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特殊世界突入

 特殊世界攻略のための戦力が着々と集まっていた。木更津に。


 日柚知、遊久音、士の三人も木更津駐屯地へ向かっていたところだが、


「中学生? ココ通行料取るんだよねー!」

 

 路地を通ろうとして今の時代にいるはずのないような不良に絡まれていた。


「じゃあ迂回しよう」

 士は冷静な奴だった。三人は大通りに出ようと回れ右をした。不良が遊久音の肩に手を掛ける。

「待てよ、もう入っただろ道に」

 遊久音が尻もちをつく。

「きゃっ」

 日柚知は2秒以内に不良の顎めがけて拳を振り上げた。士は4秒以内に尻もちを付いた不良に蹴りを入れた。


 6秒経った。

 三人は慌ててその場から立ち去ろうとする。不良は独りぼっちではなかった。路地をふさぐように仲間が現れる。

「昭和かよ……」

「指が、指がっ!」

「二人とも……どうしよっか」

 

 三人が行動に困るも、不良たちは勝手に捌けて行った。

「あっヒトマルだ。戦車だ戦車」

 彼女らの迎えが来たのだった。


 木更津駐屯地に各国の陸上戦力が集結し、国連によって開発された大型の魔力装置が置かれている。

 ここが、特殊世界攻略作戦において最も都合のよい軍事基地だったのだ。

「私達のほかに魔法少女はいないのかな?」

「訊いてみる!」


 遊久音が軍人の一人に走って行って声を掛け、すぐに二人の元へ戻った。

「あと三人いるって」

「三人かぁ……」



「ふふふ、無人戦爆連合を出せ」

「既に」

 ターニングとビギニングが話を少しした。そしてすぐ、無数の光点が哨戒中であったイージス艦なちのCICで確認される。そして、護衛艦隊を避けるように進路を変えながら、時間をかけて木更津駐屯地へのルートを構築していった。

「未確認機が多数。総員、対空戦闘用意!」

「空自機がスクランブルをかけてます。グローバルホークもすぐ近くに……敵の正体がわかるまですぐです」


 RQ-4グローバルホークが無数の機体の姿を捉える。どれもコックピットに人影はなく、ひとりでに飛んでいる。


「木更津駐屯地へ敵の航空部隊が向かっています。Tu-95ベア戦略爆撃機が12、Mig-29フルクラム戦闘機が24。国籍は不明!」


 スクランブルした空自のF-15とF-14が遠距離で敵の大軍を捉える。


「「「「FOX3!」」」」

 

 無数というには少ない数だが、とにかくニ十発ほどのミサイルが、戦爆連合へと襲い掛かった。真っすぐと飛んだミサイルは無防備な機体を次々に撃ち落とす。


 グローバルホークは全てのベアが火を吹きながら落下するか爆散する様子と、残った10機ほどの戦闘機フルクラムがアフターバーナーをふかして加速する様子を捉えていた。

 それらの数機がレーザー誘導爆弾を抱えていることも。


 木更津駐屯地内でのどよめきはやがて少女たちにも波及する。

「私、行って来る!」

 日柚知は変身し、魔法少女ウトトとして空へ飛び出した。


 空自部隊を追い越し、フルクラムの編隊に接近するウトト。断熱圧縮によって彼女は熱源となった。


 それを感知したフルクラムの編隊から無数のミサイルが発射される。


「ベボル!」


 ウトトは飛行しながら紫の柄の長剣でミサイルを切り払い、フルクラムの機関砲の射程内に突っ込んだ。


 編隊とのすれ違い様に一機を両断し、クルビットのように宙がえりをして、横にロールしている最中のフルクラムに狙いを定める。


「ホリゾンタルブレード!」


 剣が光を帯びて刀身が伸びる。ウトトがそれを振り回し、フルクラム二機を撃墜した。


「一機の操作系統を移してくれ」

 様子を見ていたメイキングが、指示中のターニングへ話しかけ、ターニングは頷いた。


 一機のフルクラムが急降下し、雷撃機の如き低空飛行と洋上迷彩で空自とウトトから姿をくらました。


 フルクラムと空自機、ウトトが巴戦を繰り広げ、一機を残してフルクラムは次々に火を吹きながら落とされていった。


「少し手伝ってやろう。メイキング」


 フルクラムが唐突に上空に現れた。少なくとも空自の戦闘機とAWACS、ウトトはそう認識した。


 フルクラムが急降下しながら、残り五発の空対空ミサイルを放つ。


 マニューバ、フレア等々各々の方法でミサイルを躱す。


「もらった!」

 フルクラムが、フレアを放った直後のF-15イーグルの背後に接近する。


 フルクラムの30mm砲が、イーグルの右エンジンを貫いた。

「やられた!エンジン停止!」

「やったぞ!クリティカルヒットだ!」

 わずかな油断で、フルクラムは背後に近づくウトトに寸前まで気が付かなかった。

「やっば」


 振り下ろされた拳を、アフターバーナーの加速で避け、空自機のミサイルと機関砲を無人機ゆえの無茶苦茶な機動で避ける。

「振り切られるぞ!」

「やつも機関砲を撃ち切った。何をする気だ」


 フルクラムが加速する。


「敵機接近!」

 低空飛行するフルクラムの前には、戦艦長門の姿があった。

「副砲、撃ち方始め」

「撃て!」


 片舷六門の57mm砲がフルクラムへ向けて全力の連射をする。


 砲弾によってフルクラムの右翼端と尾翼が吹き飛び、制御を失った。


「総員、衝撃に備え!」


 砲弾を受け続けて粉々になったフルクラムの破片が長門に降り注いだ。


 

 特殊世界攻略作戦は、元通りに行われた。

「魔法主機起動せよ!」

「主機起動!」

 

 空間に穴が開き、向こう側に白い荒野が現れた。

「全車突入!」


 戦車、兵員輸送車、自走対空砲などが次々と魔法世界へと突入した。

「総員確認してきたと思うが、ここより東に100km地点に向かい、攫われた人間の確保を行う。道中、介入が予想される敵の基地は4。こちらとの戦力比は三対一。敵は全て無人機であると予想されている。そして、魔法少女による攻撃もあり得る。あらゆる出来事が攻撃の前兆だと思え!」


 早速ゲパルト対空砲が、偵察ドローンを撃ち落とした。

「南西方向から来た奴です」


 

「早速落とされたか。やはり腕のいい……キリング、おそらく捕らえた奴らは戦闘音に反応して脱出を企てる。行っておいた方がいい」

 ターニング・ハンドの言葉で、キリングは建物の窓を開けて跳び発った。

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