第三十一話 ニートリア
俺達は初仕事を受けるため受付に向かった。
「リバージャイアントラットの討伐をお願いします」
受付の職員が言った。
「どんな魔物ですか?」
「雑食性で非常に繁殖力が高く群れを為すそうです」
「どうする、この依頼」
「この程度なら楽勝っスよ、師匠!」
「旦那さま、受けましょう! ねずみの肉は美味しいですよ」
ティナはやる気がみなぎっていた。
「よし、この依頼受けよう! 俺達の初依頼だ!」
俺達は準備を整えて翌日出発した。
依頼先に到着すると依頼主が状況を説明した。
「毛皮を取るために飼育しちょったんじゃが、大雨で土砂崩れが起きまして、飼育施設から逃げ出しましてな、ソイツらが野生化し手が付けられなくなったんですわ」
俺は話を聞くうちにやる気が失せていった。ネズミが苦手だからだ。対照的にティナはやる気がみなぎっていた。
「仕事だから仕方ない、ティナ、バズ頼むぞ」
「それはないっスよ、師匠」
「そうですわよ! 旦那さま、ごちそうが取り放題なんですよ!」
そう言うとティナは俺の手を引き、ねずみを探しに行こうとした。
「奴等、夜行性だぞ」
「んだ! 奴等、夜になると畑を荒らしに来るだ! 皆様、頼んます」
そう言うと依頼主は、引き上げていった。
日が暮れて夜になるとガサガサ音がなり出した。バズが火魔法であたりを照らした。すると家畜の豚ほどの大きさのねずみがビッシリとひしめき合っていた。
俺はその光景を見て気持ち悪くて吐きそうになった。
「あいつ、ニートリアだ!」
「知っているのか」
「はい、俺の故郷に当たり前のようにいて肉といえばニートリアだったス」
「美味いのか」
「はっきり言って微妙ッス、でも高く売れるっス」
「そうなのか」
「俺、両親が死んで貧乏になって妹と二人で暮らしていたんスけど、ニートリアは金になるんで生きて行くのにとても助かったっス」
「大変だったんだな」
「旦那さま、はやく捕まえましょう」
しんみりとした話をティナがぶち壊した。
「じゃあ、始めるか」
俺は強化魔法を掛けるためギターを弾き始めた。
ティナは風魔法でニートリアを巻き上げ、手にする短剣で首を掻っ切っていく。
バズもファイアボールを放つが強化魔法の影響で巨大な火の玉となりニータリアを焼き尽くしていった。あたりの焦げたニオイが鼻についた。
「やり過ぎだぞバズ! 肉も毛皮も無駄になるだろ」
「そんな事言われても困るっス」
「でもまあ肉を焼く手間は省けたな」
そうこうしているうちにニートリアは川に逃げ出した。ティナが追いかけたが、俺はそれを制止した。
「今から雷魔法を使うからそこから離れろ」
そう言うとティナはそこから離れた。
ギターを演奏すると落雷が川に落ちた。すると痺れて痙攣したニートリアがプカプカ大量に浮かんだ。
気絶したそいつらをレベルを上げるため、一匹ずつ絞めていく。状態の良いニートリアをあらかた回収すると転がっている焼け焦げたニートリアの肉の一部分を一口食べてみた。
「味は悪くないな、うさぎの肉みたいだな」
「そうですわね」
「俺の知っている味とは違うっス」
「どう違うんだ?」
「もっとどぶくさい魚の風味が漂っていた気がしたっス」
「そうか、ここは川の水がきれいだから美味いのかな、とりあえず酒でもあれば最高なんだがな」
「用意してますわ、旦那さま」
ティナが用意してくれた酒を呑みながらひらめいた。
「油であげたら美味そうだな」
「俺も食いたいッス」
「帰ったら準備致しますわ」
そうしているうちに眠くなって寝てしまった。
夜が明けると焼け焦げたニートリアがあたり一面に転がっていた。そこへ依頼人の村長と村人がやって来た。
「転がっているニートリアは皆さんで食べてください。あと、子どものニートリアのオスとメスを置いていきます。家畜として繁殖に役立てて下さい」
俺は村長に告げた。
「ありがとうございます」
村長は礼をいい、依頼書にサインをした。
「しばらくは大丈夫と思いますから駆除が必要になったらまた依頼して下さい」
そう言うと初依頼を終えた俺達は村を去った。




