表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こだまこまちと杜人ユウ  作者: こだまこまちProjectもおちゃん
第3章  癒しの里の衝撃
36/51

味の記憶

挿絵(By みてみん)




記憶。


ぼくは、物心ついたときから、おじいちゃんに育てられた。


だから、自分の両親のことをあまりよく知らない。



「おじいちゃん。ぼくのお父さんはどこにいるの?お母さんは?」


「ふむ。そうじゃな。どこにいるのかのぉ」


「いつ、帰ってくるの?」


「ふむ。いつか帰ってくるかのぉ」


「どうやったら、会いに行けるの?」


「ふむ、どうやったら会いにいけるかのぉ」



おじいちゃんに、両親のことを尋ねると、いつもおうむ返し。



忘れてた。


ヨコグラ師匠のおむすびを食べるまで、すっかり忘れてた。




両親との思い出。


あぁ、なんで忘れていたんだろうか。



顔もよく思い出せないんだけど。


確か、あれは外で。


たくさんの色があって。


木があって。



「おい、そんなに走ると転ぶぞ」


「ユウったら、あんなに跳んで跳ねて。よっぽどこの場所が好きなのね」


「あぁ、でも、この生活も、もうおしまいだな」


「えぇ。でも、あなた。また、私たち、こうやって家族で森を歩ける日が来るわよね」


「・・・そうだな」



「母ちゃん、父ちゃん!こっちこっち!!」


「おい、ユウ、あんまり遠くへ行くなよ。それより、そろそろごはんにしようか」


「ユウ。今日はね、お弁当に”おむすび”をつくってきたのよ」




うう。


ぼくは、大馬鹿者だ。


おむすびと出会ったのは、今日がはじめてじゃない。



母ちゃんが。

母ちゃんがにぎってくれたおむすび。


なんで、ぼくは忘れてしまっていたんだろう。






「ヨコグラ殿ぉぉぉぉぉ!ヨコグラ殿が握ってくれたおにぎり、最高っすなぁ」


「えぇ、ヨコグラさんのルミナがこもっているわね」


「はい、腕にヨリをかけて作らせていただきました。おむすびは、握ったもののルミナがこもっていきますからね。 今朝は、 私自身、星見川で身を清めさせていただき、お米に触らせていただきました」



「ヨコグラ師匠・・・ヨコグラ師匠のお料理はなんでどれもこんなに優しいのですか?」


「私めのお料理をそんなに褒めてくださるなんて。光栄です。少し長くなりますが、私めのお料理との出会いのお話、少しさせていただいてもよいですか?」



「はい!」


「うん、聴きたいわ!」


「ヨコグラ殿のお話とあらば、自分も聴かせてほしいっす」


挿絵(By みてみん)



「古いお話です」


そう言って、ヨコグラ師匠は語り始めた。




「あれは、私がまだ樹木だったころのお話です。この地は、星が降って、一晩でその土台が形成されました。谷ができて、川が流れて、星の成分が含まれて。肥沃な土地となりました。星には、種子がくっついていて、星がこの地に落ちるとともに、あちらこちらに散布されたのです」


挿絵(By みてみん)



「これが有名な、”星散布”ね」


「はい、そうです。さすがでございますね、イロハモミジ様。私たち生きとしいけるものは、どうにかして、子孫を残そうとします。種子を撒き散らすのです。私め共は、どこか自分たちが繁栄できる場所を探して、ずっと宇宙を彷徨っておりました。そして見つけたのがこの地球だったのです」



挿絵(By みてみん)



「ひぇぇぇぇーー!世界を行脚した自分も、さすがに宇宙は行ったことがないっす。ヨコグラ殿は、別の星からやってきたったことっすね」


「はい、そういうことになりますね。私めもまた、その種子のひとつなのです。この地は、本当に住み心地のよいところで、私はすくすくと大きくなりました。その当時は動物や虫たちもたくさんおりました。みんな、私めに優しくしてくれました。そんなこんなで、この土地には、珍しい植物や動物がたくさんおりまして、アステリオのご先祖様もこの地で生まれたのです。そして、次第に人間も往来をするようになりました」


ヨコグラ師匠は続ける。


「そして・・・」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ