プロローグ「始まりの一つは奇跡起こした短命の者」
「まず最初に亡き俺の兄が残した奇跡の全てを話すとしよう。あの出来事は俺の全ての始まりの一つでもあった」
俺は武培継伝(以下略でツギヅテ)。6歳の頃、近未来の時代が近づいている中で大不況となる「黄昏経済」が起きた。
その経済破綻は失業者やホームレスの数は日本全体で過去全体の経済崩壊の2倍以上であった。
この広大な不況の中、数奇の奇遇が重なり奇跡が舞い降りた。
その名は武培望集時、俺の兄でとても偉かった、しかし13歳の時に病気で体調不良となり治療を受けることになったが
ここからが悲劇となった、その病気は不治の病で数週間の余命宣告が下された。
だが、望集時は余命宣告を認めの残された時間が近づく中、両親や親戚達の計らいによって、大人になった時に叶えようとした願いを次々と成し遂げていった。
そんな中、最後の願いは俺にも想定外のものであった。
「黄昏経済によって失業者などのホームレス達に恵みを与えてほしい、自分自身の余命が近づく中で最後の願いだ」
治療のための病院に通う中、ホームレスがいる光景を望集時は見て、その人数は大きかった。
この大きな不況の時代の中で望集時は自分の願いよりも残された時間の中で大きな何かをもたらし残すべきだと考えるようになった。
しかし、地元や県外だけで数千万以上で望集時の願いを叶えるのは不可能であり、途方がくれる中、望集時の病気は悪化する一方であった。
集まったのは友人や親戚の知り合いのボランティアなどの団体少々だけであった。
そんな中、望集時の余命が僅かである事を家族や団体がSNSを通じてメッセージを伝えていた。
「自分は不治の病にかかり、余命が近づいている。失業したホームレス達も同様に命を失うかもしれない。どうかこの不況の時代に恵みを、みんなを助けるためにも…」
このメッセージは最初は無名で目に付かないものであった、しかし有名記者などのメディアにも目が留まった上にニュースで取材されるようになった。
最初は地元そして各地でも報道され、様々な企業等が望集時のためにホームレスに食料などの物資を与える事になり、他の団体、ボランティアにも影響し支え合う事となった。
この最後の願いは「望集時の奇跡」と呼ばれ、莫大な物資や募金が多く集まり、望集時の言葉に失業者やホームレスなどが生きる意味そして勇気を取り戻した。
そして数日が経ち、俺の兄である望集時は笑顔と勇気を取り戻したホームレス達が新たな人生と祝福が訪れることを祈って、16歳でこの世を去った。
兄が亡き後も俺の家族も含め、筆頭となる望集時の名の元に物資や募金などの寄付はたくさん集まっていた。
そして最後にニュースのインタビューで兄が残した最後の言葉はこうだった。
「自分が悲しむ時になるのは、人々が諦めた時だ。夢と未来を進む中で今まで全部経験したことを力にすれば、この先の困難を絶対に乗り越えられる」
これが大不況の時代で大きな偉業を成し遂げた俺の兄である武培望集時の遺言であった。
それからこの奇跡の出来事から数年が経過した…