1人目 英雄候補
「ああ、そうそう。就任祝いにはい仕事。」
転生神就任数秒で主神から仕事として資料を渡されたよ、どんだけブラックなんだよ!
「それから君のサポート担当の総括でアリスフィアとマルスを呼んどいたから、それ読んだら早速よろしくね!」
サポート担当の総括って事はかなり人数がいると考えていいんだよな?
仕方ないまずは転生神用の仕事部屋に移動するか。
転生神用の仕事部屋。
聞こえとしては、個室でいいと思うかもしれない。
しかし、現実は違う!
私は早速転生神用の仕事部屋に辿りつくと、すぐに中を確認してみる。
やはりだ!
今までの担当者の戦いの後、もとい書類の山がそびえ立っていた。
私がその光景に絶望していると、
コンコンコン
ドアをノックする音が聞こえてきた。
「ああ、どうぞ。」
「失礼します。今度ここに配属されひっ!」
「アリスフィアどうし・・・うわぁ!」
「えーと、君たちが主神の言っていたサポート担当の総括かな?」
この光景を前に部屋を訪ねてきた2人は完全に顔を引きつってフリーズしてしまっている。
「もしもーし!大丈夫か?」
「あっ!失礼しました。私はここに配属になったアリスフィアです。以後よろしくお願いします。」
「自分はマルスです。」
「わかった。これからよろしく頼むよ!それで早速だけどこれを片すの手伝ってくれ。」
「「全員で頑張ります!」」
2人は素早く部屋から出て行ってしまった。
まあ、しばらくすれば戦力を連れて戻ってきてくれるはずだ。
「さてと、戻ってくるまでに主神の依頼を片すとするか。」
私は主神に渡された資料に目を通していく。
なになに?
もとは地球の日本人の男で、年齢は16で名前が佐藤草太かー。
たしか佐藤ってそこではわりとありきたりな苗字だったはず。
えーと、青信号で横断歩道を渡っている時にトラックでひかれて死亡。
これもまた見事にありきたりだな。
主神より、この青年を地球ではなくヘルダインに転生させてほしい。
転生の時に地球の知識はそのままで何かチートなスキルを付けといて。
主神がこんな事お願いしていいのかよ!
まあ、本人にあってスキルとかは、考えていけばいいか!
えーと、たしか転生させる人に会うには何かそれっぽい空間で会えばいいや!
私は早速その人物に会いにいった。
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それっぽい空間、つまり何もない暗闇の中で彼、佐藤草太は立っていた。
「いやー、待たせたね。君が佐藤草太君だね。私はー。」
「ありえねー!」
佐藤草太君は私が名乗ろうとするといきなり叫んだ。
「なんだい?いきなり。」
「いや、今異世界転生のテンプレキター!なのになんでその案内人が男なんですか?普通こういうのは美しい女神様でしょ!男とか誰得ですか?やり直しを要求します。」
あー、やっぱりいるよなこういうの。
ぶっちゃけ夢見すぎでしょ!
転生でヒーローになれるんだから、それで満足しなさいな。
「あのー、続けていいかな?」
「美人な女神様じゃなきゃ拒否をします!」
メンドクセー!
仕方ないここは別の方法で対処するか。
「あー、アリスフィア聞こえるか?」
すぐに念話でさっき会ったサポート担当のアリスフィアに連絡をとった。
「レイナード様聞こえております。」
「ごめん、すぐに私の所に来てくれ。」
そう告げると、私の横に転移用の魔法陣が現れアリスフィアが姿を見せた。
「何か急用ですか?」
「ああ、実はー。」
「美人女神様キター!」
「うるさい!」
「グベ!!」
興奮していた佐藤草太君をとりあえず物理的に黙らせて、アリスフィアに簡単な説明をして私と佐藤草太君の間に立ってもらった。
「では、続きを話そうか。」
「はい!俺はいったいどうなったんですか?」
*配置は私、アリスフィア、佐藤草太君でアリスフィアと佐藤草太君が向き合っていて、アリスフィアはただ口をパクパクさせているだけで、私が会話中。
「残念ながら、死んでしまったんだよ。そこで君にはヘルダインという地球とは別の世界に転生をしてほしいんだ。」
「それって断るとどうなるんですか?」
「地球でカマドウマになってもらうかな。」
「ひどっ!それ受けるしかないじゃないか!」
「ちゃんと転生の特典はいっぱいつけるから。」
「どんなものをつけてくれるんですか?」
「まずは転生といっても赤ちゃんからてなくて成長していてもいいんだよ。次に強力なスキル、最後に何か一つ望みのものを持っていっていいよ!」
「まじっすか!それなら今の容姿のままでも?」
「もちろん。」
「それならそのままで!」
珍しいな。
大抵転生なんだから自分の容姿は変えたがるのに。
私の心の中ではナルシストとしておこう。
「スキルは後にして、持っていくのは何がいい?」
「もちろん!あなたで!」
やっぱりきたな。
多いんだよなこういうの。
まあ、対策してあるからうまく言質とらないとだな。
ふと気付くとアリスフィアが心配そうにこちらを見ていた。
私は安心するように軽く微笑んだ。
「なるほど、佐藤草太君。きみはアリスフィアの容姿でいいのかい?」
「はい、もちろんです!」
「わかった。それならこちらで準備をしておこう。先に君をヘルダインに送るとするか。」
私が指を鳴らすと佐藤草太君はその場から姿を消した。
「あのー、レイナード様。私どうなるんですか?」
「うん?佐藤草太君はアリスフィアの容姿でいいっていったから、君そっくりの義体と魂を作って送るよ。彼もそれでいいっていっていたからね。」
「なんか詐欺師みたいですね。ところでスキルはどうしたんですか?」
あっ!完全に忘れていた!
どうしようかー、ああ!いいのがあるじゃないか!
私は早速箱を3つに紙を用意させ、いろんな言葉を紙に書き単語単位で切り箱に入れていった。
「あのー、レイナード様何をなさっているんですか?」
「アリスフィア知らないかい?地球の日本には簡単に遊べるゲームで、いつ、どこで、だれが、なにんしたゲームってのがあるんだよ。」
「なんですか、それ?」
私はアリスフィアに簡単に説明をしていった。
この遊びは単純にそのお題にあった事を書いた紙を箱にいれて、それを一枚ずつ取り出してその内容を組み合わせてそれのぶっ飛び具合を楽しむものだ。
「それが今なんの関係があるのでしょうか?」
「彼のスキルを決めるんだよ!題して何で誰をどうするゲームだね!」
「そんな適当でいいのでしょうか?」
「構わないよ!どうせ英雄になるのは決まっているから、スキルはオマケみたいなものだからね!ああ、彼にも引いてもらわないと不公平だったな。」
私は作りたての箱を一つ掴み、また指を鳴らすと佐藤草太君が現れた。
「あれ?」
「ごめん、ごめん!これ引いて貰うの忘れててね。さあ引いてくれ。」
「えっ!ちょっ!」
私は有無を言わせず、佐藤草太君に引かせてそれを受け取ると指を鳴らして、再び彼の姿は消えた。
「えーと、レイナード様今のは流石に。」
「いいの、いいの!彼が引いたのはどうするの部分かー、結構重要だったな。さてと内容は?」
彼が引いたものを開くと内容は「バーニング」だった。
「これは炎系のスキルにするしかないかな。そうだ!アリスフィア、君も引いてくれ。」
そう言って残りの二つのうち一つで誰をにあたる箱をアリスフィアに渡した。
「気が引けますが、引かせてもらいますよ。」
アリスフィアは、結構悩んでから箱から一枚紙を取り出した。
私はそれを受け取ると内容を確認した。
するとそこには「味方」と書いてあった。
「あー、どうしよう。」
「レイナード様これはまずいですよ!味方をバーニングって完全に役に立たない上に、味方焼いちゃってますよ!」
「まあ、最後に何でがあるから何とかなるよ。」
私は気を取り直して、何での箱に手をいれて一枚の紙を取り出し内容を確認した。
そこには・・・、
「ヅラ」
と書かれていた。
結果、佐藤草太君のチートスキルは「ヅラ」で「味方」を「バーニング」に決定しました!
「って!レイナード様!なんですかこれ!ヅラで味方をバーニングってどんなスキルですか!」
「うーん、まあ、ヅラを使って味方を超絶強化にしておけば大丈夫だよ。名前は永遠のヅラとかで・・・ププッ!」
しかし、ヅラが必要になってしまったな。
彼の容姿はいじらないってしちゃったから、残る選択肢は・・・ジー。
「あのー、なぜそんなに見てくるんですか?」
「最初に謝っておくよ。ごめん!」
「・・・?まさかっ!」
残る選択肢、それはアリスフィアの義体をハゲにしてヅラ生成機にすればいいんだ!
容姿にきっと髪は含まれていないさ!
「やめてくださいよ!私ヘルダインにもう行けなくなります!」
「大丈夫!行かないから!」
「そういう事じゃないです!ヘルダインに行くたんびに、英雄の隣には麗しきハゲの女性がとか言われるんですよ!絶対に嫌です!」
「アリスフィア!それはいけないな!病気で髪がない人に対する侮辱だぞ!」
「あっ、それはすみません。って!今関係ないじゃないですか!」
その後、数時間におよぶ長い討論の結果、無事?アリスフィアの義体はツルツル使用になった。
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今回の成果
佐藤草太、ヘルダインへ無事転生。
彼はそこで圧倒的支援能力で英雄へとなっていった。
彼は自らの持つスキル永遠のヅラで味方に超絶強化を施し数多の戦いの勝利に貢献した。
のちに二つ名として栄光のヅラと呼ばれる事になった。
そんな彼の側には常に自分のヅラを渡し続けた女性がいた。
そして、その2人の戦闘スタイルから敵にはヅラタンクとズラシューターとして恐れられた。
彼は生前何度も「俺はあいつに騙された。」と口癖のようにいっていたらしい。
それが誰の事だったのかは最後までわからなかった。