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二十一話

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「だったら、王族が何故、カラミタ商会をねらったのか聞きたい」


「わかりました。では、先ずアウルさんとミラさんのご両親のお話をしましょう」


 アラウダは紅茶を少し、飲むと話を始めた。


「ヘルト王国の北、南、東、西にはそれぞれの辺境伯がいます。北がスカラベ辺境伯、南がピグロ辺境伯、東がスカサリ辺境伯、西がアビスポン領、その中心に王都。これがヘルト王国の構成です。


 二十年前、ある出来事が王都を騒がせました。北辺境伯の長女が行商人と駆け落ちをしたと。これがお二人のご両親の出会いです。今もですが貴族は自由な恋愛などは出来ません。しかし、リーフ殿は家を捨てて、ファル殿と駆け落ちをしました。


 連れ戻すために捜索隊も組まれましたが、発見されませんでした。そして、捜索は中断され、スカラベ辺境伯は長女をいなかったことにしました。


 しかし、行商人がファル殿と分かるとカラミタ商会に嫌がらせや妨害を始めました。当時、カラミタ商会は各国に薬や食物を輸出を主に事業を行っていましたが、スカラベ辺境伯は王国上層部に掛け合い、輸出許可のはく奪を行いました。


 カラミタ商会は大きく傾きましたがピグロ辺境伯が盾となり、その間に国内での販売網を構築し、瞬く間に再建しました。その時、密輸に手を出してしまったようです。


 それからはスカラベ辺境伯のカラミタ商会に対する妨害は収まりつつありました。三年後、リーフ殿の妹のシスルさんが僕の兄と結婚しましたが当時、シスルさんには恋人が居たそうですが家の為に強制的に引きなされて、駆け落ちをした姉を恨んでいました。貴族の長女としての義務を放棄したリーフ殿を許せなかったんでしょう。


 兄にカラミタ商会が危険であると信じこませて、王国の暗部を使い、カラミタ商会の妨害を始めました。更にスカラベ辺境伯も暗部と連携を始め、私が気付いた時にはファル殿とリーフ殿は亡き者されていました。


 兄がしたことは王族として恥ずべきことです。手に入れた情報を精査せずに部隊を動かし、人を殺めたことは許されることではありません。大変申し訳ありません」


 アラウダはアウルとミラに対して深々と頭を下げた。自分の母が大貴族だったことなど知らなかった、初めて聞くことばかりで動揺が隠せない。アウルは喉が酷く乾いていた。しかし、アラウダの言うことが真実とは限らない。


「しかし、アラウダ様が本当のことを申していることが本当のことは限りません」


「では、精霊に誓い、本当のことと証明します」


 精霊は契約者の過去を見ることが出来る。そして、精霊に誓うということはもし、嘘や偽りがあった場合は契約を解かれるということであった。


「シルフィー、お願い」


「良いのー?」


「あぁ、信じてもらうためだ」


 シルフィーがアラウダの頭に触れると魔方陣が現れ、回転していく。


「うん、問題はないよー。アラウダは嘘をついてないー」


「そうですか。同じ契約者として、一応、信じましょう」


 アウルは腑に落ちないことがあった。何故、ピグロはカラミタ商会を助け、アラウダはここまで協力的なのか。


「アラウダ様やピグロ閣下は私達に協力してくださるのですか?」


「私はもう一つの妹さんのことにつながります。ピグロ殿には本人から聞いた方が良いでしょう」


 何故。初対面のはずのミラが関係しているのだろうかと更に疑問が増える一方だった。


「私はいつものように絵画を探しに行ったときにある絵画の女性に一目ぼれをしました。私は絵描きにモデルの人物の名前や住所を聞き、ピグロ辺境伯にまで行きました。


 カラミタ商会という屋敷の花壇で手入れをしている絵画そっくりの女性が居ました。その女性がミラでした。手紙でやり取りをし、一年後、お付き合いをすることとなりました。


 お付き合いをするまでは私の身分は隠していましたが王子であると伝えると驚きもせずに貴方は貴方でしょと言ってくれました。「ちょっと、待て」はい?」


 アウルはどんどん話していくアラウダを止めた。


「ミラ、お付き合いをしている男性はアラウダ王子なのか?」


「はい!身元もはっきりしている方でしょ?それに兄さまも自由に恋愛をしていいと言ってらっしゃたし」


 アウルは頭を抱えた。自由な恋愛をしていいとは言ったがまさか、自国の王子が出てくるとは思わなかった。しかも、王子の方が熱烈にアピールしている。


「王宮で声をかけようと思ったのですが、流石に立場があったので無理でした。なので、このような形をとりました」


 アラウダは思い出したようにアウルに伝えた。


「後、二つ程お話したいことがありました。ピグロ辺境伯も関係しているのでお呼びしましょう」


 アラウダはドアを開け、衛兵にピグロを呼んで欲しいと伝えた。アウルはまだ、やっかい事が増えるのかと想像すると胃が締め付けられた。

 


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