第1章 第6話 スレインから見たドレグランス
ースレイン視点
私は目の前の少年を見て驚いた。大体の子供は矢を射かけた時点で走って逃げ出すのだが彼は走って逃げ出すどころかまるで気づいてもいないかのようにのんびりと座っている。今は魔物がいないからいいものの魔物が来たらすぐに死んでしまうだろう。だから心配して私はこう言った。
「そこの人族よ。疾くお前達の住まいし場所へ帰りたまえ。」
どうやら聞こえてないようなのでもう一度言ってみると少年は人族ではなく鬼人族だと言ってきた。何故鬼人族がこんなところにいるんだろう?鬼人族は基本的に無敵要塞『鬼ヶ島』に住んでいて出てきはするもののこのコルーアのそれも鬼ヶ島から真逆の位置に存在する中央大陸にこれるとは考えにくい。しかもこんな子供1人が、だ。まあ、稀に先祖返りで他種族の子として生まれることもあるらしいがな。私が驚愕していると彼はさらにありえないことをなんら問題ないかのように言い放った。
鬼人族だから家から追われている、と。
富と名誉の為だけに血の繋がった自分の子を狙うとは許せん。私はベリルを引っ張って緊急会議を行うことにした。ベリルも驚愕しているようで反応できずに引っ張られる。
「ベリル‼︎緊急で会議するよ‼︎子供を親が追っかけるなんてありえないんだけど‼︎」
「おい、落ち着け。あいつがまだ誰かもわかってないんだぞ。そんな奴を家に招き入れてみろ。家がめちゃくちゃになるかもしれん。」
「なんでそうなるの⁉︎あんたバカァ⁉︎」
「おいやめろ会話にネタを入れるんじゃあない。真面目な会議だろ。」
「ジョ○ョ入ってた気がするけど……まあいいか。で、どうするの?あの子を受け入れる?私は受け入れたい。理由はある。」
それから私が彼を受け入れたいーーーというか保護したい理由を話した。
まず、1つ目。やはり彼の言っていた種族柄家から追われている、ということだろう。住む場所がない上に、この状態で今まで通り家に帰せばきっと捕まって家の汚い計略に利用されるだろう。
次に2つ目。私は彼のステータスを見せてもらった。
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名前:ドレグランス・アウドバラード(転生者)
種族:鬼人族 年齢:5歳
レベル:12 魔力量:126 スキルポイント:216
力:125
敏捷:74
魔法耐性:106
知力:91
器用:39
精神力:60
幸運:41
スキル
刀剣術(レベル4)
ある程度、刀剣類についての知識、経験がある。刀と同じく本人の技術力は磨けば更に輝きを放つだろう。
格闘術(レベル3)
拳と脚を使い敵を倒すスキル。経験はあるがそこまでまだ光るものはない。
気配察知(レベル4)
周りの生物を察知できる。善悪、種族を察知できる。
書物解読(レベル2)本を少し読んだことがあるレベル。単語をちょっとずつくらいならわかるが信用には未だ値しない。
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このステータス、5歳にしてはやたらと高いけどそれでも魔の森で1人で生きていけるにはまだ足りない。放っておけば魔物に喰われた状態で見つかるだろう。しかもまだステータス隠蔽もしていない。またスキルポイントを使用してスキルを習得できることを知らないのかスキルポイントも有り余っている。
私はこれらの事を話した。すると、納得してくれたので迎え入れることにしよう。