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クラスメイトとの食事

 俺には常々疑問に思っていることがある。一般の人たちは友人と一体どんな会話をしているのかということだ。特に学校における友人関係は、俺にとってかなり奇妙に思えるのだ。例えば、趣味の会う友人なら、その趣味の話を延々と話し続けることはできるかもしれない。もしくは部活が一緒だったなら、部活の話を。運動部なら次の試合の話や前回の試合の話など、話す内容は多岐にわたるだろう。だが、趣味も別に合わないし、もちろん部活も一緒でない友人同士ではいったいどんな話が発生するのか? 俺は今日、その答えを知った。

「昨日俺んちの猫が……」

「ネットに載ってたんだけど、Y市でUFOがよく出現するんだって……」

「昨日隣のクラスの○○さんと放課後……」

「……」

 そう、みんな自分のしたい話をするのだ。はっきり言って一貫性もなく、そもそも相手のことを考えてはいない一方的な話を交互に語り続けるのだ。

 ここにきて俺は気づいた。彼らは友人だから会話しているのではない。お互いに相手のことを考えずに話せる相手だから、友人になったのだと。

 つまり、俺が前提として考えていた、趣味も部活も一緒ではない人間とどうして友人になりえ、かつ会話が成立するのかという疑問は、そもそも矛盾していたと言えるわけだ。

 そのことに気づいた俺は改めて一つの考えにたどり着いた。

「俺はこいつらと仲良くやっていくことはできないな……」

「え、今なんか言ったか?」

 俺の呟きに対し、Bが不思議そうにこちらを見てきた。俺が黙って首を横に振ると、Bはもうそのことには興味を無くしたらしく、新たに何か語りだし始めた。

 そうして、実質相槌だけでほとんど話さなかった俺だが、何をどう感じ取ったのか、Bを含め、一緒に食事をとったクラスメイト達は随分と満足したらしい。昼休みが終わる直前にこんなことを言ってきた。

「お前って案外面白いやつなんだな。今度からも一緒に昼飯食べようぜ」

「そうだね、気が向いたらそうさせてもらうよ」

 彼らは、俺のたったそれだけの発言にもなぜか笑い出し、楽し気に肩をたたいてきた。

 俺は思う。友人の在り方とは一通りではないのだと。決して、双方が楽しくなくとも、一方が勝手に楽しめる関係であれば、それは友人としてとらえられるものなのだろうと。

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