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第二十八話 俺はブルーバズ

「それでは辺境伯領とやらに行くかの」


「もう少し居たかったですわ」


「いい加減に帰らないとな」


 俺達は野営地の邸宅に別れを告げた。


「ここからは歩いて移動だ」


「転移すればすぐじゃぞ」


「移動が転移ばかりで服も汚れていない。冒険者らしくないから汚れを付けるために歩くんだ」


「はぁ! そんな事のために歩いて帰るのか?」


「小綺麗な格好をしていると色々疑われて面倒な事になるんだ。半日程度歩くだけだから我慢してくれ」


「嫌じゃ! 我は歩きとうない」


 ごねるあすかはティナの肩に座るリスに憑依した。夕方になる頃、辺境伯領の城門が見えて来た。


「おい、あすか! 人の姿になってくれ。ちょっとここに魔法陣を作ってくれ! 後、認識阻害も」


 俺は城門と川をはさんだ森の入口を指差した。


「レックス、我を使い過ぎじゃぞ」


 グチグチ言いながら魔法陣を展開した。


「これで野営地に転移出来るな」


「もう頼み事はないな? 我は人間と関わりとうない」


 そう言うとあすかはリスに戻った。


「あの場所に人間の街があるのですね」


「そうだな」


 俺達は森の入口からしばらく歩いて辺境伯領内に入った。


「すごい賑やかですね」


「そうなのかな、とりあえずクランに報告しに行くから俺から離れるなよ」


「はい!」


 ティナは笑顔で返事をすると俺の腕に自分の腕を絡ませた。


「おい、離せよ!」


「嫌ですわ! 迷ったらイヤですもの」


「仕方ないな」


 腕を組んだままクランに向かった。


「ここがクランという所ですか?」


「そうだ! とりあえず手を離してくれ」


 ティナはクランの入口で残念そうに腕を離した。


「なかに入るか」


 俺達はクランの中に入った。クランの中は冒険者であふれ、活気があった。


 俺は受け付けに諸事情を説明するとクラン代表の部屋へ通される事になった。


「もう暫くお待ち下さい」


 受付がいうので俺達は待合室のイスに座って待った。そこへリュートを持った男が所属パーティとともにあらわれた。


「あんた音の力で支援魔法を操る使い手だろ!」


 ぶっきらぼうに俺に話し掛けた。


「誰だお前」


「俺はブルーバズって言うんだ。以前俺のパーティにリュートを使って俺の仲間を助けてもらった事があったんだよ! 憶えていないか?」


「ああ、あの時の、確か『夜明けの真相』だったかな」


 ブルーバズの背後にいるパーティメンバーの一人が頭を下げた。


「貴殿のおかけでピンピンしております。」


 筋骨隆々の数々の死線をくぐり抜けて来た様な戦士風の男が声をかけた。


「あれには(しび)れたな! あの時の事は忘れられねえ」


 ブルーバズは興奮気味に語った。


「それは良かったな」


「頼む、俺を弟子にしてくれ!」


 ブルーバズは真剣な目つきで俺に懇願した。


「イヤだよ! そもそもお前リュート弾けるのか」


「全く弾けねえ」


「じゃあ、何で持ち歩いてるんだ」


「かっこいいからだよ」


「はあ!」


「いや、以前依頼を終えた帰り道にコイツを拾って持ち歩くようになって、それからやけに女にモテるようになったんだよ」


「それで」


「一曲弾いてくれと女どもにせがまれて困っちまってな」


「持ち歩かなければいいだろ」


「ちょっとしたファッションだよ」


「お前、音楽を舐めてんのか! ふざけんじゃねぇ!」


 俺は怒りにまかせ胸ぐらを掴んだ。


「舐めてねぇよ」


 ブルーバズは目を反らした。


「なら、お前が音楽にかける覚悟を示せ!」


 その時、クランの受付が代表の執務室に案内する為にやって来たので(つか)んだ手を離した。


 執務室に着くと代表と執事が出迎えてくれた。


「お久しぶりですね、無事、帰って来られて何よりです」


「ありがとうございます」


「ところで隣の方はどちら様ですか?」


 代表はティナを見た。


「エルフのティナといいます。旅の途中で知り合いまして、それ以来、成り行きでともに行動している感じです」


 代表は(いぶか)しげな目でこちらの方を見た。


「君は本当に帰省して来たのですか?」


 代表は俺に疑問を投げ掛けた。


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