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三娘嗤う  作者: 南雲司
6/8

寺へ

すこし短め

[ポテチ]

 取り敢えず三娘は原世界へ帰還する手掛かりを探す事にした。昼餉の準備もしないと為らないのだ、無為に時を過ごす暇はない。朝食も軽くしか摂ってないのだから、直ぐに腹が空く。

 問題は切実なのだ。


「パリパリ」C。

「ポテチ!どっから出てきたし?」B。

「カァー」

 Cは、まあ食べなさいとでも言う様に、ポテトチップスの袋を二袋取り出しAとBに差し出した。ワタワタしているB。

「コーラとかも出せる?」

 何故平静で居られるAよ。

「カァァァー」

 一際高い声でCが鳴くと、大振りのペットボトルが三本ゴロリと転がった。

「これは幻の三リットルボトル!」AB。

 何故、三娘Cに召還魔法が使えるのか、問い質したい二人では在ったが、返って来る言葉がカアカアでは詮方無い。

 事実を事実と受け入れて善後策を練るのが賢いと言う物。


 三娘ABは、善後策としてチーズバーガーとフライドポテトを頼んだ。


[時間]

 アーカイブ内の時間は原世界と同じ様に流れているとは限らない。

 例えば虎治の分割ルームの時間軸は原世界のそれとは直交している。

 分割ルームで何時間過ごそうと、

 原世界の時計の針はピクリとも動いていない。

 だからと言って、ここの時間が外よりも早いとは限らない、

 逆もあり得る。


 出きるだけ早く出るに越した事はない。

 しかしだ、何だかお宝っぽいキラキラした物もゴロゴロしてるのだ。

 取り敢えずその辺に有った袋に、

 適当に詰め込みながらの探索になった。

 邪魔な飲み残しのコーラのボトルも居れてあるのだが

 何故か重さを感じない。


「持ち易いと重さは半減するからね」

 Aの蘊蓄にそんな物かと思うB。

 三娘Cの二の舞には為りたくは無いから指に嵌めたり

 被ったりはしないが、きゃっきゃっ言いながら(一部カアカア)

 結構な数を拾っていた。


 あの後、イチゴショートも出てきたし、お腹が膨れたら

 危機感と言うか急を要すると言った焦りの様な物は

 キレイサッパリ消えてもいた。


[ヤタガラス]

「なにあれ、ヤバくない?」Bがなにやら貴重品らしいと思えなくもない物の堆積した小山の上に踞る怪しげな巨大な鳥を指差して言った。

「指差してはいけない物だと思うよ」A。

 それは正しい指摘であった様で、その鳥は、立ち上がって咆哮を上げた。

「カァァァー」


「カラス?」A。

「三本足?」B。

「カア?」Cもコメントを発したのだが、残念、カラス語だ。

 Aが、カラスかどうか判別に迷ったのも、その筈でその鳥は金ぴかだった。嘴も曲がっていて、寧ろ猛禽類に見える。

「ヤタガラスとかこんな感じじゃない?」B。


[カアカア]

 虎治やサルーは兎も角、シャオやサスケラであれば、何故管理型としか思えないプロシージャが現れたのか察しが付いたかも知れない。

 だが、三娘には管理プロシージャと眷属、或いはただのモンスターとの区別は付かない。

 [アーカイブ]の中に居るのだから、シャオ様の眷属だろう位に思っている。いや、三娘でなくて二娘だ。


 三娘Cは、何かに気付いた様だ。


「カアカア」

「カァァァ」

「カア?」

「カァァァカア?」

「カァー」


 ややもあって、三娘Cとヤタガラス(仮)がカアカア合戦を始めた。どのカアカアがどちらのものか、さっぱり区別が付かない。

「会話してるのかな?」A。

「さあ?」B。


[リンク]

 三人はシャオとのリンクが切れている事には気付いてはいたが、異界との境界を潜った所以だろうと気にもしていなかった。例えば、転移門を潜れば簡単に切れる物だし、検索ラインが通っている所に出れば直ぐに繋がる。

 それより何だか、違和感がある。三人娘同士でリンクが張られている様なのだ。張られているとは言っても、何だかぼんやりしたもので、念話を飛ばしたりは出来ない。そもそも、後方にいる事の多い彼女等には念話を使う事も使われる事も滅多に無いのではあるが。


[寺へ]

 巨大な鳥がシュルシュルと縮んだ、と思ったらパタパタと飛び立った。

「カラスにはもう見えないね、金ぴかだし、雀位(大きさが)だし」A。

「カァカァ」

 Cが鳴きながら付いていく。

 AとBも取り敢えず追う。

 壁の前でホバリングするヤタスズメ(仮)、一声カアと鳴いた。


「出口?」B。

 加部に渦巻きの様な物が現れ、穴が空いた。

 外の景色が見える。

 穴は急速に大きくなり人が通れる程に為った。

 三娘Cが出る。

 ABも慌てて追う。

 振り返るとお約束通り何もない。

 三人は森の中にいた。

「あれ?」Bが呟く。

 リンクがなかなか繋がらない。

 探している様ではあるから、

 偶々、此処にラインが来て無いのだろうか。


 再びヤタスズメがカアと鳴いて飛び立つ。

 案内する積もりの様だ。

 三人は後に続く。

 目的地は、そう…。


寺へ(カア!)!」三娘ABC。


八咫烏の[咫]は十八センチ程を表す単位なのだそうです。

すると、八咫烏は百四十四センチカラス?まあ、この場合はでっかいカラスて事なんですけどね。

問題はシュルシュルと縮んだ[ヤタスズメ]ですね。

[ヒトタスズメ]じゃ、何だか変だし読み方も恐らくちがってます。なので[ヤタ]を残しました。後で名前変えるかも知れません。ネタバレになりますが此れからも三娘のおまけで度々出てくると思います。

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