夕景【２００文字小説】

　その丘は街を見おろすような位置にあった。

　夕刻になると、そこから見える町並みは一気に赤色に包まれて、昼や夜とは違う顔を見せる。

　遠くに見える海が完全に橙色になるころには町は燃えているように真っ赤になる。

　しかし、その時間は短く少し目を離せばすぐに町も丘も海も夜の闇に包まれていき、街灯や家々の灯りがポツポツとつき始める。

　それを見ていると、不思議ととても落ち着くのだ。

　陽が暮れると、丘から降りて家路についた。