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とりあえずアマネとサトワ




轟音とともに土煙をあげ2つの太陽が西にだいぶ傾いた荒野を爆走する1台のバイク。


「おねえちゃん、今日はこの辺で泊まろうか」

「そうだね〜、じゃああそこの木の下にしよっか」


バイクは1本の木の近くに止まるとゴツいバイクから

黒い服にヘルメット、ゴーグルを纏った2人組が降りたった。


「あ〜…お尻痛い。今日はだいぶ進んだんじゃない?」


後ろの席から降りた背の低い黒服は伸びをしながらヘルメットとゴーグルを外した。


ヘルメットの中から現れたのはセミロングの黒髪のが綺麗な少女だった。


「そうだね〜、このスピードなら明日の夕方にはカリファに着くと思うよ」


運転席から降りてきた黒服はヘルメットを外すと銀に近いような白髪のボブカットの女性だった。


「おねえちゃん、今日の晩御飯は・・・」

「ブルーサーモン」

「また!?もう3日続けてだよ?いいかげん飽きたよ~」

「だって仕方ないじゃない。誰とは言わないよ?誰とは言わないけど、サトワって人が保存していたハニーピッグのお肉全部食べちゃったんだもの。残ってるのはブルーサーモンと果物くらいよ」

「うぐ・・・それは・・・」


ばつが悪そうな顔をする黒髪少女。どうやら白髪のほうが姉で彼女が妹のようだ。


姉妹がバイクのサイドバックから野営の機材を取り出していると二人の頭上を鳥の群れが飛んでいく。


「おねえちゃん!鳥!」

「そうね・・・この辺の鳥というとサンドポッポウかな」

「食べよう!」

「え!?」


妹は言うが早いか近くの石を拾って鳥に向かって投げた。

放たれた石は凄いスピードでまっすぐ鳥の群れに突っ込んでいった。


ぐぎゃ!みたいな音が聞こえたと思ったら群れから鳥が1羽落ちてきた。


「命中~!」


妹は鳥の落下位置に行く。

ちなみにサンドポッポウは大きな鳩みたいなやつでだいたい2メートルくらいだ。


「おっ肉!おっ肉!」


妹は仕留めたサンドポッポウを軽々と持ってきた。


「これで今日はブルーサーモンじゃないよね?」

「・・・そうね、ポッポウを焼きましょうか」

「やった!」


私の名前はコンタ アマネ 20だ。

趣味はバイクいじりとゲーム、あと料理!

ちなみに彼氏なし。

実家のバイク屋コンタカンパニーの跡を継ぐため物心ついたころから作業場で遊んでいてエンジン音が子守唄だ。

10歳のころにはエンジンをばらしていたし、無免許だけど溶接とかもできる。

妹とバイク旅行かって?

ははは、ブルーサーモンなんて魚聞いたことある?身が青いんだよ?

まぁ話せば長くなるんだけどさ、いわゆる異世界ってとこに来ちゃったみたいなんだよね。

今となりででかい鳥の羽をむしってる妹のサトワも一緒に異世界に来ちゃったの。



1台のアメリカンバイクが輝く白髪をなびかせ並木道を駆け抜ける。

新緑の綺麗な4月。


うん、いい感じだ。新しく替えたステップボードの感触はまずまずだ。


今日は坂田さん・・・このバイクの名前なんだけど・・・パーツを交換したのでその試し乗りだ。


バイクが止まるとライダーはバイクを降りてヘルメットを外した。


ヘルメットの下からはロングの白髪が太陽の光を受けて銀色に見える。

黒いツナギを着ている女性のようだ。


「いいね~。このステップボード!高かっただけあるよ~!」


ライダーは嬉しそうにバイクを見てスマホで写真を撮っている。


「は~・・・マジで坂田さんイケメン・・・マジでかっこいい」


ライダーはちらっとタンクのところを見た。


「これが無ければもっとかっこいいんだけどね~・・・ま、店の広告だから仕方ないか」


坂田さんは全体的にブルーメタリックでタンクも当然ブルーメタリックなんだが、白のインクで〇の中にCCと書いてある。

同じマークがライダーのツナギの背中にもでかでかと書いてある。


スマホが鳴ったので見てみると妹からのお迎え来ての連絡だ。


ライダーはスマホをしまうとヘルメットの被りエンジンを始動させ轟音と共に走り去った。


コンビニの駐車場に黒髪の少女が立っている。

近くの高校の制服を着ている。

少女はスマホを見ている。

迎え待ちだろうか。


「お!君可愛いね!」


少女が顔をあげるといかにもチャラそうな2人がこちらに近づいてくる。


「ねーねー、1人?おれら初めてこの辺来たんだけど一緒にカラオケ行かない?」

「その制服あそこの女子高のだよね。おれらこの辺にトモダチいないからさぁ友達とか誘って一緒にいこうぜ~」

「・・・すみません、今迎えを待っておりますので」


少女は愛想笑いをしながら断った。


「いいじゃん、そんなのほっといて行こうぜ!」

「・・・そんなの?」


男の1人が無理やり手を引いた。


「あ!ちょっ!」


少女が戸惑っていると轟音が近づいてきた。

メタリックブルーのバイクが駐車場に入ってきて少女の近くに止まると運転手はヘルメットを外し銀色に光る髪をなびかせた。


「おねえちゃん!」


少女は運転手を見ると嬉しそうに叫んだ。


「お!この子のお姉さんすか!美人さんじゃねぇすか!銀髪ってヤンキーなんすか?てか一緒に俺らとカラオケ行きましょうよ!」


もう1人の男が運転手の肩に手を置いた。


それがまずかった・・・


肩に置いたはずの男の腕が黒髪少女の手で逆方向に曲がられている


「オ”ィ・・・てめぇ何勝手に触ってんだコラァ・・・」

「いでででで!」


男はあまりの痛さに半泣きでひざまずいている。

少女の手を引っ張っていた男は自分が掴んでいたはずの少女が急に連れの

腕をひねっている状況にあっけにとられていたが、叫び声で我に返り手を見ると手首の関節が外されていた。


「おねえちゃんに触っていいのは私だけなんだよ・・・ナンパも許されない行為なのに触りやがって・・・腕へし折るぞてめぇ」

「いででで!すいません!すいません!」


腕を曲げられた男は半泣きから本気泣きで謝っている。

手首の関節を外された男も一緒に謝っている。


「はぁ・・・さっちゃん、もうやめて」

「は~い」


銀髪女性のため息混じりのやめて発言でようやく男の腕が解放された。


さっちゃんと呼ばれた少女は嬉しそうにバイクの後部座席に乗ると慣れた手つきでヘルメットをした。


銀髪女性もヘルメットをすると男2人にごめんねと言うと轟音と共にコンビニから走り去った。


うずくまる男2人にコンビニの中年店員が話しかけた。


「あんたらこの辺のやつじゃないだろ?地元の人間は絶対あの子をナンパなんかしないから」

「・・・なんなんだよあいつら」


手首を抑えた男がつぶやいた。


「お姉さんの方は普通の人だよ。バイクの整備をやってる。妹さんの方は小柄なんだけど古武術やっててめちゃくちゃ強いんだ。確かお姉さんも古武術やってたんじゃなかったけかな」

「古武術・・・」

「妹さんがお姉さん大好きで男が近づいてくるとあんたらみたいに撃退されちまうのさ。あんたらまだいいほうだぜ?なかには玉蹴られてボコボコにされた奴もいる。」


男たちは店員の話を聞くと股がヒュンっとしたのを感じた。


バイクは並木道を走っていく。


「さっちゃん、あまり無茶しちゃだめだよ?」


アマネは先ほどのサトワの行動を咎めた。


「え~だっておねえちゃんに触ってくるとか許せないし」

「それでも無茶して普通の人を攻撃しちゃだめだよ!さっちゃんは力強いんだから」

「ぶぅ~~~」


サトワは悪いことしてないも~んと言わんばかりに不満そうな顔をしている。

ミラー越しに見ていた私はため息をついた。


「まぁさっちゃんのおかげでナンパから解放されたからいいわ。お礼に今夜はさっちゃんの好きなもの作ってあげる」

「マジで!じゃあメンチカツ!」

「はいはい、本当にさっちゃんはお肉好きね」

「肉食べないと力でないもん!」


サトワの機嫌が一機に良くなった。

ちょろい。妹の性格は把握しているので簡単だ。


夕食のリクエストの材料が冷蔵庫に入っているか考えた時

視界の上から黒い人のようなものが落ちてきた。


ブレーキは間に合わないと思い咄嗟にそれを避けたがそのまま電信柱にぶつかって意識が途切れた。



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