003「白蛇?」
放課後。
巧切さんに生徒昇降口で待っていることを伝え、今、図書室に向かっています。
もちろん、巧切さんに嘘をついたのではなく、人に呼ばれて向かっているのです。巧切さんの用事が済むまでには生徒昇降口で待っているつもりです。
そして、呼ばれている人とは同じ一年生の神楽木勝己さんです。
昼休みに巧切さんがお弁当を食べ終わった後に私のところに来て、「放課後、図書室に来い。」とだけ言い残して行ってしまったので、何かしてしまったのかと色々心配になりました。
でも、でもでもでもでも、実は一目惚れで…なんてこともあるかも知れません。
………
本当だったらどうしましょう!本当にそんなことを言われたら私どうすればいいのかわかりません。
あれ?私の恋愛経験の無さが出てる。
そうこうしているうちに、図書室に着きました。
誰もいないように感じるのですがわかりません、図書室はかくれんぼができてしまうくらい広いのでどこかに隠れてて、私が見つけたら・・・なんてこともあるかもしれ──
足元がふわっとなるような感覚がして、
そこで私の意識はプツリと切れてしまいました。
*
どれくらい時間がたったでしょうか。
目が覚めると日はもう暮れそうで、太陽と反対側の空はだんだん暗くなっていました。
ということはもう随分と遅い時間のはずです。早く帰らなければ門限に遅れてしまいます。
と思い、寝転がったような姿勢から立とうとすると──いえ、立とうとしたのですがなぜでしょうか立てません。
何故?なんで立ち方が分からないの?なんで足がないような感覚なの?
ふと視線を上げると校門に向かう巧切さんの姿がありました。
私は必死に巧切さんに助けを求めました。
「巧切さん!助けてください動けないんです!」
すると巧切さんがこっちを向いて駆け寄ってきてくれました。そして、私を見下ろして
「まさか、白か?」
と質問してきたのです。
私ってそんなに印象薄いでしょうか?
「私ってそんなに印象薄いでしょうか?」
口に出してしまいました。
「いや薄いどころか今のインパクトはかなりのものなんだが」
どういうことでしょうか?
というか早く助けてくれないでしょうか。
「白、落ち着いて聞けよ。聞いて驚くなよ」
そう前置きを挟んだ後、彼は巧切さんは告げました。
「お前蛇になってるぞ」
──気を失いそうになりました。