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二十話

感想や評価、誤字脱字があれば気軽によろしくお願いいたします。


「珍しいね、アウルが正装しているなんて」


「あぁ、いつもの軍服が良かったんだが、ピグロ閣下からの呼び出しだ。なんだが、第三王子がいらっしゃって銃の量産をしている俺に興味があるから会いたいって連絡が来てな」


 普段は白のカラミタ領の軍服を着ているアウルだがピグロの呼び出しで正装に着替えていた。


「兄さまー支度は終わりましたかー」


「まだよー、ミラちゃんー」


 アマンダとミラは義理の姉妹となったが以前より仲が良くなり、度々アウルをチームプレーで追い詰めることも増えた。


「ミラちゃんもなの?」


「うん、ミラはお供。最近は、軍務に忙しかったから運営の方を任せてたら居場所が無くなってた。しかも、俺より領地のことに詳しいんだ」


 アウルがS・R(セヘル・リッター)やライフルの開発などの軍務に力を入れていたがその間に事務的作業はミラが取り仕切っていた。執務室に戻ると重要案件以外は終わっていた。


「少しは軍隊ばっかりじゃなくて、執務もしっかりしなきゃ。ミラちゃんもいつかは嫁ぐんだから」


「分かってる」


 アウルは最近、ミラとそういう話をしたばっかりだと思い、ミラが待つ玄関に急いだ。


「おはようございます、アウル様」


「おはよう、アルディート」


 馬車の横にアルディートが控えていた。いつもアウルやミラを守る姿は騎士のようだった。

「ミラ様は馬車にお乗りなっています」


「ありがとう」


 アウルは馬車に乗り込み、今回の王子の訪問について考えていた。


「王子の訪問、裏に何かあるのか?」


「どうでしょうか。第三王子のアラウダ様は好奇心が旺盛で、行動派の方と噂で聞いたことがあります。単に兄さまがしてきたことに興味があるだけではないでしょうか?」


 ミラが第三王子の情報を教えてくれた。確かに王族としては珍しく、外に出て民衆と触れ合い、人気がある王子であった。


 しかし、政治に興味を無く、芸術や技術の保存に力を入れているしく、度々王宮を抜け出し、展示会に参加して民衆を驚かしていた。しかし、王宮を抜け出すため、問題児として貴族からの評判はあまり良くなかった。


「それならいいが。最近は王都にもいたからな、粗相があって打ち首とかはごめんだからな」


「あら、その時は私も連座ですね」


 アウルはミラには逃げて欲しいのだがと思った。


「ところで兄さま。義姉さまのドレスが完成したので次は兄さまのタキシードを作りたいと思うのですが、何かデザインで希望はございますか?」


「軍服と似たデザインがいいな」


「分かりました」


 アウルとミラは久しぶりの兄妹の会話を楽しんでいた。


「アウル様、着きました」


 馬車が止まり、ドアをアルディートが開けた。しかし、彼はいつも護衛を引き受けてくれるが武官長としての仕事はいつしているのだろうか。


「待っていたよ、カラミタ卿」


「ピグロ閣下、お久しぶりです」


 ピグロ自ら出迎えてくれた。しかし、ピグロもいつも自分で出迎えるが暇なのかとアウルは思ってしまった。


「アラウダ様もお待ちになっているから、早速だが行こうか」


「かしこまりました。ミラ、行くよ」


 はいとミラは頷き、アウルの後をついてきた。ピグロ領も鉄製農機具や集村化、三圃式などをカラミタ領から取り入れた。そのおかげもあってか、今年は豊作だと手紙とお礼の農作物が送られてきた。


「しかし、妹君はお母に似てらっしゃる」


「母の血を色濃く、継いでおります」


 ピグロはミラを見ながら母に似ていると言っていたが、ピグロと母は面識があったとは聞いたことがなかった。何故、知っているのか疑問になったが応接室についてしまった。


「この中に王子がいらっしゃっている。粗相が無いように」


「かしこまりました」


 ピグロがドアをノックし、中から入れと短く返事が聞こえた。


「アラウダ様、この者がカラミタ卿でございます」


「初にお目にかかります。アウル・カラミタにてございます。横にいるのが妹のミラ・カラミタです」


 王族特有の金髪に紅の瞳、身長はそこまで高くないが筋肉質である。一番の驚きは肩に乗る小人、精霊である。アウルは初めて自分以外の契約者と出会った。


「貴方がカラミタ卿!話は聞いているよ、稀代の軍略家であるレイ王子に一矢報いた武人と!」


「過大な評価、身に余る光栄です」


「そんなに固くならでおくれ、堅苦しいのは嫌いなんだ」


 笑顔を絶やさずにアウルに賞賛を送っていた。実は二つ名を賜ったことなどは領内に公表していなかった。その理由はアウルが黒騎士と言われるの嫌い、必要のないことだと決定したからである。


「ピグロ殿、二人と話したいから席を外してもらえるかな?」


「かしこまりました。何かありましたら、外の衛兵にお伝えください」


 ピグロはそう言い残すと部屋を出て行った。


「さて、シルフィー。防聴結界をお願い」


「かしこまりー」


 シルフィーと呼ばれた精霊が手を叩くと部屋は一瞬、光に包まれた。


「アウルさん、今日は大事なことを話したくて、お呼びしました」


 急に雰囲気ががらりと変わったアラウダに対して、アウルは警戒を強めた。


「一つは妹さんの事。もう一つは王族が何故にカラミタ商会を狙ったのか。さぁ、どちらから聞きたいですか?」


 アウルはまさか、王族から父の殺害や薬の輸送の妨害の事をその口から聞けるとは思わなかった。しかし、何故ミラの話が出てくるのだろうか。嫌な予感がした。


 アラウダは終始表情を崩さず、こちらを見ていた。手の上に汗が落ちた


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