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七話

「久しぶりー、アウルさん」


「抱きつくなよ。アマンダ博士」


 アウルが歩いていると突然、後ろから抱きしめられ、背中に柔らかい感触が感じられた。


「今日はフラルゴに呼ばれてるんでしょ?」


「そうだ、ミラもフラルゴの所に行ってるから何かあったんだろうな」


「ふーん」


 アマンダは隣を歩きながら興味がなさそうに返事をしていた。廊下は坑道を補強しているため、殺風景な景色が続いていた。


「研究は調子がいいのか?」


「概ね、良好よ。ミラちゃんの協力もあって、完成は近いわ」


「論文を発表出来ないことはすまないと思ってる」


「しょうがないわ、軍事機密ってことは理解してるから。研究をさせてくれただけ、ありがたかったしね」


 魔粒子についての研究はカラミタ商会の中でも最高機密扱いだった。発表は気長に待つとアマンダはアウルに言っていた。


「アウル様、お呼び立てして申し訳ございません」


「気にするな、フラルゴ」


 扉を開けると、多くの職員が居た。フラルゴが気付き、アウルに話しかけてきた。


「今日、来ていただいたのはアウル様の専用機の最終調整をしていただきたく」


「あぁ、シオンか。シオン、起きてくれ」


「はーい、主人」


 光の玉がクルクルとアウルの周りを動き、玉がはじけると人型の精霊が現れた。


「ご用は何ですかー?主人」


「今日は俺の専用機が出来たらしいからまた、それに同調してくれ」


「はーい、了解です」


 アウルは幼少の頃に精霊であるシオンと契約を交わして、膨大な魔力と魔法の制御技術を手に入れた。精霊と契約を交わすには条件があるらしく契約者は稀であった。


「では、アウル様。実験室の方にお願いします」


「分かった」


 下に降りる階段を歩いていると広々とした実験室が現れた。真ん中には黒と金にカラーリングされたセヘル・リッターが佇んでいた。


「良いデザインだな。フラルゴ」


「デザインとカラーリングはミラ様がアウル様の為に頑張っていらっしゃいました」


「そうか、ありがとう。ミラ」


「兄さまのためになるならいくらでも頑張るよ」


 ミラは微笑んだ。


「では、調整を始めるぞ。シオン、頼む」


「はーい。同調開始」


 アウルがセヘル・リッターを装着するとシオンの同調が始まった。何故、精霊とセヘル・リッターの同調が必要なのかは三つある 。


 一つ目は搭乗者とセヘル・リッターの感覚を誤差を無くすために精霊が中継役となっていること。二つ目はスラスターや銃火器などの制御のためである。三つ目はその他の搭乗者のサポートである。もちろん、契約者は極僅かなため、アウル以外の量産機は魔法と魔方陣で形成されたイミタシオン(擬似)スピリット(精霊)・システムを使っている。


「ホバー移動も問題ない。次は武装による戦闘を始める」


「了解、幻影魔法発動」


 実験場は草原へと姿を変え、アウルの近くには三体のオーガが現れた。


「まぁ、武装と言っても剣しか無いんだがな」


 と言って、オーガを切っていた。オーガも棍棒や剣などを装備していたがセヘル・リッターの速度に追いつけず、首を刎ねられていた。魔法で再現したオーガなので血も肉片も残らなかった。


「よし、戦闘についても問題なし。ありがとうな、シオン」


「はーい。今度はお食事の時に起こしてくださーい」


「通信も良好です。アウル様、ご帰還を」


「了解した」


 アウルは武装を解除して、管制室まで戻った


「どうでしたか?」


「試作機や量産機に比べて、機動性や出力もいい感じだ。しかし、広範囲で通信をするためには専用の装備を積む必要があるんだろう」


「はい。どうしても六百メートルから通信状況が悪くなるので、中継装備を積んでいる機体が一機、必ず必要になるます」


「まぁ、しょうがないだろうな。今後に期待する。後、俺の奴にも中継装備を積んでくれ」


 小型化もよろしくと付け加えて言ったら、フラルゴはため息をついた。


「かしこまりました。武装については生産が始まれば、前腕に二連装バルカンとアマンダ博士の考案のセヘルキャノンですね」


「量産はどのくらいできる?」


「現状の五か所の工場で月間五機ずつの生産が可能です。専用機は一機あたり半年の期間が必要です」


「工場を増やせないか、事務と生産部に問い合わせてみる。これからもよろしく頼む」


「了解いたしました」


 アウルは仕事が増えたなと思いつつ、近くに居たミラに話しかけた。


「夕食はどうする?」


「私が作るよー、家においでよ」


 アマンダが返事をして、ミラも賛成したため、夕食はアマンダの自宅でたべることとなった。アウル達は喋りながら、研究所を出ていった。


「さて、私たちはデータを纏めますよ」


 自分も行きかったと思いつつ、データを助手達と纏めるのであった



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