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リシアンの契約 ~呪われた世界と聖なる夜の仔~  作者: 水森已愛
第一章 『リシアンの契約Ⅰ』
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第4話 ~聖女の系譜~

「せい、るちあ?」


「ああ。聖ルチア。古代ルチア教の聖女――。


 聖なる癒やしの力を持ち、そのたぐいまれな美貌と人格により、

 民衆を、夜明けの世界へと導いたとされる、偉大なる始祖しそ

 まあ、簡潔かんけつに言って、

 わたしの祖先そせんにあたる人だな」


「そせん?」



「ああ――。その求心力きゅうしんりょくを恐れた、

 聖カソリキア教の有力者たちにより、弾圧だんあつされ、

 無残にも名前をむしり取られ、魔女、異端者と呼ばれてもなお、

 民衆を守ったとされる、我が母なる存在だ。

 ――まあ、おまえには、まだわからないかもしれないな。

 だが――いずれ、この秘術ひじゅつを、おまえにも教えてやろう」


「……うん!」


ぼくのはじけるような笑顔に、

お義母さんは、目許めもとをあまく緩めた。


「……ふふ、そうだリシアン。そうしたらおまえも一人前だ。

 心配はいらない。

 “彼”がきっと、おまえを導いてくれる。

 ルチアのようには、わたしがさせまいよ。

 そうしておまえは、この常闇とこやみの世界に、光を与える。


 そう――古の魔法使い……

 “蝋燭ろうそくの灯しびと”として――……」



………………

…………

……



「――リシアン!」


「……リシアン、返事をするでやんす!!」


「……ん……ぅ……」


重いまぶたをこじあけ、みえたのは、

まるで手負いのキツネのように、目を激しくつり上げた紫尾だった――。

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