表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/39

【三年の眺望】第35話:『ふゆやすみ☆グルーヴ』

『ふゆやすみ☆グルーヴ』

https://youtu.be/SFNrvozxWbE

※こちらで視聴可能です


高校三年生、最後の冬休み。街はキラキラとイルミネーションで輝き、どこか浮かれた空気が漂っている。


その日の練習スタジオは、いつもの楽器の音ではなく、賑やかな笑い声と美味しそうな匂いで満ちていた。今日は「東京たんこぶ」の、少し早めのクリスマスパーティーだ。


「メリークリスマース!みんな、準備はいいかー!?」

サンタ帽をかぶったミオが、ジュースの入った紙コップを高く掲げ、高らかに乾杯の音頭をとった。

「「「かんぱーい!」」」

ルナ、ユメカ、あおいりんの声が重なり、パーティーが始まった。テーブルの上には、チキンやピザ、凛が焼いてきてくれたジンジャークッキーが並んでいる。


「うーん、おいしい!凛ちゃんのクッキー、天才的!」

ユメカが頬をいっぱいに膨らませながら、幸せそうに言う。

「よかった。たくさん作ったので、皆さんでどうぞ」

凛がにこやかに微笑む。

「チキンもうめぇ!やっぱクリスマスはこれだよな!」

ミオは骨付きチキンにかぶりつき、ご満悦だ。


「はぁ〜、おなかいっぱい〜。もう何も食べられないかも〜」

ピザを3枚たいらげたユメカが、お腹をさすりながら言う。

「お、珍しいな。ユメカがギブアップなんて」

ルナが面白そうに言うと、ユメカはにぱーっと満面の笑みを浮かべた。

「でも、ケーキはベツバラ☆ミオちゃん、ケーキまだー?」

「出たよ、ユメカの別腹理論」

ルナが呆れたようにツッコむと、ミオが「お待ちかねのケーキ様、登場だぜ!」と大きな箱を持ってきた。


「うわー!すごい!街のケーキ屋さん、めっちゃ行列できてたでしょ?」

「並んだのは主にミオだけどな。私は無理」

「……人混み、嫌い」

ルナと葵が口を揃えて言う。

「いいじゃんか!甘い香りに誘われて、ちょっと並んじゃうのも冬の醍醐味だろ!」

ミオは、そんな二人の文句も気にせず、ロウソクに火を灯した。


ケーキを食べ終え、一息ついた頃、話題はお正月のことになった。

「クリスマスが終わったら、すぐハッピーニューイヤーだね!初詣、みんなで行かない?」

ミオが目を輝かせて提案する。

「行く行くー!おもちいっぱい食べるんだー!おせちも楽しみ!」

ユメカは、もう次の食べ物のことで頭がいっぱいだ。


「えー、初詣の人混み、ヤバくない?私は家でゴロゴロしながら、お雑煮食べてたい派なんだけど」

ルナが、こたつを恋しがるように言う。

「……同感。ヒーターの前が定位置」

葵も、珍しくルナに強く同意した。


「何言ってんだよ!一年の始まりだぞ!運試しのおみくじ引いて、みんなで大吉目指すんだよ!」

ミオが熱弁すると、凛が優しく助け舟を出した。

「ふふ、じゃあ、比較的空いてそうな時間帯を調べてみましょうか。早朝とか、意外と狙い目かもしれませんよ」

その言葉に、ミオは「さすが凛!」と尊敬の眼差しを送った。


「そういえばこの前、雪が積もった日あったじゃん?ルナ、靴びしょぬれになってキレてたよな」

「あれはマジで最悪だった。素直にドクターマーチンのブーツ履いてけば良かった。でも、ソール減ってきてたから…」

「転んで"たんこぶ"できてたかもね♪」

「たしかに(笑)」


「その後、ユメカが始めた雪合戦はちょっと楽しかったけど」

「楽しかったよねー!葵ちゃんが投げた雪玉、ミオちゃんの顔面にクリーンヒットしてたもんね!」

「あれはマジで冷たかった…!てか葵、お前、あのコントロールの良さはなんなんだよ!」

ミオに睨まれた葵は、ポーカーフェイスのまま、静かに一言。

「……たまたま」

その場の全員が、「絶対わざとだ」と思ったが、口には出さなかった。


高校生活最後の冬休み。一年の終わり、そして始まり。

「受験が終わったらさ、また来年も、こうやってみんなで集まってバカ笑いしようぜ」

ミオが、少しだけ真剣な表情で言う。

「まあ、気が向いたらな」

ぶっきらぼうに返すルナ。

「うん!約束だよ!」

満面の笑みで頷くユメカ。

「……」

静かに、でも確かに頷く葵。

「はい、約束です」

優しく微笑む凛。


「よーし!決めた!」

ミオは、みんなの顔を見渡し、最高の笑顔で叫んだ。

「この、あったかくてポカポカな冬休みの気持ち、曲にするぞー!タイトルは『ふゆやすみ☆グルーヴ』だ!」

「はいはい、出ましたミオの口癖」


ルナは呆れながらも、その口元は確かに笑っていた。

この特別な冬が、また一つ、彼女たちの忘れられない思い出の曲になる。そんな予感が、スタジオ中に満ちていた。

『ふゆやすみ☆グルーヴ』

https://youtu.be/SFNrvozxWbE

※こちらで視聴可能です


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ