表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
*魔王が現れた  作者: サークハル
2/2

第1章 落下

 「カイト!ちょっと手伝って。」


 少女は一本のロープを器用に使い暗い穴を登っていく。


 その後に続くように同年代位の少年が二つ返事をしながら登っていく。


 「おいおい...上るの早えーよ。」


 やっとの思いで登った少年に少女はワイヤーを支えるよう頼み、右足に付いているホルスターに手を伸


ばす。


 ロープがミシミシと音を立てている。


 「揺らすなよ!落ちちゃうだろ!」


 「こういうエレベーターには落下の衝撃を抑えるためのバネが備えられてるから多分大丈夫よ。」


 「たぶんて...」


 少女が取り出したのは淡い黄色のナイフだ。


 その刃は透明で、ランタンの火を反射していてとても美しく、血管のような独特な模様が浮かび上がっ


ていた。


 少女はワイヤーに刃を当てると金属製のワイヤーは手の動きに従ってするすると切れていく。


 「やっぱりシンチュウの甲羅は切れ味がいいなー。エレベーターのワイヤーでもするする切れちゃう


 や。」するする


 「そりゃよかったな...って、重っ!」


 3階の間を行き来していたであろうエレベーター。


 それは長く、太く、重い。


 とても一人の少年に支えられる重さではなかった。


 「落ち..る...」


 

 パシッ



 「ふう、危ない危ない。」


 ギリギリのところで少女の手は少年を捕まえた。


 「でもこのままだと...」



 ミシミシ...ガキョン!



 しかし、ロープを取り付けていたエレベーターの巻胴は長年放置し続けられた結果劣化が進み、彼らの


体重を支えることができずにそのまま落下してしまった。



 うわあああー


 ばすん...きしきし


 

 彼らが落下するよりも少し遅れてエレベーターの巻胴も落下し、ゴーンと銅鐸のような低い音が鳴り、


あたりにこだまする。


 茶色く錆付いたその表面はこの世界自体を表しているようだった。


 「いたたた...あっカイト大丈夫?」


 「...どうにか」


 ラッキーなことに落下した先にはエレベーター落下時の衝撃吸収のためのバネが仕込んであった。


 「でもまずいわね...このままだと奴らが...」


 自分たちの命が助かったというのに安心してはいられない少年少女。


 「...マモノがくるわ...」

登場生物紹介

 シンチュウ

 真鍮のような色の殻を持つ、ダンゴムシのような見た目のマノモノ。

 その殻は非常に硬いので、加工してナイフや刀などの刃物に利用される。

 熱には弱く、加工する際には一度火で炙って柔らかくしてから加工する。

 最大で、全長10メートルにも及ぶ巨体を持ち、大きな個体からとれる殻は透明度が高く、とても

 美しい。

 なお、その見た目に反してかなり獰猛な性質を持っており、肉食。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ