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信用問題

作者: トネリコ





 


 「ねえ、こっち見て。そこにお化けがいるよ」



 ああ、また言ってる

 あの子の父親は浮気して出て行ったらしい

 あの子の母親はいつも若い男と遊んでる

 かまってほしいんだろうねえ

 かわいそうに、かわいそうに



 「ねえ、こっち見て。あなたの後ろについてるよ」


 

 ほんと、いつまで言うんだろうねえ

 いい加減こっちも気分が悪くなるよ

 息子にも近づいて欲しくないんだけどね

 クラスでも浮いてるって話じゃないか

 まあ、あの言動に服装じゃあねえ

 惨めでみすぼらしいったらありゃしない



 「ねえ、こっち見て。あそこにお化けがいる」


 

 少女が指差した先を見る

 誰の目にもそこには何も見えない

 汚い学校の天井が映るだけ

 噓つきだ!!嘘つきだ!!

 何もないじゃん!!

 私も見えるよ。でも、あそこには何もいない


 

 「ねえ、こっち見て。あそこに」


 

 一人で少女は遊んでる。

 砂場でぶつぶつ呟いて。

 ああ、かわいそうに

 あんな環境だからああなったんだろうね

 いや、あんな子供だから誰も構わないのさ



 「ねえ、こっち見て。その先には怖いのがいるよ」



 少女が指差した先はただの道路

 じゃあ行ってやるよ

 子供は少女を突き飛ばして道を行く。

 横断歩道を渡りきって振り向いた。

 ほら、何もない。お前は嘘つき

 その瞬間ちりんちりんと音が鳴る。

 自転車に驚いた少年は転んで膝のケガをした。


 

 「ほら、言ったのに」



 あなたは信じる?

 



 




 信用問題



 了






 

 

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