四話
訓練場には土煙と剣戟が鳴り響き、教官の怒声が聞こえていた。
「どうですか、今年の志願兵は?」
「周辺の村の出身は体格も良く、精神的にも丈夫です。しかし、他の地域から志願者は少々、劣っています。訓練は技術能力や運動能力、魔法適正などを総合評価し、部隊ごとに分け、訓練しております」
志願兵は年々増加の傾向だ。カラミタ商会の管理下にある村では食生活が改善され、出産率などが上昇している。だが、管理外のピグロ領の村では飢餓や身売りなどが発生している。
「アルディートには頭が下がるよ」
「気にしないでくだされ、私自身、老いには勝てませんでした。ちょうど良かったのですよ。若い者を育てるも楽しいものです」
がっはっはとアルディートは笑い飛ばした。
「しかし、俺はアルディートには万の兵隊を任せるつもりだからな」
「ほう、それは楽しみですな! 私も鍛錬を怠らないようにしなければ」
「それまではすまないが新兵を頼んだ」
アルディートは今まで違う笑みを浮かべていた。一通りの訓練が終わり、教官がアウルに近づいてきた
「全部隊、集合整列!」
教官の号令ですぐさま、訓練していた兵がアウル達の前に整列した。列は直線に綺麗に並んでいる。
「歩兵隊一班、二班、三班、四班、五班、総員百五十名異常ありません!」
「魔法隊一班、二班、三班、四班、五班、総員百五十名異常ありません!」
「補給隊一班、二班、三班、四班、五班、総員百五十名異常ありません!」
「騎馬隊はヒューゲル平野にて訓練中であります」
新兵は最初の三か月で適正を判断され、歩兵隊、魔法歩兵隊、騎馬隊、補給隊に配置される。そして、一年間の本部の寮に住みながら訓練を行う。その後、一年間の実地研修後、各本隊に配属となる。また、教官に能力を認めれば上級訓練への試験が受けれる。
「全員、傾聴」
「諸君はこれから実地に向かうことになるが一つだけ言う。誇りや名誉の為に死ぬな。私達は諸君には戦場で生き残ることを望んでいる。泥水をすすり、野草を食み、そして、この地に戻ってくることが諸君の最大の任務である。忘れるな、誰一人たり欠けてはならぬことを。諸君らに次に会う日を楽しみにしている」
アウルは訓示が終わると敬礼をすると兵達も返礼し、訓練場を後にした。
「そうだ、アルディート」
「なんでしょうか、アウル様」
一緒に訓練場を出た、アルディートに質問した。
「選抜は順調かい?」
「やはり、条件が厳しくもう少し時間がかかると思われます」
「そうか、もう少し期間的には余裕があるが少し急いでくれ」
「かしこまりました」
ふと、アウルは横にいるアルディートが訓練教官長であることを思い出した。違和感なく、訓練場から出てきたが職務怠慢ではないのかと疑問に思った。
「アルディート、訓練は見なくていいのか?」
「優秀な部下が多いので」
がっはっはと笑っている。アウルはこれ以上聞かないことにし、開発部に足を向けた。
「一緒に開発部に行くかい?」
「はい、お供いたします」
アウルは新兵訓練の視察が終わり、開発部がある第一鉱山に向かうのであった。
時間が進まない