第13話「悪役令嬢の過去(7歳の時)」
7歳になったわたしは貴族の教育を受ける傍ら、ケティとコウコと訓練を重ね、力を実践において確かめたくなっていて、お庭でアフタヌーンティーをしている際にお父様に申し出ることにした。
その席にはお父様、お母様、わたしに科学の騎士団長のアキコもいたのでタイミングとしてはちょうどよかったのだ。
「お父様、次の騎士団の派遣の際、わたしも同行させてください」
両親は思いもよらない提案に面食らった様子で……
しかしお父様は昔から自分の意見はきちんというようにとわたしに言ってくれていたので、わたしはそれをそのまま行った形で、怒られるようなことを言っているつもりはない。
気持ちを落ち着かせるかのように、暖かい紅茶を口にし、まずお母様が、
「騎士団への同行がどれほど危険なことかカグヤは知ってるの?」
と、問うてくる。
「うんっ。常に生死をかけた戦いで、敗北は有しているルルブ家の名誉にもかかわること、日々の訓練も大変なことも知ってる。だから他の騎士団員の足手まといにならない程度の強さになるまで、言うことは控えてきたの」
「ということは、隠れて訓練していた成果が実を結びつつあるわけだな」
お父様は少し嬉しそうにわたしを見る。
「はいっ。論より証拠。百聞は一見にしかずといいますね。お見せしましょうか」
椅子から降りた私は右手に風の球を作り出す。
「どうやら、わたしは風の属性が強いみたいなので、まずはそれを中心に鍛えました。今のところ攻撃、防御が可能で、さらに上の段階も見えてきています。あの大きな木の枝を落として見せましょうか?」
「いや、そこまでしなくてもいいだろ。すでに騎士団に入ったとしても、そこそこやれそうな魔法力がありそうだ」
アキコ団長が褒めてくれて、わたしはにっこりとほほ笑んだ。
「じゃあ連れて行ってくれる?」
「それは旦那様のご判断」
団長の返しにがっくりと肩を落とす。
「危険だとわかっていて、どうして同行したいと思うんだ?」
お父さんのまじめな問いだ。真剣に答えなくてはならない。
「自分をもっと成長させるためです。限界を決めてしまえば、その人の成長はそこで止まる。わたしは先を見据えています。そのためには強さはなくてはならないものです。わたしがいう強さというのは戦闘力的なものと心も」
「約束はできるか、無事に帰ってくると?」
「もちろんです。そのために防御も回復魔法も覚えました。それにアキコ団長のそばになるべくいますから」
「団長、どうだろうか?」
「旦那様が同行を許可されるのでしたら、カグヤお嬢さんの身はこのあたしがお守りすることを保証します。剣を持っていないカグヤ様の騎士団への入隊は仮ということで」
「あなた!」
お母さまが不満そうに声を荒げる。
「まあいいじゃないか。こちらの押し付けをしてはダメだとカグヤが生まれたとき話だろ。それにカグヤは今まで約束を破ったことがない」
お父様はわたしの頭を優しくなでてくれた。
「御心配には及びません。いざという時は離脱用のアイテムを持たせますから」
団長の言葉を聞いて、お母様は渋々ではあるが、わたしの騎士団への同行を許してくれたのだ。
☆ ★ ☆
今回の騎士団の任務は、ルルブ家から西に行ったところにある迷子の森に出るという魔物の退治。
任務中にルルブ家の警備が手薄になるわけにはいかないので、任務に向かうのはアキコ団長と他数名で、わたしも団長が乗る馬の後ろに乗り、団長の腰に手を回す。
「いいなぁ、カグヤさん。あたしも行きた~い」
「ケティ、カグヤ様は私たちより2歳も年上。7歳になったら私たちも連れてってもらおう。それまでは訓練」
「2人とも行ってくるね。お土産話を期待していて」
こうして7歳のわたしは初めての魔物との戦闘へと向かった。




