第5話「目覚めた伝説、動く歯車」
翌朝となって俺は城の食堂で朝食を食べトレーを下げた後、グルスタさんと話した。
「国王の言う通り、あなたの料理は美味しいです」
「ありがとう。君は確かツギヅテかな」
「ええ、そうです」
「あの少年が入隊して間もなく任務に行ってから、生死不明で心配だ」
「少年…?」
「その少年の名前は確か…アラヒロで、あいつの作る料理が今までと違うやつだ」
「!?」
グルスタさんの話で俺は衝撃が走った。
「何かあったのかね?」
「この話は任務を終えてからにします」
その名前を聞いた俺はその後、FK軍中央基地でロッケイン将軍による任務の説明が始まった。
「皆の者、今回の任務において、新人を入隊することにした」
「あれは飛び級の形で入隊したあの若手のバトメイナーか?」
「この者はただの戦士ではない。ツギヅテ、その証拠を」
俺は持っていたブレンデッジを兵士達に見せた。
「あれはブレンデッジ?」
「まさかこんな若者がホーペガシーに選ばれてメザメイナーとなったのですか?」
「ああ、伝説の力が何千年の眠りから目覚めさせた。しかし、彼はまだ新人だ。まずは援護などのサポートを頼む」
「はっ、将軍!ツギヅテがこの世界の希望となることを祈って!」
「どうか各地でのモンスターの暴走を止めるのを願います…」
「国王の命で新たなるメザメイナーの入隊兼ねて正式表明をする!今回の任務において皆の者、今すぐ備えよ!」
「はい!ロッケイン将軍!」
入隊式が終わった後、総合会議室で国王を筆頭に任務の説明をした。
「俺の初めての任務はなんですか?」
「今回の任務はワイルデザス地方各地の凶暴化したモンスターの討伐とその調査だ。君が目覚めさせ手にしたブレンデッジなら、異変を突き止められるかもしれない。それにもう一つ頼みたいことがある」
「何ですか国王?」
スティーペリオ国王はタブレットとなる透明パネルを見せて国の関係者と思われる銀髪の男性を映した。
「私の側近でメザメイナーの祖先・末裔である銀羽ことメタザー・シルヴェニックスがモンスターの凶暴化が発生する前に突然と姿を消し失踪した。その者を探してくれないか?」
「実はその件で…俺の親友である荒宏兵戸がこの世界に来たんですか?」
「!?。まさか、最初に来た人間が君の親友なのか?」
「そうです。子供の頃に色々と遊んだり助けてくれました…」
「まさか任務で失踪したアラヒロがツギヅテの親友だったとは…」
「ええ、ところで一緒に同行する方はいるのでしょうか?」
「とりあえずはロッケイン将軍が率いる部隊」
「ロッケイン将軍。事実上ではあるがメザメイナーとして選ばれたツギヅテを頼むぞ」
「ブルーソン司令、了解です。わからない時は俺の指示通りに従えばいい」
「わかりましたブルーソン司令、ロッケイン将軍。後、国王に残すべき一言を言いたいことがあります」
「私に一言か?」
「既に有名な一家の一人である俺はそれだけでは満足できず迷い続けたままでした。しかし、この伝説のホーペガシーが俺に道を与えてくれたかもしれません」
(自分が有名な一家だけ満足できず迷い続けた…。確かに新しい道を見つけたツギヅテの言うとおり…そろそろ雇用担当の私も…)
俺がそういうと、会話を聞いたオリリベが続いて国王に一言を言った。
「スティーペリオ国王、私にも言いたいことがあります」
「オリリベント?、何だね?」
「ツギヅテさんの一言に合わせて私も同行させてくれませんか?」
「まさか雇用担当のものがそのようなことを言うとは…君が所属してる職の中でこういうことをいうのは珍しい」
「私は今まで、この国の日常でいろいろと国王のために役立つ人達を雇わせましたが、ツギヅテの一言に自分もそれだけでは物足りないと思いました。
お願いします国王様、任務に行かせてくれませんか?。命知らずのツギヅテさんも行くのなら私も行きます」
「最初に出会った時、君の秘めている能力を見て、当初は戦いの中で役立つ候補として選んでいた。いいだろうオリリベント、その任務に同行を許可する。任務を達成した証として給料となる報酬を増やすとしよう」
「ありがとうございます!スティーペリオ国王」
「とりあえず君が任務に行ってる中、雇用担当は他の者に任せることにする」
「俺のやりたいことに共感するとは…。俺はまだ伝説の力を扱う初心者だ。任務の中でそのサポートをいつでも頼む」
「わかったわ」
俺は国王の任務の説明を終えた後、FK軍中央基地でロッケイン将軍を筆頭に俺とオリリベも含む部隊らは戦闘用の軍服に着替えるなどの準備をした。
「ロッケインさん、この腕時計はどういう機能があるんですか?」
「ツギヅテ、腕時計の扱い方はこうだ。このボタンを押せば、このようになる」
ロッケイン将軍が腕時計を操作すると、そこからプロジェクターのようなものが出てきた。
「それ腕時計は本来の機能も含めIDタグや方位磁石ならびに仲間との現在位置を示す機能など様々に搭載している。何らかのトラブルではぐれた時に役立つだろう」
「ありがとうございます」
「とりあえず、そのブレスレットにカラーバリエーションがある、好きなものを選んで良いぞ」
「それじゃあ、この色で」
「よしわかった」
この腕時計は現実世界において兵士が任務に行く際の『認識票』で簡単に言えばIDタグや身分証明書に相当するものだろう。
この世界では紛失などで外れることに配慮して一体化したものになったのか。
とりあえず、俺は腕時計のセットを終えるとオリリベがやってきた。
「オリリベの色は緑か」
「まぁ、私が好きな色だからね」
「ツギヅテ、オリリベント、そろそろ出発だ!」
「わかりました、ロッケイン将軍!」
「私も準備万端です、将軍」
俺は出発するため、ロッケイン将軍の元へ向かった。