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とりあえず事なかれ主義  作者: 天草一樹


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初めての場所に行くには事前準備が肝要

 家族とのコミュニケーションをどの程度取っているかは、当然一人ひとり違うだろう。

 まして高校生という多感な時期なら、その差は顕著に出ているかもしれない。

 だが、さすがにたいていの家庭では朝の挨拶ぐらいは家族とするものだと思う。もちろんそうじゃない家庭もたくさんあるのだろうが。

 俺の場合は朝、必ず母に挨拶をしてから出かけることになっている。挨拶もなしに勝手に出て行くと、心配性の母親が心配しすぎで気絶する可能性があるからだ。

 まあそんなことはどうでもいい。俺が言いたいのは、自分の行動をどの程度家族に監視されているのかということだ。

 学校を無断で休めば、学校側から電話がかかってきて親に無断欠席の事実がばらされる。この程度のことは当然だろう。では、自分の携帯を勝手に見られ、どういった交友関係を持っているかを知られている。これは一般的と言えるだろうか? 今のご時世ならそこまで不思議ではないものとして、GPSによって常に居場所を把握されているということもあるだろう。

 では、盗聴器をつけられ、自分の会話が筒抜けになっているというのは、一般的に分類されるのだろうか?

 現状、どういうわけか俺の行動の一切を知り尽くしている変態が家族にいる。この状況下で学校をさぼり、クラスの女子の家に向かうというのはかなり危険な行為であるように思うが、どうだろうか?

 打開策はないこともない。そもそも盗聴器を見つけて壊せれば、少なくとも俺が何をしているのかは分からないはずだ。だが、盗聴器を壊すことによって何が起こるかを考えたら、下手に壊すこともできない。

 ではどうするか? 俺はこうした。

「いや~、お兄ちゃんが自分から私のことを誘ってくれるなんてすっごくうれしいよ! 行先に関してはすっごくすっごく不満があるけど、こうしてお兄ちゃんと平日にもかかわらず一緒にいられるなんてすっごくすっごくすっごくうれしいな!」

 俺の隣でピクニック気分の妹がはしゃぎ声をあげる。

 俺は無表情でそんな妹のことを見つめながら、念を押すように言う。

「くれぐれもこの前みたいな早まった行動はするなよ。それと、ついてきてもいいとは言ったが、あくまでアリアさんの家の前までだからな。どうせ俺の会話は盗聴してるんだろうから、中には入らずに周辺でぶらぶらしてろよ」

 妹はぶーっと頬を膨らませつつも、比較的笑顔でうなずく。

 今まではそもそも声すらかけられていなかったのが、今回俺から声をかけてきたということでかなり喜んでいるらしい。

 まあ前回みたいな怖い目に遭うくらいなら、先に話をしておいた方がましだと考えただけなのだが。

 何はともあれ、妹の驚異的な探索力(?)により、俺は無事にAさんの家までたどり着くことができた。

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