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十話


「カラミタ卿、今回の戦は吾輩と一緒に陣を構えていただく」


「かしこまりました。ピグロ閣下」


 数日前にピグロからの使者がアウルに来た。その二週間前に公国が宣戦布告し、国王が全貴族に対して動員が命じられていた。


 そこでピグロは自分の派閥の貴族を招集して、各人の動きを確かめていた。


「では、我らは三日後に公国国境線に向かうこととする。準備を怠らないように」


「「はっ」」


 ピグロがアウルを呼び止めた。


「カラミタ卿、卿はまだ領主になって日が浅い。負担も多いだろうから兵はそこまで連れてこなくても大丈夫だ」


「気にかけていただき、恐縮です。しかし、王国を支える貴族に加えて頂いたからには身命をかけて己の役割を果たしたいと思います」


「そうか、卿の思いしかと受けとめた」


 アウルは一礼するとピグロの屋敷を出た。もう日は沈みかけていた。


「アウル様、どうでしたか?」


「ピグロ派の貴族はなかなか多いな。予想以上だった」


 帰りの馬車の中にはモルトがいた。普段は国内外を飛び回っているが最近はアウルの傍にいることが多くなり、領の情報統制をしていた。


「しかし、屋敷にいた連中を消しさったら計画は進むだろうに。殺さないように耐えるので精一杯だった」


「焦っていけません。使える駒は使い切ってから退場を願うのです」


「そうだな。少し、疲れた」


 と言って、アウルは寝てしまった。モルトはこの少年の肩に乗る、重圧と心に宿す憎しみが少年を押し潰されることにならないように支えなければと年相応の寝顔を見て、思った。


「アルディート、今回の遠征の構成は出来ているか?」


「はい、ここに」


 アウルは自分の領地に戻るとすぐさま準備に取り掛かった。今回の防衛戦に連れていく兵力は以下の通りである。


 S・R(セヘル・リッター)隊六十機 試験小隊六十名 護衛隊百名 輸送隊 整備班


 S・Rは二年前に比べて性能は格段と進歩しており、生産能力も高まっているが初の実戦であるため数は殆どは領地にて待機となった。


 試験小隊の主装備はDTR(ダンテ・ライフル)ー3である。カラミタ領内で賊の討伐にて成果を上げており、本当ならば魔法歩兵との連携が重要となるが今回は防衛戦のため試験小隊のみの運用である。


「しかし、遠距離からの攻撃に対する対策は取られていないな。それと公国の王子がどんな戦術で銃を運用するのかは楽しみであるな」


「我らもS・Rや魔法歩兵隊との連携や単独での運用方法などを研究してまいりましたがあの知将がどのように銃を使うのかは気になりますな」


「会ったことがあるのか?」


「傭兵をしていたころに何回戦場にて、味方だったり、敵だったり」


 がっはっはと笑った後、アルディートは退室した。アウルは自分の命を預けるS・R の調整をするために整備室と足を運んだ。


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