閑話 無限の願い
「なに?部下を増やしたい?別にいいよ。代わりにこれをやっといてくれ。」
ドイルの件はあっさりと主神に許可を貰えた。
代わりに変な仕事を渡されてしまった。
なんでも私の知らないところでマルスの部下が失敗をしていたらしい。
しかも報告すると怒られるから嫌だと逃げ出そうとしていた所を確保されたらしい。
つか怒られるから逃げるとかバカなのか?
これは後で楽しい楽しい書類処理に頑張ってもらわないとだな。
で、問題の件はどんな感じかな?
ほうほう、なるほどね〜。
転生の際にどんな願い事でも1つ叶えるで、無限に願い事を叶えられるって願い事を叶えてしまったのか!
ああ、これは今までで溜まったストレスが発散できるじゃないか!
まだ転生が済んでいなかったのは幸いだな!
さてと、少し休憩がてら遊ぶとするか!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
久々に書類部屋に戻ると、マルス、アリスフィア、ドイルの3人が書類を死んだ魚の目で処理していっている。
「やあ、ご苦労様。」
「ああ、レイナード様部下がすみません。」
「マルス、気にするな。俺はこれからちょっとこの件を片してしまう。そっちもよろしくな。」
「・・・はい。」
自分の椅子に私は座ると、ちょうど例の件の人物が転生完了した連絡がきた。
どうやら少し若返っての転生だったみたいだな。
名前は加藤才蔵か、いったいどんな願い事をしてくるんだろうか?
おっ!
早速きたきた。
なになに、『お金持ちになりたい』か!
なら財布の中に金を入れておくか!
ちょっと映像を見てみるか!
本当なら禁止されているが、今回ばかりはいいだろう。
私は映像を呼び出した。
その画面ではなんかチャラ男が暴れている。
音声を出してみるか!
「なんだこりゃ!財布に金が増えただけじゃん!ならば大金持ちになりたいならどうだ?」
『大金持ちになりたい』かそれなら金を大きくしてやろう。
「うわーい!金が大きくなったー!ってなんでやねん!どんな風に願いが叶ってんだよ!ならば可愛い子が欲しいならどうだ!」
『可愛い子が欲しい』ならたしか生き物でこの人物がいる世界ならウサギだな!
「うはー、モフモフで可愛い!ってだからなんでやねん!可愛い子っていったら黒髪ロン毛でおしとやかな子でしょうが!」
黒髪ロン毛でおしとやかな子かー、ならばこの子しかいないだろ!
「おおー!見事だ!黒髪ロン毛な見事さ!そしてこの穏やかな気性!実に、実に見事な馬じゃねーかよ!なんなんだよこの願いの叶え方!まじで使えない、これならむしろ俺をイケメンにしてくれなら大丈夫だろ!」
ほう!
『俺をイケメンにしてくれ』か!
ならばしてやろう!
喜ぶがいい。
ふはははは!
「なあ、アリスフィア。レイナード様がかなり怪しい笑いしてないか?」
「マルス、ああいう時は関わらない方がいいわ。」
失礼だな2人とも、彼は喜ぶに決まっているだろう!
画面をもう一度見てみると、
「おおー!今度はちゃんとイケメンになったのか?くそー、自分の姿が見れないからどうなったかわからないぞ!鏡を出してくれ!」
そんな必要ないんだかな。
仕方ない鏡を送ってやるか。
「アイテムに鏡が増えた!早速見てみようじゃないか!・・・変わってなくね?まさか!スキルなのか!よし鑑定!・・・おお!イケメンになってるじゃん!・・・俺の名前かよ!別に俺は名前がイケメンになりたくねーよ!人に名前聞かれたら、俺、イケメンだから!とかいったら単なる変人じゃん!はっ!それならこの世界の王になれば完璧じゃん!」
まだ懲りないのか!
しかし『この世界の王になる』か一番簡単だな!
「おおー、頭に王冠が乗っている!しかも種族が王になってる!完璧だー!」
どうやら満足したらしく、走ってどっかにいってしまった。
これはもう満足したってことでいいんだろうな。
「あの、レイナード様。よろしかったのですか?」
「ああ、だって王様とか自称でいいんだろ?だから大丈夫だろ。」
「ああ、領土のない王様ですか。」
きっとあのイケメン君はたくましく生きていってくれるだろうさ。