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こだまこまちと杜人ユウ  作者: こだまこまちProjectもおちゃん
第3章  癒しの里の衝撃
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応急処置

挿絵(By みてみん)


えっ!!


全く想像をしてなかった。


女の子??


なのか?


かろうじて、黒に覆われていないところからは、白い肌が見えている。



(うぐっ。うわぁぁぁ。)


このうめきごえも、みんなには聞こえないようだ。


なぜ・・・。


これは、ぼくだけに聞こえてる声。


杜人の資質。


だとすれば、この子は・・・


「精霊・・・なのか?」


場の雰囲気が変わった。


「精霊?そなた、この者を精霊と申すのか!!?」


挿絵(By みてみん)


ヒノキが荒ぶった声を挙げた。


「まさか、精霊が。怪異をここに連れてきた?」


「ということはじゃ、この精霊界には怪異と通ずる者がいるということじゃな」


「えぇ、アンタと意見が一致するなんて、しゃくだけど、アンタの考えは、私の考えと同じよ」


「おぃ!聞き捨てならなぁ。そなたの考えが、妾の考えと同じなのじゃ」


「いや、逆よ!」


「いいや!」


「あのぉ、お客様方」


おぉ、さすがヨコグラ師匠。


このバチバチの雰囲気に割って入るなんて。


さすがすぎます・・・。


「横から大変失礼をいたします。この者をどうするかもそうですが、エノキ様のことが気にかかっております。エノキ様は、私めをかばって、負傷なさった上、申し訳なく思っております。まずは、エノキ様の応急手当をさせていただいてもよろしいでしょうか」


挿絵(By みてみん)


「そうだ!エノキさん!しっかり!!」


「はっはっは!エノキよ、だらしないのぉ」


「ヨコグラ師匠。まずは、エノキさんをよろしくお願いします」


「かしこまりました。ユウ様、お力を貸していただけますでしょうか」


「もちろんです、ヨコグラ師匠」


「ユウ様は、患部と思われるところに星水をかけてさしあげてください。私めは、星水をエノキ様に飲ませて差し上げます。身体の外側と内側から、星水で挟み込むことで、患部の症状が少し和らぐかと」


「イロハ様とアスナロ様は、星水を汲んできてください!」


「はい!」


「はいいぃぃぃぃぃぃいいい!」


「おい、支配人!妾は何をすればよい?」


「ヒノキ様。お力添え、ありがとうございます。ヒノキ様は、こちらにお控えください。もし、エノキ様の中にまだ怪異の一部が残っていた場合、私たちに襲いかかってくるやもしれません。そんなときには、ヒノキ様のお力が頼りでございます」


「うむ、心得た」


「ヨコグラさん!星水です」


イロハ先生とアスナロくんが、大きなバケツを持って駆け寄ってきた。


ヨコグラ師匠は、コップに一杯汲み取り、ぼくに指示を出した。


「ユウ様。同時にいきますよ」


「わ、わかりました!」


(う、ゔぅ)


エノキさんが、声にならない悲痛を訴えている。



「せーの」


ヨコグラ師匠がエノキに星水を飲ませるタイミングを見て、ぼくもエノキさんの全身に星水をかけた。


しゅううううぅ


エノキさんから、湯気が立ち上り、黒い斑点が徐々に薄くなっていく。


挿絵(By みてみん)


かはっ、かはっ!


ゴホっゴホっ!



ぴちゃ


ぴちゃ


「はっ!」


エノキさんの口から飛び出した黒き液体の怪異は、ヒノキの一声により、跡形もなく消し飛んだ。


「やっぱりまだ、残っていたのね。怪異」


「身体の中から蝕んでいるのですね。でも、これで・・・」


「よ、ヨ・・・コグラ殿・・・。世話に・・・なったっ・・・す。これで、自分は・・・大丈・・・夫っす」


「エノキ様。さっきは、ありがとうございました。まだ完全に回復はされておりません。星水は、身体の中にルミナを満たします。だから、話せるくらいにはなるのです。でも、すでに傷を負ってしまった細胞を修復するには、まだ時間がかかります」


「そ・・・それ・・・は。困る・・・っす」


「とにかく今は休むのよ、エノキさん」


「う・・・む。そ・・・う・・だ。この星水を、あの方に・・・も・・・。も・・・しか・・・したら・・・自分と・・・同じ・・・症状・・・かもしれない・・・っす」


「おいおい!エノキよ。気は確かか。もしかしたら、あの方は、怪異とつながっているのかもしれないのだぞ」


「は・・は・・・は。最・・高・神とも・・・呼ばれたヒノキ殿・・・が、おそれ・・・をなした・・・っすか」


「なにをっ?!」


「ユウ・・・殿を・・・信じるっす。きっと・・・あの方は、精・・・霊っす。は・・・や・・・く、手当て・・・を」


「ユウ様。エノキ様のお言葉です。この宿にいらしてくださった方には、どなた様であってもおもてなしをするのが、私めの役目でございます。星水での歓迎をさせていただきたいです。ユウ様、あなた様を信じさせていただいてもよろしいでしょうか」


「ヨコグラ師匠・・・。うん、手当てしよう」


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