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助太刀

挿絵(By みてみん)



ロープのような”ソレ”が喉を押し込んでくる。



息が・・・


息ができ・・・ない。




視界がぼやけ、せまくなる。



あぁ、意識が・・・。


と・・・にかく手を。


首と”ソレ”との間に入れた。



そして・・・


ええぃ!どうにでもなれ!!


ガブッ!


ロープのような”ソレ”にかみついた。


口の中に苦味と、なんともいえない香りがひろがった。



よくわからないけれど、


背に腹はかえられない!



ふんぬぬぬぬぬっ。



ブチぃっ!


切れた、ロープのようなソレが。



ゴホっ、ゴホっゴホ。


ゴホっ。


ぼくは、息も絶え絶えに地面にうずくまった。


「ぢょ、ぢょっど、ダイム・・・」


ようやく呼吸ができたのも束の間、

再び”ソレ”は、足元を這うように忍び寄ってきた。


シュロロロロロ、シャーーーーっ。


おいおいおいおい、


呼吸を整える暇もないのか。


あぁ、今度こそ、万事休すか・・・


ふと、アミの顔が浮かんだ。


[ユウのつくるザックス料理は、なんかいいね]


なんで、こんなときに、アイツの顔なんか。


・・・


そうだな、またアミにパスタつくってやんないと、な。


西京に帰ろう。


こんなところで、


こんなところで、くたばってる場合じゃない。


「ふざけちらせーーーっ!」


ぼくは、また走った。

脚が、棒のようだ。


とにかく、逃げた。

うわわわわわっ!


挿絵(By みてみん)


くっ、がけ、崖だ。

落ちたらひとたまりもない。


パラパラと、砂や石が落ちる。


崖を背負い、襲いくるロープのような”ソレ”と対峙した。


一か八か。


ザザザザザザザっ


何かがまた近づいてくる。

あれは・・・人?


「ここは、任せるっす!!」


突然、鋭い風切り音が耳をつんざいた。

ザンっ、ザンっ


ザザザン!


瞬く間に、ぼくを再び襲ってきた”ソレ”は、切られていった。



目の前に立っていたのは、頭に大きな傘。


長い刀身を持った・・・サムライ?




「かずらども、なかなか厄介っすね。おぬし、まだまだ戦えるっすか?」

ロープのような”ソレ”は、どうやら”かずら”というらしい。


あれも、しょ、植物なのか?



「どこのどなたかは存じませんが、助かったよ。でも、もう、立っているだけでやっとだ」


「あとちょっとっす!もうすぐ応援がくるっす、それまでなんとか持ち堪えるっすよ」





ぼくは、よろめきながら転がってる石に手を伸ばした。

「やってやる。やってやるよ」


「かずらは、刃物で断ち切るのが一番っす。これを使うっす」


そのサムライはぼくに脇差を差し出した。




包丁より、少し長いだろうか。


刃物の扱いは慣れているつもりだ。


「話はあとっすよ。とにかくここを切り抜けるっす」




エノキの刀が緑と紫色に美しく光り輝き、ぼくを捕らえようと襲いかかってくるかずらは、まるで生き物のように悲鳴を上げ、次々と断ち切られていった。


ギィィィィヤァァァァっ!



「おぬし、今っす!」



「おおおおぉぉぉぉ!」


ぼくも、かずらに向かって切りかかった。



ズバっ、スバスバっ!


「ひゅー、やるっすね!」




「二人とも!!」


優しくて、澄み渡るような声がした。


「二人とも、こっちが安全よ!かずらが復活する前にはやく!!」


どこから現れたのだろうか。

赤い髪をした、色とりどりの羽織を着た女性が叫んでいた。


「あ、あなた・・・は?」


「やっと、来たっすね!イロハ殿」


「エノキさん、早過ぎです。なんとか間に合いました。話はあとでしましょう。今は逃げの一手です!」


ぼくは、イロハと呼ばれたその”人”に手を引かれ、

無我夢中で走った。


「しんがりは任せるっす!イロハ殿、その方を頼むっすよ!!」


意識は朦朧としていたが、火事場の馬鹿力というやつだろうか。


体力はとっくに限界のはずなのに、

これまで走ったことのないようなスピードで足が動いているようだ。


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