柔らかな光
「足、大丈夫か?」
俺は女に聞いた。
「少し、痛むわ」
女は俺の顔を見てこたえた。
「ここで、痛みが取れるまで、しばらく過ごすか?」
女は軽く頷いた。
俺は竹が生えている方を見た。
「長く住むわけでもないし、とりあえず、雨と風さえしのげれば良いよな」
俺は手持ちの短剣で竹を切りだそうとした。
「時間掛かりそうだな」
そんな事を呟いていると女が自身の短剣を持ち出して竹を切ろうとした。
短剣に魔力を纏わせ、振り抜くと柔らかいモノでも切るかのように竹が、スパッ! と切れた。
「スゲェ、どうなってんだ! こんなにあっさりと切り倒すなんて!」
驚いて、言葉に出すと女は照れたように微笑んだ。
「ありがとう! 助かったよ」
女にお礼を言った。
「取り敢えず、先にテーブルとイスを作ろう」
生活用の素材として直径三〜十センチ程度の竹も数十本ほど切り出してもらったのを使い加工して組み立てた。
「完成したから座ってみてよ」
そう言うと、女は恐る恐るイスに座った。
「なんだか座り心地あんまりよくないわ」
「座る部分には小さめの竹を並べたんだけどな」
「まぁ、仕方ないわ、シロウトですもの」
「テーブルはどうかな?」
女は触り心地を確かめた。
「微妙ね」
俺は何とも言えない反応に意気消沈したが、会話が成立しただけで、なんだか嬉しくなった。
少し落ち着いた俺はちょっと離れたところから女の方を見た。その日、陽射しがあたたかく、心地よい風が吹いていた。
木漏れ日の揺れる木々の隙間から差し込む光が地面に模様を描くと俺はイスに座る女の髪が陽の粒を受けてきらめき揺れるのを見た。
柔らかな光は女を周囲の緑に溶け込ませる事もなく白い肌の輪郭を浮かびあがらせてひときわ鮮やかに輝かせて魅せた。俺の目に写る女の瞳は見る者の心を一瞬でさらっていくように見えた。
俺はそんなエルフの神秘的な美しさに、思わず、惹き込まれそうになった。そして、息をのみ 、思わず、その場に立ち尽くしたまま、女に見入った。
「キレイだ……」
つい口に出てしまった。
「まあ!!」
そう言って女は両方の手のひらを頬にあて驚いてみせた。そして視線は俺を捉えながらも、わずかに 身を逸らすような仕草を見せた。
「あっ! ゴメン、深い意味はないんだ。忘れてくれ」
そう言うと、何故か女はよそよそしくなった。
そのせいで俺も変に意識してしまった。
「ちょっと魚の罠を確かめてくる」
気恥ずかしくなって、その場を離れたくなった俺は仕掛けた罠を見に行く事にした。




