赤の令嬢と黒色の少年
サブタイトルの詐欺っぽくなってしまいましたが気にしないで下さい。
ちなみに黒色の少年は迅のことです。
「黒山くんは私の事嫌いですか?」
「・・・は?」
唐突に話しの内容が一変する。
こいつは何を言っているんだ頭でもぶつけたのではないか。
「私の事嫌いですか?」
駄目押し2度目。
分かったこいつ馬鹿なんだ。
「好き嫌いの問題でもない気がしないでもないが、俺はお前のことは好きでも嫌いでもない無関心だ。ハッキリ言って興味がない。」
「私は興味あります!黒山くん!私と・・私と・・」
何だ嫌な予感がするぞとても面倒臭さそうだ。
「お友達になって下さい‼︎」
ほーらこのお嬢様は頭のパーツがいくつか抜け落ちているようだ。
「丁重にお断りさせていただきます」
「お断りさせません」
そう言い俺の席をバンッと音を鳴らし叩く。
数秒間眼つきの悪い俺の瞳が立華を捉え見つめ合う。そうすると見る見る内に顔を赤くしていく。
「そんなに見つめないで下さい。恥ずかしいです・・」
照れり照れりと少し体をうねうねさせ顔を手で隠す。
薔薇のように赤く綺麗なサラサラとした背中にまでかかる髪と赤く変わっている顔も相まって余計に赤く見える。
「だいたい何で俺なんだ?お前なら他の奴の方が簡単だろ」
「え?ああそれなら黒山くんが私と同じように苦しそうにしてたからですよ」
「は?何言ってやがる。苦しそう?ふざけんな!」
キレ気味で大きな声で抗議してしまう。
あぁみっともねえ、図星突かれたからって女に当たろうとしてるなんて情けねぇ。
でもこればっかは引けないんだ。
そんな簡単な言葉であの2度の後悔を片付けてしまうのは自分が許せないのだ。
「分かったようなこと言うんじゃねぇ」
「でもやっぱり黒山くんは辛そうだよ。孤独は辛いものだよ。私達は他の人達から腫れ物を触るように扱われてきた。そうでしょ。」
確かにそう言った部分で言えば互いが理解者であると言うことが分かる。
「だがそれは、ただの傷の舐め合いだ。何の生産性のないその行動に意味何て無いだろ」
「それでも私は黒山くんと色んなことを共有したい、共感したい。だからお友達になって下さい」
胸がドキッと鼓動する。
その反対に何処か心が落ち着いてくる。
安心出来る。
何故か懐かしい気がする。
一年前に失くしてもう2度と手に入るはずの無いものだ。
“優しさ”だ。
偶にはそう言った不確定なものを信じるのもいいかもしれない。
「そこまで言うなら仕方ないから少しぐらいは付き合ってやるよ。」
「そうですか、嬉しいです」
女神かと思うほど綺麗な笑顔を向けられる。
それに少し恥ずかしくなった俺はそっぽ向いてしまう。
すると教室の前のスライドドアをガラガラと鳴らしながら巨漢の男が入ってきた。
体長190cmはあるだろう身長のせいで頭を若干下げる。すると面白いほどの上目遣い(笑)でクラスの連中は背筋をピーンと伸ばし棒の如く一直線になっている。
あいつはこのクラスの担任の桜井拓真(さくらい たくま)、21年前の第三次世界大戦で黒豹と呼ばれ恐れられた異能力者だ。
「おーし、お前ら席につけぇ」
「桜井おはよーそして〜優等生ちゃんは話があるんで持ってくわー」
「は?そんなことより俺のことは桜井先生と呼ーーーー」
そこまで言った瞬間一陣の風が通り過ぎていってしまった。
そしてもちろんその風とは俺と俺に手を握られ走る立華華恋であった。