表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リシアンの契約 ~呪われた世界と聖なる夜の仔~  作者: 水森已愛
第三章 『リシアンの契約α』 ~アフター・エンドロール編~
37/51

最終話 “×××” ~ネバーエンド、ハローグッバイ~

――それにしても。

ぼくはそもそも、なんで骨折こっせつしたんだっけ……。


そう、山で転げ落ちて、全身を強打きょうだしたんだ。


それなのに、ぼくの外傷がいしょうは、足の骨一本折っただけ。


奇跡的とも言っていいだろう。


かなり高い崖から落ちたので、死んでもおかしくなかったはずだ。


そういえば……なぜだか、前後の記憶がない。


覚えているのは、目覚めた瞬間のあたたかな……。


そう、全身が、まるで柔らかな羽に包まれたように、

優しいあたたかさを持っていて。


誰かが、必死に呼びかけてくれたのも覚えてる。


それが誰だったのか……。

記憶から抜け落ちたように覚えていないけれど。


そして、ぼくは、そのひとを知っている気がするのだ。


ずっと前から。


ぼくの隣にいてくれたひと。


その名前は……。


――にゃあん。


不意にくすぐったい、なめらかなものが、ぼくの足元をでた。


「……きみ」





それは、最近よく会う、黒いねこだった。


「誰の飼い猫だろう?」


首もとに、紫色の輪っかをつけていた。


「……こら! そこにいたのか……!」


そしてぼくは、出会うのだ。


「あ……」


光を受けて紫色に輝く、夜色の髪と、

瑠璃色るりいろの目をした、そのひとに……。


ぼくの物語は終わらない。

いや、永遠にはじまり続ける。


長い夜はいつか朝焼けをもたらし、世界は祝福の光に包まれるだろう。


いや、今、この瞬間……ぼくの夜は、明けたのだ……。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



そこまで記すと、ぼくは窓を見上げた。


――昔話をしよう。

もうずいぶんと昔、ぼくの子どもの頃の話だ――。


昼の世界のもうひとつの顔、常闇の世界には

12色の国と、神、そして王がいた。


両親を失った少年は、瑠璃の魔女と出逢い、

彼女の死をきっかけに、掛け替えのない相棒を得、旅に出た。


彼女の落としもの<心残り>とは、彼が孤独を越えて、大人になること。


やがて彼は、蝋燭ろうそくを灯すように、

呪いに満ちた世界を照らしはじめる。


さあ、その続きを語ろうか。


――いや、きみはもう、わかっている。


そう、物語の続きは、きみ自身のなかにあるんだ。


蝋燭ろうそくの灯しびと、リシアン……それはきみだ。


きみは、きみ自身の手で、この世界を照らすといい。


魔法の言葉を教えよう。


これさえあれば、常闇の世界はきみのものだ。


さあ、扉を開けよう。

大丈夫、きみにはぼくがついている。


ぼくはいつでも、きみのなかにいる。――そうだろ?


さあ、目をつむって。ワン、ツー、スリー……。


きみの物語はここからはじまる……。





The story does not end.

Will repeat. This story is not a fiction.

What keeps this world begins many times, it's all me.


Let's open the door...



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ