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十二話


「動かないな」


「もう、二週間ですね。この睨み合いはいつまで続くのでしょうか?」


「さぁな」


 アウル達が公国国境に着いた時には両軍の布陣は終わっていた。しかし、到着から二週間も睨み合いが続いていた。もう少しでカラミタ領を離れて、一か月となる。領の小麦畑や街並みが恋しくなっていた。


「公国軍一万五千、王国軍二万五千。兵力は上だが将軍達の意見は割れている」


「陣形に隙が無く、攻撃しようにも厳しい。長期戦になると経済的に今後に問題が出てくる。損ばかりに思えますな」


 アウルも軍とは別に試験小隊やモルトの部隊を使い、偵察を行っているが公国軍は動く気配がなかった。不気味であった、まるで何かを待っているようだった


「ピグロ辺境伯が戻ってくるまでは休んでおこう」


「そうですな」


 ~軍の配置~


        公国軍  

 山

 山      本陣

 山  右翼 中央 左翼

 山

 山

 山  左翼 中央 右翼 

 山      本陣


        王国軍


「明日の朝、攻勢をかけることとなった。我らは後詰めとして布陣する」


 会議から帰ってきたピグロが明日の攻勢を伝えると攻撃に参加できないと残念がる者やもとから興味がなさそう者がいた。ピグロ派も一枚岩ではないようだ。


「今日は夜も遅い、ゆっくり休んでくれ」


とピグロが言い、解散となった。


「ピグロ閣下、お話があります」


「何かね、カラミタ卿」


 アウルはピグロを呼び止めた。


「我らは右翼よりに布陣してもよろしいでしょうか?」


「何故だ?」


「何かきな臭いと思いませんか?私は公国軍が我々を誘っているのではないかと思っているのです」

「確かに私も奇襲などを考えたが左翼側は山で守られ、右翼は精鋭の王国騎士団が布陣している。兵力も倍とは言わないが我らの方が多い」


「何も起きなければいいのですが」


「カラミタ卿が右翼側に布陣することは別にかまわない。卿も明日が初陣で緊張しているのだ。ゆっくり休め」


「ありがとうございます、閣下。万が一の場合には我は独自に動いてもかまないでしょうか?」


「よかろう。だが、危険だと思ったら下がるのも忘れるなよ」


「閣下の格別のご配慮、痛み入ります」


 アウルはピグロに礼を言い、天幕を出た。ふと、上を見上げた。星々が爛々と輝いていた。


「星が綺麗だな」


「アウル様、お身体が冷えます。早くこちらに」


「アルディート、ありがとう」


 迎いに来ていた、アルディートから白湯をもらい、集まっていた士官に明日の攻勢のことと作戦を伝えた。


「アルディートは他の貴族達と一緒に後詰めを頼む。S・R(セヘル・リッター)隊の八班と試験小隊を置いていく。しかし、軍が敗走すれば前線となるから気を引き締めろ。残りの班は俺と一緒に右翼に展開する。」


「別に蹴散らしてもよろしいですか?」


「かまわない」


 アルディートが獰猛な笑みを浮かべた。


「では、明日の朝までゆっくり休め。解散」


 アウルはアルディートと共に夜遅くまで作戦を煮詰めていた。


 平等に月が沈み、太陽が大地を照らす。そして、人の生死も平等に訪れる。


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