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第十八話 ティナとの別れ? 

 シャーマンのバジャはこの女だらけの集落の責任者だと言う。見た目に若く見える。


 バジャはこちらの方へ目をやるとあすかを見て驚いた表情をした。


 ティナに何やら確認すると集落の女達を全員集めて、三人の前にひれ伏した。


「もうよい、(おもて)を上げよ」


 ひれ伏していた者達は頭を上げた。


「我はこの娘、ティナをこの地へ連れ戻しに来ただけじゃ、用も済んだしこの男と次の目的地に向かう予定じゃ」


「お待ち下さいませ、我が集落の族長にお会いして頂きたいのですが?」


 バジャは緊張した面持ちであすかにお(うかが)いを立てた。


「いいじゃろう、呼んで来るが良い」


 あすかがそう答えるとバジャは集落の若い女を族長の下へ走らせた。


 ティナが口をはさんだ。


「私は一体どうなるのですか?」


「お主とはここでお別れじゃ、今までご苦労じゃった」


 あすかは冷たく言い放った。


「旦那さまはどうなのですか?」


 すがるような目で俺を見た。


「悪い、お前とはここまでだ」


「一緒に連れて行っては頂けないのですか!」


 ティナは悲痛な叫び声をあげた。


「ティナはここに残った方がいい、その方がお前の為だ」


「レックスの言う通りじゃぞ、エルフと人間は何から何まで全て違う、人間なんぞと係わりを持たぬのがお互いの為じゃ」


 あすかが告げるとティナは大粒の涙を流し始め、膝から崩れおちた。


 (しばら)くすると族長がやって来た。


「ワタスが族長のスカリョであります」


 見た目年寄りで役職に相応(ふさわ)しい風貌(ふうぼう)のスカリョはあすかを見るなりひれ伏した。


(おもて)を上げよ」


 あすかがそう言うとスカリョは顔を上げた。


「無事、戻って参りました」


 憔悴(しようすい)しきったティナが声を振り絞ってスカリョに声をかけた。


「ティナか! 元気が無いようじゃの」


スカリョはティナの顔を(のぞ)きこんだ。


「大丈夫ですわ」


 ティナはか細い声で応えた。スカリョは心配した様子だったが、こちらを向いた。


「ヌシ様一行の来訪と孫の生還を祝して歓迎会の参加をお願いしたいのですが?」


「相わかった…… 孫の生還?」


「孫?」


 あすかと俺は互いに顔を見合わせた。


「ティナはワタスの孫であります!」


 スカリョは驚愕の事実を語った後、その場を立ち去った。悲痛な姿のティナもその後を追った。


 日が沈む頃、宴が始まった。


 中央には組みあげたたき火があり、それを囲むように男女のエルフ達が集まっていた。


 さらにその外側には素朴で野性味のある楽器を用いて演奏する者たちがいた。


 貴賓(きひん)席に当たる場所にはご馳走が並びそこに俺とあすかは鎮座(ちんざ)していた。上座にあたる席でもあるのでスカリョもいた。


 あすかは食べ物を(むさぼ)っていたが、俺は素朴な楽器に目が行った。


 王立魔法アカデミーで見た幻の楽器のいくつかが目の前に存在することに、気分が高揚した。


 楽器にはそれぞれ音を響かせ増幅させる為に共鳴用のドクロが装着されていた。ギターでいえば、弦を弾く側で丸い穴のある方だ。


「ヒョウタンじゃ無いんだな」


「わかりますか、今日は稀人(まれびと)が訪れた特別な日ですので、先祖の頭骨となっており、今は亡き先祖の方々にも参加して頂いております」


「そうですか」


 俺はそう答え、演奏に見入った。


 とにかく演奏はメロディを刻むというよりは、単調でありながらも複雑なリズムを刻み、パーカッシブな音色が、一種のトランス状態を作り出しているようだった。


 トランス状態の一つの起因はシャーマンのバジャの奏でる金属状の音であった。バジャの幻想的な音楽に乗ってエルフ達は踊り続けた。


「オルゴールに似たような音だが? カリヨンか!」


 俺は独り言ちて納得した。


 俺はあの楽器のどれかを演奏したいという衝動に駆られウズウズしていたところ、演奏者にティナがいる事に気づいた。


 俺は思わず立ち上がって落ち込んでる様に見えるティナのもとへ駆け寄った。


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