第六話 レックスの実力とは?
クランを後にするレックスを窓からながめるクラン代表に、側にいた執事が話しかける。
「楽器を使う冒険者とは珍しいですね。」
「一時、本当に魔法を使えるか試してもらうため、『夜明けの真相』に二日ほど預かってもらったことがありました。」
「ほう」
「任務中は何も道具は使わずに素手で回復魔法等を使っていたと報告を受けています」
「それで」
「任務遂行後に夜明けの真相の仲間の一人がリュートを持っていて、それを借りて演奏したそうです」
「すると」
「深手を負った一人が、ただの治癒魔法では完全に治り切らなかった傷が、演奏後には完治したそうです」
「それは凄い! ギルドの魔力測定ではレックス君のそれらの魔法は低レベルだったと認識していたのですが」
「楽器を使うとどうやら能力の底上げがありそうです。」
「それは素晴らしい! 他の二つのクランが手を出さなくてラッキーでしたね」
「支援魔法に特化した人材が既に足りていたのでしょうね。」
「それにしてもそんな優秀な者がどうしてこの地へ?」
「彼は、此処へ来る前は王都にいたらしく、どうやら訳ありの様です」
「王都に?」
「推察するに、王立魔法アカデミーの神楽科に在籍していたのではと考えられます」
「それが本当なら貴族クラスのエリートじゃないですか!!」
「真偽のほどは分からないですけど調べる価値はありそうですね」
「アカデミーの神楽科といえば第三王子と大公爵家の娘ビクトリア様が在籍しておられる音楽の名門ですよね?」
「はい、そうですね」
「何でも、第三王子派が陰謀を企て、ビクトリア様にあらぬ罪を擦り付け追い落とそうとしていた所にそれらの罪を一身に背負いアカデミーを追放された首席の者がいたとか?」
執事が、そう口にするとクラン代表が執事の顔をじっと見た。
「おそらくレックス君かもしれません」
「そうなんですか、その人物が本当にレックス君ならば大公爵派に属する我々には大変な僥倖です!! 代表!!」
「そうですね」
そう言って代表はカップに注いだお茶を、口に含んだ。




