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第8話「悪役令嬢と素材集め」

 スキル【調合】


 素材アイテム素材アイテムを合わせて、別の素材を作り出す能力。

 家づくりや武器づくりにおいて重宝される。

 ただ戦闘には不向きなスキル。スキルランクは進化前でもBランク。


 まみが調合したものは、スキルに記憶される。

 回数やレアなアイテムを作り出すことによって、スキルが進化、覚醒する珍しいタイプのスキル。

 本来スキルは心や身体的能力の上昇によって進化、覚醒するものである。


☆ ★ ☆


「スキル【調合】に関しての説明はだいたいこんなところです」


 ホワイトボートにわかりやすいようにイラストを描きながらの説明をコウコは終えた。


「さすがスキルに関しても博識だ。まみ、自分の所持スキルの仕組みは理解したな」


「は、はい……」

 自信がなさそうだが、実践しながら覚えていくだろう。


「よし、ではまずこの町にとりあえずの新居を建てる。まみがスキル使用に慣れるためにもレンガの家にしようと思うが、反対する子はいるかな?」


「あたしは賛成です。というか、早くカグヤさんの町づくりの方法やってみたい」


「レンガの家ですか、たしかルルブ家の書物保管庫でそれが出てくる童話を読んだことがあります。私もまずそれを作ってみたいです」


「まみは何でもいいです。お腹がすいたので、美味しいものが食べたい」

 まみはぎゅっとケティの手を握る。


「わかった、わかった。では素材集めの前に美味しいものを食べさせてあげるから、調合の作業を頼むぞ」


「はいっ!」

 いいお返事だ。


「とりあえずレンガをたくさん調合したいな。赤い砂を落とす魔物は……」


 わたしはゆっくり360度回転した。


「南南西に87キロくらいか。じゃあ食事をしたらそこへ向かうぞ」


「おうっ」

 ケティとコウコが右手を上げ、えっ、えっと迷った表情のあと、まみも二人に倣う。


☆ ★ ☆


 とある村のそばの草原地帯。コウモリレッドという魔物が多く生息している地域だ。


 わたし、ケティ、コウコとローテーションしながら、モンスターを倒していく。赤い砂を落とす確率は50%。複数体居れば入手できる数もそれだけ上昇する。


「ケティ、持ち時間を15分間に引き延ばそう。手ごたえがないだろう」


「えっ~、疲れるよ! 同じモンスターで飽きてきたよぉ」


 かれこれ数時間連続戦闘中だからな。


「じゃあこれで最後だ。大技も使用していいぞ」


「終わり! よおっし、ラストスパートだ」


 ケティと交代し、木の下で黙々と調合作業に没頭しているまみとそれを思案顔で見ている航行に近づいていく。


「赤い砂だ。22袋ある。レンガの数は今どのくらいだ?」


「2013個です」


 積みあがったレンガを左の人差し指で触れて小さくしていきながらコウコは答えてくれた。


「ほう。結構な量だ。ケティが終わったら場所を変えて、ほかの素材を集めておくか……まみ、疲れてないか?」


「平気です。食事その他もろもろお世話になるので、お役に立ちたいです」


 見た目と違って根性があるじゃないか。


 調合レベルが5まで上がっているようだ。

 まみのステータスをついでに出して眺める。レベル2。どうやら調合するだけでもスキル以外の経験値も上げるようだな。


 それにしても、この子がいたのは魔物の出現ランクが高い場所。それなのにレベル2ということは、今までの戦闘経験はなし。


 この子、いったい?


「まみはいい子ですね。いい人選でした」


 コウコはわたしの心を読んだかのように話しかけてきた。


「二人の意見を考慮した結果だ。調合スキルを持つおっさんもいたぞ。水分だけは取っておけよ、まみ」


「はいっ。なんか掛け合わせって面白いです。もっといろんなものをやってみたいです」


「すぐに色々やってもらう。人生をよりよくするには、いかに楽しむかだとわたしは思う」


☆ ★ ☆


 レンガを大量入手したあとは、森林地帯で木をなぎ倒しながら、素材[木]を大量に入手する。


 木は家づくり、武器づくりにおいて最も重宝されるものであり、物づくりの土台と言ってもよく、何を調合するにも必要な場合が多いのは間違いない。


 戦闘参加するためにまみには武器がどうしても必要になってくる。何の職業適性があるかは、装備できる武器などでも判断できるし、戦闘スタイルを見て後々変更していけばいい。


「では、手に入れた[木]と[曲がった枝]を調合してみてくれ」


「はい」


 まみの両手に挟まれた素材は融合し、その形を変化させていきブーメランが出来上がった。


「それなら、遠くからでも魔物を倒すことが出来、レベルを上げやすい」


「たしかにこれなら離れていても大丈夫ですね。まみにピッタリ。かぐやさん、ありがとうございます」


「礼を言われることはない。調合したのはまみだ」


「まみっちの最初の武器だぁ。ブーメランの種類、たくさんあるからレベルアップごとに変えていくのも面白いかも」


 まみはブーメランを手に入れ、嬉しそうにそれを装備した。

木+曲がった枝=ブーメラン(調合結果)

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