二十七話
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アウルとアマンダはピグロに連れられて、エリーゼ様の部屋に来ていた。
「エリーゼ、カラミタ卿がお前に会いに来たぞ。入るぞ」
「お父様!?アウル様が来てるって聞いていませんわ!まだ、返事をいたしていないのに入って来ないでくださいませ!」
ピグロはエリーゼの話を聞かずに部屋に突入した。しかし、ピグロは弾丸と化した枕を喰らい、倒れた。
「ふんっ、お父様がいけないのです!」
「ピグロ閣下!大丈夫ですか!?」
「とうとう、うちの娘も反抗期、、」
「それは違うと思います」
アウルがピグロを介抱し、エリーゼはヘソを曲げていた。そして、アマンダはピグロを切り捨てた。
「アウル様、お久しぶりです。何年ぶりでしょうか?」
「最後に会ったのは私が七歳の時ですから八年ぶりですね。ご無沙汰しております」
アウルは思い出した。長髪の黒髪は母様からの貰ったのと笑顔で教えてくれた少女。あの当時から八年が経ち、幼さを残しつつも大人の階段を登る少女はアウルに親しいと悲しみを含んだ声色で語りかけた。
「そういえば、ご結婚されたのですね?」
「はい、後ろに控えているのが妻のアマンダです」
アマンダが会釈をするとエリーゼはアウルに抱きついた。困惑するアウルをよそにエリーゼは話を進める。
「この八年、私はアウル様との約束を一日足りと忘れたことはありません。お父様から貴族になられたと聞いた時はアウル様も約束を守り、私を迎いに来てくださると信じていました」
アウルを見上げ、懺悔のように告白していくエリーゼは儚く、健気であった。
「フムス防衛戦後、アウル様が結婚をされたという噂を聞いた時は嘘であって欲しいとどれだけ思ったことでしょうか。しかし、今日、それは真実と変わりました」
ゴリゴリとアウルの良心が削られていく。エリーゼは幼き頃の約束を守り続け、アウルは約束を忘れて別の人と結婚した。これはアウルが悪いとしか言えない。
「今日は何をしに私に会いに来たのでしょう?」
「本日は幼き頃の約束をことでお伺いいたしました」
エリーゼはアウルを突き放すように言い放った。
「そのお話でしたら二人だけでならお聞きしますわ」
「わかりました。アマンダは待っていてくれ」
アマンダは渋々という表情をして、メイドに連れられて行った。しかし、気絶しているピグロは廊下に放置されたままであった。
「エリーゼ様、お話したいことがあります」
「その前にエリーゼ様はやめてくださいませ、昔のようにエリーと呼んでください。後、敬語も無しです」
確かに昔はエリーと呼んでいた覚えがある。しかし、今は愛称で呼ぶというのは恥ずかしく感じた。
「エリー、話したいことがある」
「はい♪何でしょうか?」
エリーと呼ばれたエリーゼは上機嫌になり、アウルの話を聞いていた。
「俺は結婚の約束を忘れていた。本当に申し訳ない」
「だろうと思いました。昔の貴方は貴族嫌いを態度に出していたので私もピグロ家の者と分からないように気と使っていましたからね」
落胆の表情をしたエリーゼだった。アウルは幼少の頃は貴族が嫌いであった。両親と行商をしていたころに飼っていた猫を貴族の子供に殺されて貴族のことが嫌いになったのだ。
「それで私との約束は無しにしてほしいと言いにきたのですか?」
「いいや、実は俺とエリーを結婚させて、辺境伯領を俺に継がせようと動いている人達がいる。閣下もその一人だ」
エリーはてっきり謝罪か約束を取り消しに来たとばかりと思っていた為に驚きで頭が一杯になった。
「俺みたいな薄情な奴でエリーが良いなら結婚して欲しい。嫌なら俺から閣下達に話すよ」
「いいえ、私はアウル様が良いのです。まさか、この思いがこの叶うと思っていなかったので涙が」
エリーゼは大粒の涙を流していた。アウルはエリーゼを抱きしめ、髪を撫でた。
「エリー、待たせてごめん」
「本当ですよ」
エリーゼはアウルを見上げて、昔のような笑顔を見せていた。しかし、二人はドアをノックする音に気付いていなかった。
「お熱いところ、申し訳ないんだけど、アウルはエリーゼ様と結婚することにしたんだね?」
「アマンダ、いつからそこに?」
アウルはまるで浮気の現場を押さえられた、夫のような慌てようだっだがエリーゼが離さない為にエリーゼと距離を取るが出来ずにいた。
「これはアマンダ様。今、アウル様は忙しいのでまた後でいらっしゃってください」
「ごめんなさいね。アウルじゃなくて、エリーゼ様、貴方に私も話があって来たのよ」
二人に挟まれたアウルにはアマンダとエリーゼの後に龍と虎が見えた。これは死んだと思っていたら部屋から摘み出された。
「女二人で話すからアウルは待っていて」
「わ、分かった」
アウルはアマンダの気迫に押されて、了承することしか出来なかった。そして、ドアは閉められた。
「エリーゼは妻に似て、なかなか気が強いからな」
「そうなのですか?」
「見た目に騙される奴は多いからな」
復活したピグロとアウルはドアの前で二人の話が終わるまで領地運営や魔物暴走についてお互いの意見を交わした。
「終わったよー」
「アウル様、これからはお姉さまと一緒に可愛がってくださいませ♪」
部屋から出てきた二人は昔からの友人のように話していた。アウルは女の世界はわからないことばかりだなと思うのであった。




