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リア充は死ね(再掲載)  作者: 佐藤田中
第二章
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14話 初夜

「その日も私は直樹の隣で全裸で寝てたわ。直樹にエロい事をされてる夢を見てるって設定で、直樹の名前を何度も呟きながら喘いでいたけど、やっぱりその日も直樹は何もしてくれなかったわ」


 気持ち悪いよこの人……。


「だからやったのよ」

「何を……?」

「ナニよ。寝ている直樹のパンツを降ろして、直樹のちんぽをしゃぶったの」

「マジでやったのかよ……」

「マジよ」

「北大路さつきでもそんな真似しないよ……」

「誰それ?」


 世代じゃないからネタが通じないのか……。




「アイスキャンディ舐めるようにレロレロ舐めまわしたけど、モノ自体は塩の味しかしなかったわ」

「んな生々しい話しないでよ……」

「でも興奮したわ……」

「そりゃするだろうね……」

「夢にまで見た大好きな直樹のを舐めれたんだもん……」

 橘さんはうっとりとした表情をしながら言った。


 完全にヤバいわこの人……。

 っていうか怖いよ……。


「なにしろ初めてだから、どうやったら出るのかわからなくて、もたついてたらね……。直樹が起きたの……」

「そりゃ起きるよ……」

「直樹はちんぽをしゃぶっていた私を見て、大声出して叫んだわ」

「そりゃねえ……」

「直樹は怯えてたわ」

「そりゃそうだよ……」

「だって寝ている間に友達だとしか思っていない女が、全裸で発情しながら一心不乱に自分のちんぽしゃぶってたんだもん……」


 一歩間違うとホラーだな……


「私は泣いたわ……」

「多分直樹の方が泣きたかったと思うよ……」

「このままじゃ直樹に嫌われる」

「そりゃ嫌われるよ……」

「そう思った私は必死で謝ったわ。全裸で土下座しながら」


 謝って済む問題なの……?


「っていうか全裸で土下座って……、あんたには女としての恥じらいはないのかよ……?」

「そんなもの、小4の時に直樹のたて笛盗んで間接クンニして、それを元に戻して直樹にも間接クンニさせた時に捨てたわ」


 この人、幼少期からこんなだったのかよ……。

 気持ち悪すぎるだろ……。




「私は全裸で土下座しながら、直樹に対する感情を全部吐いたわ。泣きながら思いの丈を全部ぶちまけたの」

「思いの丈って……?」

「直樹が他の女に取られるのが怖かった。だから椿に散々嫌がらせした。親にも捨てられた。親戚の家でも疎まれた。学校でも皆と上手くやれなかった。ずっとひとりぼっちで寂しかった」

「…………」

「でも直樹との思い出だけを支えに生きてきた。辛い時にはいつも直樹の結婚してくれるって約束を思い返していた。直樹のことを考えなかった日は1日もなかった」

「…………」

「再会出来た時、本当に嬉しかった。直樹ともっと一緒にいたかった。直樹と離れたくなかった。直樹の彼女になりたかった。思っていたこと全部を直樹に伝えたの」


 いくらなんでも重すぎるにも程がある……。

 つーかこれ、全裸で土下座しながら言ったんだよな……?

 直樹も引いてただろ……。




「お願いだから抱いてって懇願したら、抱いてくれたの……」

「まあ、全裸で土下座されながらそれだけ言われたら……。いや、やっぱないわ……」

「ついに思いが届いたの……」

「思いが届いたっていうか……、折れたって感じだね……」


 僕が直樹に何故橘さんと付き合ったのか問いただした時、直樹が頑なに口を割らなかった理由が今わかった。

 そりゃあこんなおぞましい経緯で付き合っただなんて、言える訳がない……。




「正直ね、する時怖かったの……」

「そうかい……」

「初めては痛いとか、気持ち良くなれないとか、1週間痛みが続くとか、そもそも挿らないって、今まで散々聞いていたから。でも、相手が直樹だから怖くなかった……」

「どっちだよ……」

「何分お互い初めてだから、不安はあったわ……」

「で、痛かったの?」

「…………」

 橘さんはしばらく黙りこんだ




 そしてかつて見たことのない程の幸福感に溢れた顔をし、僕に告げた。


「直樹と初めてした時、私は確信したわ……」

「何を……?」

[私はこの為に産まれてきたって……」

「そうかい……」

「初めての時、私は二回したわ……」

「…………」

「直樹はイケなかったから、丁度よかった……」

「んな生々しい事、童貞の僕に言わないでくれよ……。リアクションに困るよ……」

「二回目は、直樹もイケたわ……」

「だからリアクションに困るよ……」



 

*




 その後橘さんは,直樹との性生活や直樹としてきた性交の詳細について赤裸々に語ったが、あまり詳しく書くとR-18指定に間違いなくひっかかるのでカットさせてもらう。




*


 


「私は毎日求め続けたわ。夢のような日々だった……」

「惚気話はもういいから、そろそろなんで浮気されたか話してくれない?」

「一つ屋根の下で、大好きな直樹と好きなだけセックス出来たんだもん。最高に幸せだったわ……」

「だからそろそろ浮気された理由を……」

「内股の黒子の数も数えあったわ……」

「聞いちゃいないし……」

「毎晩盛りあったわ……。朝も昼も夜も、毎日発情期の豚みたいに愛し合った……」

「いや、愛し合ったっていうより、話聞く限りだと殆どあんたが一方的にヤってるようにしか聞こえないんだけど……」

「………………」

 橘さんは黙った。


 直樹が浮気したくなった理由が、ちょっとだけわかったような気がする。




 しばらくすると橘さんはまた直樹との惚気話を再開した。


「でもね、段々普通にするだけじゃ物足りなくなったの」

「そりゃまた……」

「段々直樹におしっこを飲ませて貰いたいって思ったり、直樹のうんちを身体中に塗って貰いたいって思うようになったの」

「なんでそうなる……」

「あんたにはないの?大好きな人の出す一番汚い物で汚されたいって願望」

「ないよ……」

「そう?最高に気持ちいいわよ?」

「気持ち悪いよ……」

「もう、なんでこの良さがわからないのよ?」

「わかりたくもないよ……」


 僕もあまり人に言えないような性癖を持ってはいるが、それでもやっぱりスカトロの良さだけはわからない……。




「最初のスカトロプレイの時ね、普通にしてる途中にお願いしたら、流石に凄い勢いで拒否られたの」

「そりゃそうだよ……」

「でも一晩中全裸で土下座したら、うんちは無理だけどおしっこだけならって、飲ませてくれたの」

「…………」


 やっぱり気持ち悪い上に怖いわこの人……。




*




 その後橘さんは、直樹としたスカトロプレイの内容の詳細を赤裸々に教えてくれた。


 直樹の出した尿の色や味や勢い。

 直樹の肛門の微妙な動き、直樹の出した大便の形や色や感触に至るまで。

 そして直樹の肛門に僅かにこびり付いていた便を橘さんはどうやって処理したのかも、聞きたくもない直樹とのスカトロプレイの内容を橘さんは詳細に語り続けた。


 詳しく書くとこれもまたR-18指定に引っ掛かりそうだから省かせてもらう。


 読者の皆さんもこんな気持ち悪い話なんて興味ないだろう……。




*




「直樹は私の土下座に弱いの。直樹は私に申し訳ないことしたって思ってるから、土下座さえすれば何でもいう事聞いてくれるの」

「なんでも……?」

「うん、なんでも。だからおしっこ飲ませて欲しい時は全裸で土下座すれば飲ませてくれるし、うんち塗ってほしい時も全裸で土下座すれば塗ってくれるの」

「…………」


 それってある種の精神的DVじゃ……?




「汚いなあ……、色んな意味で……」

「汚いとは失礼ね。これが私と直樹の愛の形なのよ」


 この気持ち悪い関係が橘さんの言う所の愛の形なのか……?




「直樹はね、私におしっこやうんちかけた後、いつも私の身体を洗ってくれるの。足の指の間から髪の毛の先まで、私の全身隅々まで、口の中も歯ブラシで、とっても丁寧に洗ってくれるの……」

「…………」

「まさに至福の時よ……。それも楽しみでスカトロプレイしてたの……」

「…………」


 直樹とのスカトロプレイの事を語りながら恍惚とした表情をする橘さんを見て、僕は告げた。

 

「……気持ち悪い」

「え?」

 橘さんはきょとんとしていた。


「気持ち悪い」

「人の性癖バカにしないでよ」

「これだけは言わせてよ。本当に気持ち悪い。不潔とか不純とかそういう言葉通り越して、ただ気持ち悪い。マジで気持ち悪い。これ以上なく気持ち悪い」

「そんな汚物見るみたいな目で、御堂筋翔みたくキモキモ連呼しないでよ」

「キモイ じゃなくて気持ち悪いんだよ。純粋に気持ち悪いんだよ。あんたも、直樹も」

「別にそこまで言わなくても……」

「だってあんた汚物フェチだろ。気持ち悪いよ」

「私は汚されるのが好きなわけで、別に汚物が好きな訳じゃ……」

「どっちだっていいよ。気持ち悪い」

「いいでしょべつに!」

「第一、直樹はそんな事させられて嫌じゃなかったのかよ?」

「………………」

 橘さんは黙った。




「土下座して殆ど無理やりみたいな感じにやらせてたんでしょ?やっぱり嫌だったんじゃ……」

「今思うと……、ずっと、嫌がってたような気がする……」

「そりゃそうだろ……」

「そういえば直樹、私にうんち塗る時……、いつもビニール手袋使ってた……」

「介護職かよ……」

「でも……、したかったんだもん……」


 橘さんのその発言を聞き、僕は大きくため息をついた。




「そんなだから振られるんだよ……」

「うん……、そうかも……」

 橘さんはそう言い、虚ろな顔をしながら俯いた。

 



「あの日ね、直樹は私に言ったの。たまにはセックスじゃなくて、普通にデートがしたいって」

「まあ、そうだよね……」

「私は応じたわ。でも、今思うと、行くんじゃなかった……」




 ここから先の展開は何となく予想がついた。




「あの日ね、直樹と一緒に映画を見たの。女の子と男の子のからだが入れ替わったり、隕石が落ちたりする青春物のアニメ映画よ」

「橘さん達も僕と同じ映画を見ていたのか……」

「ああ、あんたも見に行ったんだ?」

「小鳥遊さんと一緒にね」

「まあ話題作だしね。でも正直クソつまらなかったわ」


 確かに橘さん受けしなさそうだなあ、あの映画……。


「小鳥遊さんもあれ見てつまらないって言ってたよ」

「あいつが私と同じ感想とかなんか嫌ね……」

「なんだかんだで気が合うんじゃないの?」

「やめてよ、気持ち悪い」

「だって同じ人好きになってるし、まあ直樹のせいでこんな風になっちゃったけどさ」

「本当やめてよ。気持ち悪いから」

 橘さんは素で嫌そうな顔をした。


 スペックは全然違うが、どちらも直樹の事が大好きで精神的にかなり依存していて、性格があまりよろしくなくて常識がない点は似ている気がする。

 橘さんと小鳥遊さんは、お互いがお互いを嫌いあってはいるが、もしかするとそれは同族嫌悪に近い感情なのではないのかと僕は思う。




「話が逸れたわね。私としては映画はつまらなかったんだけど、直樹的には面白かったみたい」

「あいつ、ああいう映画楽しめるタイプだったのか……」

「映画を見た後二人でね、町を歩いてウィンドウショッピングしたの。洋服やアクセサリーを見たわ。一緒にクレープも食べたわ」

「楽しそうなデートだね」

「直樹もね……、楽しそうだった。デートしてる時の方が、私とセックスしている時よりずっと楽しそうだった……」

「…………」


 せ、切ない……。


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