【初めてのライブ】第4話:『東京たんこぶ (Tokyo Bump)』
『東京たんこぶ (Tokyo Bump)』
https://youtu.be/q5zjqxm6clo
※こちらで視聴可能です
熱気と期待が渦巻く都内某所の小さなライブハウス。
スポットライトがまぶしく、会場はぎゅうぎゅう詰めの観客で埋め尽くされている。ステージに上がる前の緊張が、メンバーそれぞれの胸を高鳴らせていた。初めてのライブハウス。初めての観客。
照明が落ち、暗闇の中でステージへと進む五人のシルエット。やがて、わずかな光がユメカのピンクの髪を照らし出す。
「はーい! みなさーん! こんばんはー!」
ユメカがマイクを握り、いつものふわふわした笑顔で観客に語りかける。その癒し系の声に、会場からどよめきと笑い声が起こる。
「えっと、私たち、今日が初めてのライブなんですけど、すっごく緊張してて…あの、さっきも舞台袖でつまづいちゃって…」
ユメカがてへぺろと笑いながら話すと、観客からも温かい笑いが漏れる。その天然なMCに、隣のミオが苦笑し、葵は静かに見守り、ルナは小さく肩を揺らし、凛は微笑んでいた。
「でも、今日は、私たちの自己紹介の曲ができました! バンド名と曲名、同じなので、皆さん、ぜひ覚えていってください!」
ユメカがそう言うと、ミオが大きく息を吸い込み、ルナがスティックを構え、葵がギターを肩に担ぎ直す。凛はキーボードの前に立つ。
そして、全員で声を合わせた。
「東京たんこぶ!」
ザンッ!と、葵の鋭いギターリフが空間を切り裂き、ルナのパワフルなドラムが爆音で続く。ユメカの温かいベースラインがその下に流れ、凛のキーボードが鮮やかな彩りを添える。ミオがマイクを掴み、情熱的な歌声を響かせた。
『東京たんこぶ (Tokyo Bump)』
https://youtu.be/q5zjqxm6clo
※こちらで視聴可能です
【歌詞】
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転んで泣いた夜に
ギターだけが鳴ってた
公園ベンチがステージ
観客ゼロでも構わない
バンド名は “東京たんこぶ”
笑われても、バカにされても
タンバリンもズレてるけど
この音はウソじゃない!
Tokyo Bump! でっかいたんこぶ
できるくらい夢にぶつかって
君のハートにちょっとでも
このビート 届いたらOK!
Tokyo Bump! へたくそでも
歌うたび少し強くなる
涙の跡が光ってる
それがたんこぶの証さ!
「売れないでしょ」って言われた
「意味わかんない」って苦笑された
でも君が笑った、それだけで
ライブハウスが宇宙になった
ぼくらのバンドは、小さくて、下手くそで、
でもね、たんこぶは勇者の勲章なんだ。
転んで笑って、また走り出す――!
Tokyo Bump! 恥ずかしくても
ダサい名前が逆にイイでしょ?
君の涙も ほらきっと
強さに変わるメロディさ
Tokyo Bump! さぁ歌おう
笑われたって本気で行こう
転んでもまた立ち上がる
それが “東京たんこぶ”!
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最後のシンバルが響き、ミオがシャウトで曲を締めくくると、会場からは割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。五人の少女は、息を切らしながらも、達成感に満ちた笑顔で観客を見渡した。
葵は、普段見せないような、ほんの少し口角を上げた微笑みを浮かべていた。その瞳は、ギターを弾く前と同じく静かだが、そこには確かな充実感が宿っている。
ルナは、ドラムを叩き終えると、普段のおっとりとした表情に戻り、額に汗を浮かべながらも、満足そうにスティックをクルクルと回していた。
ミオは、全身の力を使い果たしたかのように、マイクスタンドに手をかけていたが、その顔は喜びと興奮で赤く染まっている。「やってやった!」という達成感が全身から溢れ出ていた。
そして2曲目の演奏がすぐに開始された。
『東京たんこぶ (Tokyo Bump)』
https://youtu.be/q5zjqxm6clo
※こちらで視聴可能です