表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とりあえず事なかれ主義  作者: 天草一樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/50

悩み事はなくなった

 家が燃えている。

 目を疑うような光景だが、事実である。

 ついさっきまで俺も中にいた、Aさんの家は、今完全に炎に包まれていた。

「まさか本気で放火するとは……」

「…………………………」

 唖然とする俺と、意識が飛んだかのように口を半開きにしたまま立ち尽くすAさん。

 ちなみにだが、黒ずくめの男たちと、その主犯である茶髪の男はいまだ家から出てきていない。

「……今日は俺の家に来ます? アリアさんの家、無くなっちゃったし」

「……そうさせてもらおうかな」

 何とか言葉を吐き出すAさん。まあ今日一日の出来事は、Aさんの人生の中で最も衝撃的なことの連発だったに違いない。立ち直るまでにかなりの時間を要するだろう。

 俺は野次馬がたくさん集まってきたのを感じ、この場を立ち去ろうと後ろを振り向く。と、そこにはまだAさんの家にいたはずの妹が、ふくれっ面で立っていた。

 いつの間にか後ろにいた妹に驚き、俺は一歩後ろに下がる。妹はそんな俺と対照的に一歩距離を詰めてきた。

「お兄ちゃん、こんな女を家に誘うなんて何考えてるの。こいつのせいでお兄ちゃんはすっごく危険な目に遭ったんだよ。いくらお兄ちゃんでも人が良すぎるよ」

「そうは言っても、実際アリアさんの家がなくなっちゃったしなぁ。俺(というかお前)にもいくらかの責任はあると思うんだよ。まあ一晩宿を提供するくらいだったら別に構わないだろ」

 妹はどんどん頬を膨らませ、なんだかすごいことになっていく。

 そして頬が破裂する(しぼむ)と同時に、Aさんの手を無理やり取り、その場からの逃走を図った。

 唖然とする俺に向けて、妹が捨て台詞を残していく。

「お兄ちゃんにこれ以上、私以外の女の人は近づけさせないんだから! 彼女なんて絶対作らせてやるもんかぁ!」

 俺は呆然と妹の後姿を見送ってから、一人自宅に帰り始める。

 結局、さっきの男たちはいどうなったのか? まあもはや俺には関係ない。いろいろと予想外の事態に巻き込まれたが、最近俺を悩ませ続けていた問題は完全に解決したのだ。

 俺は晴れ晴れとした気持ちで、家路をたどっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ