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第四十三話 ローブに身をつつんだ男

 オークはイスに座りコントラバスをセッティングして弾き始めた。俺はその事に違和感を覚えた。


「そいつを弾いて演奏するのか?」


「コイツハ、ソウイウ物ダロ」


「はあ? 基本弓引きだろ」


「オマエ、アタマオカシイノカ」


 俺はムカついたが不毛な言い争いをしても時間の無駄なので奴が言う事を聞き流した。


 俺はその合間にティナにドロップ品に出てきた太鼓に小太鼓とティンパニーとスティックに刻印をたドラムセットをティナに渡した。


「まあ! これを私に」


「そうだ、刻印も施してある。いきなりでも演奏出来るぞ」


「ありがとうございます」


 ティナは笑顔で受け取ったが目の奥は熱い炎が灯っているようだった。


 そんな時、ドゥンドゥンと奴の楽器から低音が響き渡った。俺は驚愕した。


「ソイツはお前等の中ではなんと呼ばれている」


「ウッドベースダ!」


 そう言うと試し弾きを始めた。


「コレは凄いな」


 俺はつい声に出した。


 そうこうしているうちに奴等の演奏が始まった。先程のゴブリン2体にオークが加わった形だ。


 ゴブリン達だけでも素晴らしい演奏だったが、そこへオークが加入した事により音に奥行きがうまれた。


 オークの粗野で乱暴な様子からは想像出来ない程の正確で低く深い滑らかに連なる力強い響きがゴブリン達の演奏に相まって聴くものの体に直接響きわたり自然と身体が揺れてしまうようなグルーブを生み出していた。


 「コイツは計算違いだ」


「何が計算違いなんスか師匠?」


「奴のベースが演奏に厚みを出して何とも言えない深い重厚感を出している。こっちにも奴に匹敵するような存在が必要だ」


「そんな今からじゃ無理っスよ」


 しかしオークの演奏は次第に独善性を増して調和する演奏を乱していった。曲が終わる頃には締まりのない演奏になっていた。


 そうこうしているうちに演奏は終わった。


「最後の方、演奏が乱れてたっスね」


「それでも勝てるかわからない」


 そんな時、演奏を終えたオークが挑発してきた。


「グヘヘッ、オマエラ戦意喪失カ? 震エテ眠ルガイイ」


 そう言ってステージ後方に下がった。


「困ったぞ」


 俺はそう呟きながら演奏の準備をする。そんな時、フードをかぶった男が現れた。


 ローブに身を包んだ背の低いその男の背中にはゴブリンのギターに似たものが背負われていた。


「誰だ、お前は?」


 その言葉を無視してこちらに近づいて来た。




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