監視員の報告の結果、貴方達の行動や言動に不適切な所があるという結論を得ました。そういうことですので 当クランの加入は認められませんし請負契約も終了です」


 セドックの顔から、血の気が引いた。


「そんなこと言わず、 チャンスを、もう一度だけチャンスをください!! 下請けだけだとやって行けないんです!!」


 と すがりついた。


「 そこまで言うなら 一度だけ チャンスを与えましょう 。もう一度 ワイルドボアを あなたたちだけで仕留めてきてください」


 そう言うと ワラにもすがる思いの セドックの瞳に輝きが戻った。


「わかりました!!」


 セドックはそう言い残して、 意気揚々と その場を後にした。




 執務室には クラン代表と執事の男がいた。


「 あの人たちだけでボアを退治できるのですか?」


「 いや 無理でしょう。 その時 、自分たちのしたことを反省することになるでしょう」


「 そうでしょうね」








 その夜、セドック行きつけの大衆酒場にいちごみるくの連中が集合していた。セドックはクランであった出来事を話したが、不都合な部分は隠して話さなかった。


 そのため メンバーたちは自分に都合のいい解釈をしていた。


「あの新入り無しで、ボア討伐をもう一度ヤッて欲しいだとよ!!」


 そう語るセドックにバルサムが口を(はさ)む。


「てぇ事は、あのガキ無しでワイルドボアを仕留めりゃ、正式メンバーになれると言う事ですかい?」


「そういう事だ」


「ゲへッ、俺達の手に掛かりゃ、ワケもねぇこった!! あんなガキ必要ねぇって事を示してやろうじゃねぇか!! なぁ、みんな!!」


 バルサムが(げき)を飛ばすと、皆呼応した。そんな中、セドックだけは一抹の不安を感じていた。


「俺達だけでやれるのか?」


 セドックは呟いた。


「そんなシケたツラせずに、ジャンジャン呑みましょうや! カシラ!!」


 バルサムはセドックを促すもセドックはそんな気分になれなかった。


 なぜなら、この日の会計はセドック自身が、全額支払う事になっていたからで、持ち合わせが足りるかどうかヒヤヒヤしていたからだった。




 後日、いちごみるくはワイルドボアを仕留める為に、森の中にある狩り場に向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ