六話
アウルは開発部内の射撃場に案内された。丁度、試射をしているようで乾いた音が響ていた。
「銃声には慣れないですね」
「三日もここに居れば、すぐに慣れますよ」
射撃場内では試作ライフルと思われる銃による射撃が行われていた。それを見ていたアウルはあるものに気づき、ダンテを問い詰めた。
「ダンテ! お前また、報告を忘れてるだろ!」
「へぇ!? 何のことですか!?」
「金属製の薬莢だ! てか、試作ライフルは何時できた?」
「三か月前ですね」
あはは、、と言いダンテはしまったという顔をしていた。アウルが気付いたのはライフルを撃った後にカランと金属音がしていて、射撃手の足元には金属製の薬莢が落ちていた
ダンテは物を作ることに夢中になり、報告書を提出するのを忘れていて、開発に成功した日付を度々改ざんしていたのだ。優秀であるため、少しは見逃していた。
「ある程度は許していたがお前は、はぁぁぁ」
「次からは気を付けるんでかみさんだけにはお願いします! アウル様ー」
「駄目だ。シャルルさんには報告する。後、本部の事務方からアシスタントを一人、着けるからな」
「、、、はい」
開発部はダンテだけではなく、全体的に報告が遅れがちになることが多く、ダンテは丁度よく、言い方は悪いが見せしめになったのであった。
後、ダンテの奥さんのシャルルさんは普段は温和だが任された仕事などで手を抜いていたりしたら激怒する。ダンテが会議を忘れたときは離婚まで考えたらしい、流石に哀れに思ったアウルが仲介した。
「で、有効射程距離と装弾数は?」
「有効射程は五百メートル、装弾数は十二発です」
「ダンテは有能だから困るんだ」
「褒めてもなにもでませんよ」
アウルはため息をつきながらダンテを睨みつけた。
「俺にも撃てせてくれ」
「分かりました。これをどうぞ」
アウルは銃を受け取り、射撃レーンに移動した。銃口をターゲットである鎧を着たカカシに向け、狙いをつけ、引き金を引いた。乾いた音が響き、すぐに金属同士がぶつかる音がした。
「命中十、すごいですね」
「あれは何メートルなんだ?」
「八百メートルですね」
「はっ?」
「そこのレーンは長距離ライフルの試射用のレーンです。当たらないと思っていました」
アウルは空いていたレーンに入ったがまさか長距離用のレーンとは知らずに撃っていた。周りから流石、アウル様と声がしていた。
「鍛冶の才能はありませんでしたが射撃の才能は十二分ですな」
「うるさい。好きで不器用なわけではないわ」
こいつの給料をどうにか下げてやろうと思うアウルであった。
「生産体制は大丈夫か?」
「もちろん、生産部の工場に魔導製作機を導入しています。月間三百丁を生産できます」
「後、二百は欲しい」
「アウル様、私達に無理難題を言われますよね」
「それだけ、期待しているんだ」
月間五百丁の生産は出来るか、ギリギリのラインだがダンテはアウルなら出来なくてもやれと言いそうだなと思って渋々、了承した。
「そういえば、フラルゴがこの後、来て欲しいと言っておりました」
「わかった、あっちにもよってみる。アルディートはどうする?」
「ダンテ殿のようになりたくないので私は持ち場に戻ります」
がっはっはと笑いながらアルディートは来た道を戻り始めた。
「ダンテはどうする?」
「今日はかみさんのご機嫌取りにならないといけないのでこれにて上がりますよ」
「頑張れよ」
誰のせいだがと言いつつ、ダンテは射撃場を出た。アウルはフラルゴの研究所に行くため、更に奥に歩き始めた。
やっと、銃のことをかけました
しかし、相も変わらず、時間は進まない