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第四十四話 ローブに身をつつんだ男2

 フードの男はステージ上の一角に陣取るとデモンストレーションを始めた。ギター状の楽器ながらオークのウッドベースの音に負けずとも劣らない低く唸るような低音を掻き鳴らす。


「どうだ、俺の実力は?」


「問題ないな、是非俺達のパーティに加わってくれ」


「いいんスか? あんな得体のしれない奴を入れて」


「今の俺達にはアイツ等に比べて音の厚みが足りない。実力のある奴は猫の手も借りたい位だ」


「どうなっても知らないっスよ師匠」


「旦那さま、行きますわよ」


 ドラムセットの前でティナが構えてカウントを刻む。演奏がスタートする。


 次の瞬間、フードの男が深く力強いリズムを刻む。低音が連なり空間を満たす。男が軽く腰を落とすと指先がフレット上を滑らかに走らせる。


 躍動感のあるグルーブが生まれその場の空気が少しずつうねりだす。


「やるじゃねえか」


 俺はフードの男に声をかけバズの方を見る。バズも納得の様子でギアを上げる。


 その裏でフードの男は一貫してビートを保ちリズムセクションとして全体の背骨を支え音楽に厚みを与える。


 曲が中盤に差し掛かる頃、フードを被った男は一歩前に出て短いソロを披露する。音の粒が滑らかに繋がる。


 観客達は思わず息をのむ。その瞬間だけはフードの男が世界の中心であったかのようだった。


 ソロ部分が終わると彼は後ろへ戻り再び俺達の音楽の屋台骨となる。音楽という言語で語られる物語がベースの低音から静かに力強く広がっていった。


 俺達の音楽全体がグルーブにノリ、演奏が一体感を持って爆発する。そして演奏が終わった。


「ウオオォ! (スゲ)エゾオマエラ」


「最高ダゼ!」


 観客から歓声が湧き上がった。


「俺達ノ負ケノヨウダナ」


 オークが声をかけて来た。


「また演ろうぜ!」


「機会ガアッタラナ! ソレトエルフ悪カッタナ、挑発シテ、ダンナト仲良クナ!」


 オークが告げると強烈な白い光が現れその場にいた俺達以外の奴等は光に包まれ消えて行った。


先程迄の喧騒(けんそう)が嘘のようにガランとしていた。


「師匠、気持ちのいい奴等でしたね」


「そうだな、音楽に種族の分け隔てはないな」


 俺達は爽やかな気持ちになっていたが、ティナの方を見ると甘ったるい顔でニヤけていた。


「旦那と仲良くですって!」


 それを見て素に戻った俺とバズはボス部屋の中に転がっていたドロップ品を回収してボス部屋を後にした。


 暫く歩くと巨大な地響きがして階層ごと崩れさった。


「階層クリアのようだな」


「何を落ち着いてるんるんスか! 師匠! 戻れなくなったんスよ」


「そう慌てるな、そこを見ろ」


 指指した所をバズが見た。


「転移門ですか?」


「そうだ、今日はここで野営だ」


「ここは中間地点だからダンジョンの魔物も寄り付きませんわ」


「何でそんなに詳しいんスか」


「そこのフードのお方に教えて頂いたの」


 そう言うとバズはフードの男に詰め寄った。


「誰だお前は!」


「名乗る程の者ではない」


 フードの男はそう答えその場から離れようとした。


「ふざけるな」


 (いきどお)るバズは男のフードを取り払った。フードの男はコボルトだった。


「コボルトだと」


 絶句したバズはその場に立ち尽くした。





 中間層の広間で休息をとった俺達は二層目に向かった。


 二層目に到着すると何かが目の前を横切った。


「ぐわああぁぁ~っ! 頭が割れそうだ」


 バズが叫んだ。


「デシベルコウモリか! 奴ら超音波で不協和音をつくり出して攻撃して来やがる。皆んな耳をふさげ」


 ティナも苦しそうだ。フードのコボルトの男は平気そうだ。


「これは何とかしないとな」


 俺は頭が割れそうになりながらもギターを手元に運び防御魔法をかけた。


 数百というデシベルコウモリがノイズを撒き散らすが防御魔法によって無効化した。


「バズ、火魔法だ!」


 バズはデシベルコウモリの攻撃でヨレヨレになりながらもワンフレーズの詠唱を唱えると軽くギターを掻き鳴らした。


 バズの正確な指使いがスムーズに魔力を生み出し今まで無駄にしていた魔力を魔法に還元させた。コウモリたちは一気に全滅した。


 前に進むとスケルトン軍団が現れた。


「奴は頭が弱点っス」


「そうなの」


 それを聞いたティナが弓で攻撃する。確実に頭に突きささる矢はカタカタうるさいスケルトン軍団を一気に黙らせる。


 するとスケルトン軍団を操っていたスケルトンの親玉が現れる。


「奴はスケルトンBGMだ!」


「師匠、何スか? BGMって」


 頭をひねるバズだが、そんな事お構い無しにティナが弓矢で破壊した。


 さらに先に進むとグールが現れる。


「バズ、火魔法頼む」


「師匠、そうしたいのはやまやまっスけど火魔法使うと空気が薄くなるっス」


「そうか、それじゃティナに聖属性魔法を付与した弓矢を渡すから攻撃してくれ」


「わかったわ」


 そう言ってティナは付与を施した弓矢を使ってグールを仕留めてゆく。


 仕留めたグールは姿形なく消えて行く。


「アイツ、残飯漁りのガザルだ!」


 バズが叫ぶや否や、ティナの弓矢によって

ガザルは消滅した。


そうして二層目のボス部屋の前にたどり着く。


「暫くここで休憩だ」


 俺がそう言うと皆、休憩に入った。




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