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三十話

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「おぉ!カラミタ卿、良くぞ来てくれた」


「南辺境に生きるものとして当然のことです」


 アウルが兵に案内されて、指令室に入るとピグロと腹心の貴族が数人が居た。しかし、南辺境には約五十の貴族が存在するのだが殆どが自領防衛の為に砦の防衛には来ていなかった。


「薄情な者ばかりですな。王国の危機なのに己の利益を優先するなど」


「そういうな、カラミタ卿。貴殿みたいに勇猛な者は少ない」


「ブルーイン様。ですが、王国が無くなれば今の地位なんて、銅貨以下の価値ですぞ」


 ブルーインは王国唯一の獣人の貴族である。傭兵をしていた頃に戦争で王族の命を救い、報酬として爵位を与えられた。


「まぁ、来ないものは後でしかるべき対応するとして、ここから生き残る術を考えなければな」


「そうですな」


 魔物はゴブリンを主体としており、約六万匹だと想定されていた。この数は過去最大である。前回は約三万であり、今回の魔物暴走(スタンピート)の異常性がわかる。


「王都には援軍は頼めないのですか?」


「宣言時に使者を送ったが軍の再編が終わってないので一か月後なると返事してきおった」


 二万に満たない軍勢で六万の魔物を一か月も持つはずがない。しかし、魔物共を殲滅しなければ死ぬのは自分たちである。


「魔物共が種族ごとに隊列を組んでいるということは上位種が指揮している可能性が高いですな」


「オーガ・ジェネラルまでは確認されているが指揮を執っている様子はなかった。だったら、キングだろうな」


 二足歩行型の魔物は進化するごとにノーマル→ホブ→ソルジャー→ハイソルジャー→ナイト→ジェネラル→キングとなる。前回の魔物暴走ではオーク・ジェネラルまでが確認されていた。


「頭を潰せたら止まりますかね?」


「魔物にそこまでの知能があるとは思えない」


 皆が頭を悩ましている。アウルも流石にこの量ではS・Rでも捌ききれない。何か打開策はないかと考える。


「砦前方にフシル部隊による防衛陣を構築して、両翼は敵の侵入を許さないように各両軍で固め、S・R(セヘル・リッター)は遊撃部隊として攻撃。これならいけるか?」


「カラミタ卿、その話を詳しく聞こう」


 アウルの案が通り、作戦が練られていく。


          魔の森


  魔物 魔物 魔物 魔物 魔物 魔物 魔物

     ↓     ↓     ↓



     

   S・R フシル フシル フシル S・R

  

            砦


 フシル部隊の火力を集中し、S・Rは左右から攻撃を加えていく。単純だが今の状況なら一番良い手段であった。


「この作戦だとカラミタ領軍に過大な負担がかかるが大丈夫か?」


「正直、大丈夫と言えませんが皆、覚悟してこの地に来ました」


 夜遅くまで会議は続いた。最近、ゆっくり寝ることが少なくなったと思うアウルだがこれも勝つためだと思い、会議に臨んだ。 


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