第2話「導かれた奇跡の欠片」
オリリベの案内でその部屋へ入ると、そこはパソコンなど色々と置かれてあった。
多分、商品の開発する作業部屋だろうか。
「試作品はここにあるの?」
「とりあえず今、準備してるところよ、もう少し待ってて」
執事は部屋にあった厳重な金庫のロックを解除し開けると、取り出したのは今流行りのVRゴーグルで外見は近未来的でシンプルなものだった。
「これ今、話題となってるVRゴーグル?」
「ええそうね。実際に仮想世界でゲームの世界の中で楽しめる道具。でもそれとは今まで違うもの」
「今までとは違う?どういうことだろう?」
「ツギヅテさん、それを付ければ、今にわかります」
「ええ…わかりました…」
俺は疑問を抱きながらも若手の執事の言う通りに試作品となるVRゴーグルを装着した。
「装着し終わりました、執事さん」
俺は若手の執事の言う通りにそのVRゴーグルを着けた。
「こっちも終わりました。準備大丈夫ですか?」
「オリリベさん、例の準備は既に終えました。それではその方をお願いします、気を付けてくださいませ」
「ツギヅテ、これから見る光景は仮想と現実以上のもの」
「仮想と現実以上?」
若手の執事がVRゴーグルに対応されてると思われる端末を操作すると、俺の目線の先のモニターに映っていた両手や自分の体が画面中心に吸い込まれるエフェクトが発生しモニターの画面は真っ白になった後、俺の目線の先には中世の町並みの光景であった。
「ここは仮想世界…?。ん…?、ちょっと待って、俺が着けていたVRゴーグルは?」
俺自身の違和感に感じVRゴーグルを取ろうとするが、自分の顔を触るとそのゴーグルは無く、さらに体も触って確認するとここが現実である事に感じた。
「まさかここは別の世界…異世界なのか?。本当に来たのか?俺は!?」
「ええ、そうよ。現実で新しい目標を思い浮かばないあなたにこういう所に連れて行きたくね」
「待って、俺が異世界に来たのなら海外旅行で外国語が殆ど出来ないと一緒だ、この世界に通訳係とかいるよね?。後、元の世界へ帰る方法は?」
「大丈夫よ、そのVRゴーグルには通訳共通システムが搭載していて、あなたの頭に既に埋め込まれてるわ。後、元の世界へ戻れる転送システムはあるから心配しないで」
「良かった、だとすれば…君は異世界の出身?」
「ええ、そうよ。まず観光としていろいろと見回りましょう。後、国王であるスティーペリオ・セレクタールがあなたをお呼びになってるわ」
「国王…。もしかして君は政府の職員や大統領の秘書のような立ち位置に所属なの?」
「まあそういうことかしら、とりあえずここら周辺を観光しましょう」
俺はオリリベの案内でここの街中を次々と観光した、今まで中世などのファンタジーや近代感が混ざった街並みは色々と現実にあったが、この異世界では初めて見る光景であった。
「今思ったんだけど、ここはどういう世界かこの国はなんなのか教えてくれないかな?」
「あ、そういえば忘れてたわね。この世界はサイエデンタジーでこの国はフォステリンデンという所で中央首都F.Bセントラルというところよ」
「一応、簡単な説明ありがとう。とりあえず、国王のいる城へ案内させてくれないかな?」
「わかったわ、まずここを一先ず見回りましょう」
俺はオリリベと共に街周辺を見回り続ける中、オリリベが話してきた。
「街をたくさん見回ったし、そろそろカフェなどで軽食を取らないかしら?」
「そうだね。オリリベ、おすすめな場所がある?」
「ええ、丁度あそこのカフェで取りましょう」
俺はオリリベと共にカフェで軽食を取ることにした。
「これを1つ…お願いします。ツギヅテは?」
「俺はこれにする」
カフェでメニューを注文した後、俺はオリリベと共に食事ながら話した。
「やっぱりこの世界の料理も美味いな」
「ええ、ここは私が暇な時間にいつも憩いをしてる場所なの」
「そうか、俺はもう食べ終えた所だし、早く国王のところへ行こうか」
「ええ」
俺とオリリベはカフェで一休みを経て街中の周辺を見物しながら、スティーペリオ・セレクタール国王のいる城へ向かった。
その周辺の見た目の中には現代的なものもあった。昔のファンタジーは中世が多かった中、時代が進むにつれ今ではそれだけとは限らないものとなり、ゲームなどフィクションの世界を多く見慣れた俺にはその世界に入った感じであった。
「あそこに国王がいるのか、ところであそこの城の名前はなんと言うの?」
「フォストリー・キャッスルね、ここではいろいろと数多くの顧問などを担当しているわ」
俺とオリリベが向かった先はF.Bセントラルの中心となる城であるフォストリー・キャッスルに到着しエントランス周辺にも現代でもあった電子機器らしきものもあった。一方でオリリベがロビーのカウンターで受付と話していた。
「これはオリリベントさん、お帰りなさってご苦労様です、この方は?」
「国王の命令で連れてきた者です」
「わかりました、しばらくお待ち下さい」
受付がそれを言うと、モニターパネルらしき所へと行き、会話をしていた。
「オリリベント?もしかしてここの世界での君の名前なの?」
「そうよ、あなたの世界に訪問する際は一部、それぞれの所に合わせるための名前にしたりすることがあるの」
「そういうことか」
俺がそう言うと、受付の人がカウンターの所へと戻ってきた。
「オリリベントさん、お待たせしました。では国王の所へ行きましょう」
俺とオリリベことオリリベントは警備担当のボディガードらの案内で関係者以外立入禁止らしきとなる場所へと入って、国王がいる執務室へ行った。
「こちらが国王の部屋です。どうぞ」
ボディガードが部屋の扉を開け、俺とオリリベはスティーペリオ国王がいる執務室へと入った。
「オリリベント、よく帰ってきてくれた。その少年が新たなる候補となる者か?」
「そうですスティーペリオ様」
「初めまして、私はフォステリンデン王国の王であるスティーペリオ・セレクタールだ。君は武培継伝という者か?」
「はいそうです。スティーペリオ国王様、こちらこそ初めまして」
「ツギヅテ、よくぞここに来てくれた。挨拶はさておき、本件を君に全て話すことにしよう」
俺はスティーペリオ国王の話を聞くことになった。