リチャード・クロエ
リチャード-side-
古くからの友人であるチリスからの頼みごと。それは自分が最も嫌いである子供の子守りをすることだった。しかし、相手は皇帝だ。否定すれば殺されるかもしれぬ。彼は、左右の者でさえ殺しかねない…冷酷な皇帝だからな。古くからの友人であろうと関係ない。
だが、彼女…アーネスはハーグリーというBattle Teddy…戦闘型くまのぬいぐるみを連れてきた。私を殺す気なのだろうか。彼女も皇帝の息のかかった奴だ。何かあれば殺すかもしれぬ。しかし、彼女はハーグリーをくまのぬいぐるみとして可愛がっているように見えた。そう、Battle Teddyだと知らないようであった。だから、私は彼女を自らの力となるように育てようと考えた。
「アーネス、はじめまして。リチャード・クロエだ。そして、ハーグリー。君もよろしくね」
「…はじめまして。よろしくお願いします、おじさん。ほら、ハーグリーも挨拶して?そう、よろしくって」
ハーグリーの頭を無理矢理下にしつつ、自分も礼をした。4歳とは思えないほど綺麗な顔。態度、礼儀。これが皇族、ということなのだろうか。だか、子供。できる限り関わりたくない。そう、だから妻のアカリ・クロエを呼んだ。
「アカリ。彼女達を頼んだ」
「はい、お仕事頑張ってくださいね」
アカリは私に微笑むとガッツポーズをして、彼女達に振り返った。