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二十二話

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 妹の彼氏は自国の王子でこれまで、自分たちを苦しめてきたのは母方の祖父と第一王子に嫁いだ叔母だった。そして、鮮明に復讐の相手が浮かび上がってきた。


「全てを知ったようだな」


「ピグロ閣下はご存知だったのですか?」


 ピグロは頷き、肯定した。流石に王子を護衛も無しに領内をうろつかせないか。


「ピグロ閣下は何故、商会を助けてくださったのですか?」


「サージ殿に母の命を助けてもらったのだ。私の母は卿の母と同じ病気に犯された、どの商会も治療薬を用意が出来なかった。諦めかけてた時にサージ殿が薬を持って来てくれたのだ。あの方は薬の代金も受け取らずに帰って行った、何故だと思う?」



「爺さんが代金を貰い忘れるなんて、ありえないな。他の誰から払ってもらったいたとか」


 サージが商人そのものを体現する人だ。商品の代金を受け取らずに帰るなんて信じられなかった。アウルにも厳しく商人の本質を叩き込んだ、しかし、横に居るミラとアラウダを見たら分かるような気がする。


「惚れた弱みですな」


「ご名答!一時期、サージ殿は私の母に仕えてらしく、お互いに想いあっていたが立場の壁があって、実らなかったらしいです。サージ殿も一言だけ、儂より先に逝くことは許さんと残して消えました」


 アウルのサージのイメージはきびきびとした祖母に尻を叩かれて、頑張っていたという印象が強かった。本人に聞いてみるものいいかもしれない。うちの家系は貴族との禁断の恋に落ちることが多いなと思うアウルであった。


「カラミタ商会を助けたのはその時の恩返しですな。王子、カラミタ卿にはお話しされたのですが?」

「いや、ピグロ殿を待っていた」


 ミラが全員のカップに紅茶を注いだ。アラウダがこちらに向きなおし、話を始めた。


「アウルさん、ピグロ殿の娘を娶って欲しい」


 アウルは驚きで紅茶を吹き出しそうになった。


「アラウダ様、飛躍しすぎです」


「そうかなぁ」


 咳き込むアウルの背中をミラがさすり、アラウダはごめごめんと言いながらあははと笑っていた。


「僕はね、王族や貴族、騎士が権力を持たない方がいいと思っているんだよ。そのかわりに民衆が政に参加できる国を作りたいんだ。きっと、貴族達から猛反対を受ける。その為に王国で内乱を起こす。アウルさんに協力して欲しい」


 アウルも内乱を使い、貴族を消していこうとかと考えたが他国から介入されたら手が付けられなくなる。なので、政治的に失脚さてからモルト達を使い、消そうと考えていた。


「ピグロ閣下は承認してりるのですが?」


「私は良いと思っている。カラミタ卿はピグロが古い言葉でなんというか知っているか?」


確か古代大陸統一語でピグロは愚か者とかいう意味だったはずだ。


「そう、卿が思ってる通り。昔、この土地は政治犯や囚人が暮らす地域だったのだ。国に仇なす、愚か者が住む地から愚か者の意味であるピグロが取られて、私の先祖が囚人の監視役としてこの地を治めた」


 ピグロ領の者は他領から馬鹿にされることがあると爺さんが言っていたなとアウルは思いだした。


「監獄の役割を終えた、ピグロ領の次の役目は魔の森の監視だった。約三十年周期に一回に魔物や魔獣が一心不乱に北を目指す。魔の森から北には王都がある、王都を守る壁としてピグロ辺境伯は残された」


 ピグロ領に住むものは必ず知ってる。魔物暴走(スタンピート)は異常までの魔物や魔獣が一斉に北を目指し、魔の森から出てくる。魔物暴走の殆どが謎に包まれている。


「約三十年に一度に我が領土は戦争の以上の脅威に晒されているのに王国や他の辺境伯も知らんぷりだ。祖父は魔物たちを通して、王都を危機に陥れたとして打ち首にされた。個人的な恨みかもしれないが王国は変わらなければならいと考えておる」


 確かにこれまでの魔物暴走で王国は僅かな金銭を渡し、それ以外の事は何もしていない。ピグロの言うことは分かる。王都は最低限の生産能力以外は輸入に頼っている。王都の人間が豊かな暮らしをするために辺境などの人たちが苦しむのはおかしいことだとアウルは王都の夜会などに参加して実感した。


「そこで政に通じており、先の戦闘で名を挙げた卿に私の一人娘を娶って貰って、辺境伯を継いで欲しい」


「お嬢様は私との婚姻は伝えているのですか?」


 ずっと、自分の両親の話を聞いたばっかりでもし、ピグロの娘が今後、シスルみたいになっては困るのでアウルは確認をした。


「実はな、卿の結婚の話を聞いたから部屋に閉じこもってしまってな。聞いたら卿と結婚の約束をしたのに裏切られたからと言ってな。覚えはないか?」


 確かに幼いころにアウルは一時期ピグロの屋敷に住んでいた。その時に少女と結婚の約束をしていた覚えはあるが幼い子供の約束、信じてると思わなかった。


「確かに覚えはありますが、まさか、お嬢様とは思ってはいませんでした」


「約束したなら守らなきゃね。黒騎士殿?」


 今まで黙っていたアラウダが口を挟んできた。


「王子が目指す国造りには参加したいと思いますがピグロ閣下のお嬢様と婚姻は持ち帰って検討します」


「まぁ、君が参加してくれると言ってくれるなら来た意味があったよ」


「娘の為にもいい返事を期待してる」


 アラウダは笑顔で王都に帰りますというと部屋を出た。アウルとミラ、ピグロの三人が残された。


「リーフ殿のこと大変申し訳ない、私の派閥の人間も関与していた。粛清はしたが本当に申し訳なかった」


 深々とアウル達に頭を下げた。ピグロは長年に渡り、後悔していた。恩人の家族を助けられなかったことやそのことに自分の派閥の者が関与していたことがピグロを苦しめていた。


「気にしてないとは言いませんがこうして、アラウダ様とピグロ閣下に謝って頂けて、父と母も少しは無念が晴れると思います。顔をお上げください。今度、両親の墓にでも来てください」


「あぁ、今度行かせてもらう。遅くなってはアルディート殿が心配するだろう」


 アウルは外でアルディートが待っていたことを思い出した。


「はい、今日はこれにて。婚姻については後日、連絡いたします」


「分かった。ゆっくり考えてくれ」


 アウルは一礼をすると門を出て、アルディートが待つ馬車に乗り、屋敷を出た。

  

「兄さまって、色恋沙汰になると途端にへたれますよね」


 妹に心に刺さる一撃を喰らい、更に領地にミラの小言は続いた。 


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