人類再興物語
うだるような暑さの中、俺は自転車で一人映画館に向かっていた。
一人映画というのは人によっては寂しい奴だと小馬鹿にする奴もいるだろうがそんなことはどうだっていい。
俺は大好きな映画シリーズ「ゾンビ黙示録」の3作目がついに公開されるとあって公開初日である今日、部活が解散してすぐに自転車にまたがりこうして休憩もせず急いで映画館に向かってる。
今となってはどうしてこの時少しくらい休んでから行かなかったのかとか、もうちょっと落ち着いて運転しろとか思うがもう取り返しはつかない、つくはずもない。
そう、俺は映画に対する興奮さめやまぬままひたすら自転車をこぎ続けたのと、10分後から始まるやつでなければ帰りが遅くなり、おやじに大目玉を食らうからと急いでいたのもあってか俺は目的の映画館まであと少しといったところでトラックにひかれてしまった。
「ぐ…な、なんだ…?」
全身が鉛のように重い、俺の記憶は目の前まで迫りくるトラックの運転手と目が合ってしまった所で途切れている。
しかし、俺は今まるでエレベーターでビルを降りていくときのような微妙な浮遊感を味わいながら横たわっている。
どうやら俺は死んでしまったらしい、短い人生で親やたくさんの人に迷惑をかけてきたが、こんな最期を迎えるとは思ってもいなかった。
そんなことを考えていると急に視界が明るくなった。
そして冷たい土の感触。
続くように風の音 腕や足の感覚 自分が横たわっている事などが少しづつ感じられるようになっていった。
もしかしたら俺は死後の世界にいるのかもしれないと思いつつ、俺はゆっくりと反射的に閉じていた瞼を開く。
土とわずかな草、遠くに山
あたり一面そうだった
楽園とも悲鳴がとどろく地獄とも思えない、あたり一面の殺風景な荒野。
俺はしばらくその場で天使か鬼なんかがやってきてどこかへ案内してくれるのかと思い、ひたすらあたりを見渡していたが、人影ひとつ見つからない。
仕方なく俺はひとまず立ち上がって、なんとなく山の方へ歩いて行った。
しばらく歩いていると、4、5人ほどの集団が遠くで歩いているのを見つけた。
やっぱり誰かしらいるではないか!さすがに孤独感を感じてきた頃だったので、すぐに大声を出し、その集団の方へ駆け寄っていった。
彼らの方はというと、一瞬動揺したようなそぶりを見せたが直ぐにこちらの方を向き、歩いてくるというよりかは、にじり寄ってきた。
「止まれ!」
彼らまであと30メートルといったところで突然大声が響く。
俺はびっくりして転びそうになったが、今の声の感じからして、そしてこれまで集団の人たちの背がやけに低いことからしてまさかと思ったが、彼らの方を見やると、なんと全員女性だったのである。
つまりは彼らではなく彼女らだったのだ。
俺が突然の出来事に動揺していると。
「手を挙げろ!」
再び大声が響く。
俺はとりあえず言われたことに従い手を挙げたが、その直後いつの間にか背後に回っていた女によって気絶させられた。
そして俺は今、どうやらここのリーダーらしい女の前に座っている。