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第10話「悪役令嬢と剣士クロガネ」

 翌日の午前中からは植物モンスターと戦い、様々な種を入手してそれを畑にまいていく。


 キャレス(キャベツとレタスの混合野菜)

 カブ大根。

 トマト。

 ナス。


 とりあえず料理に使えるその4種が主。


「キャレス……へえ。混合野菜なんてあるんだ。面白いなぁ」


 蒔いた場所を間違わないように看板を立てながら、まみは言う。


 看板を立て終わり、水をまき終わったときに近づいてくる気配を感じ、わたしは上空を見やる。

 その者は上空からわたしたちを見下ろしてから、大きな鳥と共に降りてきた。


 ケティとコウコはその者を見て、声援にも聞こえるような言葉を上げ、何やら嬉しそうにこちらを見、まみは??? と顔に書いてあるような雰囲気で首を傾げる。


「よぉ、カグヤ。こんなところで何してるんだ?」


 右肩から剣が一本出て、白と青の胴衣を着込み憎たらしくも口元を緩ませたクロガネは私を見たのだった。


☆ ★ ☆


 クロガネの父親は、元ルルブ家が有していた科学の騎士団の初代団長。もうずいぶん前に隠居したと聞いたが。そのこともあり、幼いころからわたしとクロガネは時間を共にしたことも多かった。


 5歳のあの時までは。

 ルルブ家のお邸でいつものように遊んでいた時、将来のことを思い浮かべ話していた時のことだ。


「わたしはもう少し大きくなったら、騎士団に入って、魔法を覚えて、騎士団長も超えるの。そしたらお邸を出てやりたいこと、したいことを自分で考えて冒険する」


「カグヤはお嬢様なんだからこの家からは出られないよ」


「ちっ、ちっ、ちっ、だから誰よりも強くなってと言ったでしょ。自分で自分の身を守り、周りの人を守れる強さ。騎士団長を超える強さがあれば、お父様もきっと許してくれる。戦いで負けない。弱い者いじめはさせない、この世界の不幸はわたしが取り除いてあげるんだ」


「お嬢様なんだから、それを受け入れて振舞えばいいのに……早く旦那さんを見つけて幸せになるとかさ」


「クロガネは王家の決まり事を知らないのね。相手役を自分で決められるほど、自由じゃないのよ」


「えっ、そうなのか! 知らなかった」


 ちらっと恥ずかしそうにくろがねはわたしを見て顔を赤くする。


「なんで恥ずかしがるの?」


「うるさい。カグヤはどんな男なら結婚するんだ?」


「う~ん、そうねえ……優しくて、わたしより強い人かな」


「ということは、騎士団長よりも最低限強くならないといけないわけだ。家を出るなら強ければ実現できるんだな。よしっ。決めたぞ」


「なにを?」


「お前よりも俺は強くなってやるからな」


「無理だと思うけどな」


「うるせいな。男に二言はないんだ! 不可能を可能にしてこそ価値があるんだ。お前も自分の言ったことに責任持てよな。今日からお父さんに修行をつけてもらう。見てろよ、すげえ強くなってやるからな」


 顔を真っ赤に染めて、5歳のクロガネは逃げるように部屋から出ていった。

 それ以来、わたしたちが一緒にいる時間は段々と短くなっていったのだ。

 わたしはなんでクロガネがそんなに強くなろうとしているのか全然わからない。


☆ ★ ☆


「勢いよく降下してこないで! せっかくの畑が荒れちゃうでしょう」

 おっと、つい小さい頃の口調になってしまうな。


「畑……家も作っているみたいだな。へえ、カグヤのやりたいことは町づくりだったのか?」


「関係ないでしょ。何の用?」


「決まってるだろうが! 戦いに来たぜ。この前よりさらに腕を上げた」


 自信満々なクロガネを見て、ケティとコウコはおおっと声を漏らし、拍手しそうな勢いだ。


「9点!」

「88点です!」


 やけに点数が高いじゃないか。


「なんだ、二人も一緒だったのかよ。ありがとな」


「いや、クロガネ君のためじゃないし。カグヤさんはお友達だし」

「右に同じです。かわいそうなので、いざという時はほんの少し手伝ってあげたいですが」


「証人はいるわけだ」


 やれやれいつもながら自信満々だが……


「畑が荒らされたら困るから、離れた場所で戦いたいなら戦う」


 数十メートル家と畑から距離を取る。


「あのう、あの人誰ですか?」

 まみは初対面のクロガネを見て、ケティに聞いた。


「クロガネ君だよ。カグヤさんの幼馴染で、頻繁に戦っているの。今まで15戦勝てたことないんだけど」


 少し扇子を強く握り、クロガネを見据える。


「何もない戦闘にはうってつけの場所だな」


「何もないのは、これから作るからで、戦う場所じゃない。闇の教団員を数名倒したこと聞いた。教団に危険分子に認定されたことも」


「修行の邪魔をしてきたからな。悪い奴は倒しておいた方がいいだろ」


 バチバチとクロガネの体から、光の線が漏れ出した。


「へえ。雷魔法を極めたの? それともまだその途中?」


「お前の力に対抗するには、どうしても違う属性の力が必要だからな。剣士の俺だけど、一属性の魔法なら覚えられるかもしれないと考えたんだ」


 クロガネは凄腕の剣士、それでいてこの雷魔法の強さはよほどの努力をしなければ得られないだろう力。


 今回も心してかからないと、負ける!

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